近世フランスの教区の動揺と絶対王権--パリの事例から考える
Project/Area Number |
20K01063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
高澤 紀恵 法政大学, 文学部, 教授 (80187947)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | フランス絶対王政 / 近世 / パリ / 教区 / 宗教 / ジャンセニスト / 絶対王政 / フランス / 政治秩序 / 絶対王権 / カトリック改革 |
Outline of Research at the Start |
本課題は3つの課題に取り組む。第一にルイ一三世からルイ一四世の治世に、カトリック改革がもたらした新たな信仰実践がパリの教区で人々をいかに繋ぎ、いかなる対抗を生みだしたのかを実証的に明らかにする。第二に、教区に生じたこの動揺に、フロンドの乱をはさんだ確立期の絶対王権がいかに関わったのかを解明する。第三に、教区のミクロ・ポリティクスの分析で得られた知見をマクロな権力秩序の問題に投げ返し、近世フランス史研究の成果を他のヨーロッパ王権との比較に開く。これらの課題の遂行によって、従来別々に論じられてきた近世の政治秩序と宗教秩序の再編プロセスを有機的・総合的に把握することを最終的な目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、6月にこれまでの研究の成果である『「身分」を交差させる 近世の日本とフランス』をギヨーム・カレとの共編で東京大学出版会から刊行することができた。本書をめぐって2023年8月に大阪公立大学において、2024年1月に法政大学において合評会が行われ、フランス史と日本史、さらには中国史の専門家との議論が開かれたことは、大きな成果であった。後者の合評会ではフランス中世史の江川温教授より、ヨーロッパ社会を論ずるにあたり宗教/教会の重要性を指摘されたことは、あらためて絶対王政期の教区のミクロポリティクスに迫ろうとする本課題の意義を確認する機会となった。本書をめぐる合評会など議論の場は2024年度にも予定されている。 また、2023年2月、3月にはコロナ禍によって延期を余儀なくされてきたフランスでの実地調査を行うことができた。上記著書の共編者であるギヨーム・カレ教授と今後の研究遂行について意見交換を行うことができた。また、近世パリ研究の第一人者、ロベール・デシモン教授やフランス絶対王政の優れた専門家であるファニー・コザンデ教授らと本課題の進捗状況について意見交換を行った。とりわけデシモン教授からはサン・ポール教区の教区財産管理委員会のメンバーを復元するための一次史料について貴重な示唆を得ることができた。またサン・ポール教区から派生したサント・マルグリット教区を合わせて検討することで、17世紀に拡大するパリの教区についての知見を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『「身分」を交差させる 日本とフランスの近世』を刊行し、2月ー3月に実地調査を行うことが出来たので、概ね予定通りに計画は進捗していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年2月3月の在外調査で集めた史料をもとに、教区財産管理委員会のメンバーの復元を進める。また1640年代、50年代の初期ジャンセニスト関連の刊行史料の更なる調査を進める。 9月には、社会科学高等研究所のダイナ・リバール教授、パリ・ナンテール大学のニコラ・シャピラ教授によるセミナーを日仏会館で開催し、両者との意見の交換を行う。さらにその成果は、2024年度末に渡仏し、改めてフランスの歴史家たちの前で発表したい。また、昨年6月に刊行された『「身分」を交差させる 日本とフランスの近世』に関する合評会は、2024年7月に大阪大学で予定されている。本課題を追求する過程で得られたフランス近世史の知見を広く研究者、大学院生、高校の教育現場と共有し、新たな議論の場を生み出せるものと期待している。 他方、本課題を遂行するために必要な課題としてはサン・ポール教区でジャンセニストの最大の論敵であるイエズス会の動向を一層、的確に把握することである。この点は、ジェスイットの専門家である国際基督教大学の山本妙子准教授から助言を得る予定である。 また、予定通りに調査が進まなかった場合、あるいは何らかの事情で渡仏が年度内に叶わなかった場合は、本課題を2025年度まで延長して対応する。
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Report
(4 results)
Research Products
(15 results)