Project/Area Number |
20K01142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04010:Geography-related
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
森本 真紀 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (30377999)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 古気候学 / サンゴ骨格 / 水温 / 塩分 / 降水同位体比 / 台風 / 温暖期 |
Outline of Research at the Start |
台風の接近は数多くの災害を引き起こし、人間の生活に大きな影響を与えることから、その発生数や規模・経路は重要な情報である。本研究では、サンゴ骨格年輪を用いた温暖期の台風接近頻度の復元をおこなう。過去の気候を復元する地質試料であるサンゴ年輪の大きな特徴である、高時間分解能であることを活かし、同位体組成及び金属濃度比分析から水温と降水についての季節内の詳細な変化を示し、現在との比較から、過去の温暖期の沖縄県八重山諸島における台風や豪雨の変動の復元を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
台風の接近は数多くの災害を引き起こし、人間の生活に大きな影響を与えることから、その発生数や規模・経路は重要な情報である。過去の気候を復元する地質試料であるサンゴ年輪の大きな特徴である、高時間分解能であることを活かし、同位体組成及び金属濃度比分析から水温と降水についての季節内の詳細な変化を示し、現在との比較から、過去の温暖期の琉球列島における台風や豪雨の変動の復元を目指している。サンゴ年輪データと気象イベントの比較に必要な検討事項として,台風や豪雨による大量の降水が海洋表層の海水の塩分と同位体比を低下させるが,台風や豪雨での降水の同位体比が他の降水イベントとどの程度値が異なっているか,またそのイベントごとの値の変化や季節による違いを明らかにする必要がある。 降水同位体の季節変化を詳細に調べるために,本課題の研究期間をを通じて1週間単位での気象・降水観測をおこなってきた。降水量と降水同位体比の測定から,気圧配置や季節による変化,降水同位体への小地形の影響などを調べた。さらに,研究協力者の協力により,サンゴ年輪データの時系列変換の正確性を高めることを目的として,水温指標である金属濃度比(Sr/Ca比)を生息水温と合わせて時系列変換する際の従来法での様々なバイアスを減少させることを目的として、動的時間伸縮法の応用について検討をおこなった。過去の温暖期の復元のために採取した複数の化石サンゴ試料について,放射性炭素年代測定をおこない,中期完新世である6500 - 4500年前の年代が得られた。そのうち6130年前の1サンゴ化石試料について年輪分析を開始し,密度バンドと酸素・炭素同位体分析をおこなった。先行研究の金属濃度比と合わせて考察し,現在よりもやや低水温な時期であったことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題初年度の2020年度からの新型コロナウイルスの感染拡大による影響のため、県境を超える移動が困難な期間が年間を通して続いたことや、また、学生が必要最小限の時間しか登校できない時期が続いたことも重なり、観測・調査のための出張や他研究機関における機器分析が予定通り行えなかったことによって、作業・研究の進捗が年度単位で大きく遅れ、旅費、謝金、装置利用費を予定通り使用することができなかった。そのため,本課題の研究期間の1年延長することにより分析・解析をおこなう。サンゴ試料と降水の同位体分析に関して、研究協力者2名と、研究代表者の所属講座の学生2名の協力を得て進めている。サンゴ試料の削り出し作業は岐阜大学教育学部と名古屋大学環境学研究科において、同位体比測定は名古屋大学環境学研究科においておこなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年延長した2024年度は、2023年度までに進めた石西礁湖(八重山諸島石垣島)の現生サンゴ年輪試料の解析について,酸素同位体比分析、金属濃度分析の続きをおこなう。気象観測記録とサンゴ骨格年輪記録の対比から、台風・大雨の検出を行い,検出可能な条件について明らかにする。また,現生サンゴ年輪試料の解析と並行して2023年度から開始した化石サンゴ群体の年輪分析(密度バンド,同位体分析)を引き続き進める。今年度が研究課題の最終年のため,当初の計画での中世温暖期である1000年前のサンゴ試料採取のための現地調査を新たにおこなうことはせず,昨年度前に得られた中期完新世の化石サンゴ試料の分析をおこなう。密度バンドと同位体分析と合わせて,化石サンゴ試料についても金属濃度分析をおこなう。復元した過去の温暖期の海洋環境と現在の環境の比較をおこない,過去の温暖期における特徴を明らかにする。
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