Understanding the water quality and groundwater flow system and predicting the influence of reconstruction project in the near coastal area of Fukushima Prefecture
Project/Area Number |
20K01150
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04010:Geography-related
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
藪崎 志穂 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 上級研究員 (60447232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川越 清樹 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (30548467)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 福島県沿岸域 / 水質 / 酸素・水素安定同位体比 / 地下水 / 涵養域 / 滞留時間 / CFCs / トリチウム / 湧水 / 地下水流動 / ストロンチウム安定同位体比 / 安定同位体 / 阿武隈山地 / 地表水の同位体分布 / 福島県 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,福島県沿岸域および阿武隈山地周辺を対象とした広域の地下水や湧水の調査を実施し,水質の特性や広域地下水流動の現況把握,および双葉断層の影響評価を行う。また,複数の井戸で水位や水質の連続観測を実施し,モデルによる地下水流動解析に活用する。水質特性やモデルの結果を総合的に活用し,沿岸域で行われている復興事業に伴う地表面の改変や土地利用変化,堤防の造成,内陸の山地部での多量の土砂採掘等が,将来的に広域の地下水流動や水質に与える影響について検討する。更に,今後の長期に渡る水質・地下水流動変化の検討に利用できるよう,本研究で得られた水質や同位体比等をデータベース化することも目標として取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
1)福島県沿岸域の地下水・湧水の滞留時間の調査結果に関する論文が英文の学術誌に受理された。概要は以下のとおりである。沿岸域の複数の浅層地下水や湧水で3H(トリチウム)濃度は自然レベルの濃度を超えており,これは2011年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故の影響を受けたためであり,これらの地点では滞留時間推定に3Hを利用するのは困難である。一方,深さが30 m以上ある自噴井(深層地下水)では3Hの値は3.5 TU以下で原発事故の影響は認められず,自噴井の水は相対的に滞留時間が長いことを把握した。また,CFCs(クロロフルオロカーボン類)およびSF6(六フッ化硫黄)の測定結果を地下水流動モデルに当てはめて検討した結果,浅層地下水および湧水の滞留時間の平均は約29年,自噴井の滞留時間の平均は約62年であると推定できた。原発事故に起因する放射性物質の地下水への影響を把握するためにも,今後も継続した観測が必要であると考えられる。 2)沿岸域で行われている復興事業や,内陸部での土砂採取などに伴う地下水等の水質や流量変化に対する影響を把握するため,2022年度も定期観測地点において調査・採水を行い,データを蓄積した。また,沿岸域の地下水や湧水の涵養域把握のため,水試料および土壌・岩石のストロンチウム安定同位体比(87Sr/86Sr)の測定を行った。これまでの測定の結果,内陸部の花崗岩地域と沿岸域の堆積岩地域の土壌・岩石で同位体比に差異が認められた。今後,地下水等の同位体比と比較し,涵養域の推定に活用する。 3)浪江町沿岸域の井戸で,水温,EC(電気伝導率),地下水位を一定間隔で自動測定するセンサーを取り付けて観測を実施した。調査により地下水の水質や同位体比の特徴を把握し,地下水位は概ね安定していることを把握した。今後,同地域で設置を予定している観測井設置に向けて,本データを活用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査はおおむね順調に進んでおり,これまでの研究成果として論文も数本公表されている。本年度も未公表データの論文化に取り組み,研究成果の情報還元に努める。また,将来的に観測を継続するための観測井設置に向けた場所選定や許可申請等も進めてゆく。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はこれまでに得られた調査結果のうち,未公表データの論文化を進め,情報公開に努める。また,現在,沿岸域周辺の復興や土地利用変化が進んでおり,特に涵養域での地形改変や,これまで長期間休止されていた農耕の再開,さらに水田や畑地から他の用途への変化などが広い範囲で認められており,こうした人為的な地形や土地利用形態の変化が地下水や湧水の水質や湧出量,地下水位の変化等に繋がる可能性があると考えられる。将来的な状況把握のためにも継続した調査が重要であるため,新たな観測井の設置に向けた検討を行なう予定である。なお,観測井の設置場所の選定などにおいて,これまでの研究成果を活用して,観測に適した場所に設置できるように努める。
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Report
(3 results)
Research Products
(36 results)