Anthropological Study on the International Trade Using Cryptocurrency in Africa
Project/Area Number |
20K01202
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小川 さやか 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (40582656)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | 電子マネー / インフォーマル経済 / タンザニア / ギグ・エコノミー / ICT / 負債 / 信用 / 贈与 / リープフロッグ型発展 / 東アフリカ / 香港 / 暗号通貨 / 貨幣論 / デジタルエスノグラフィ / 人類学 / アフリカ / 交易 / アジア / 国際決済 |
Outline of Research at the Start |
アフリカ諸国では、先進諸国とは異なる背景からモバイルマネーや仮想/暗号通貨の受容が進展している。本研究では、アフリカ諸国における先進的な仮想/暗号通貨の受容/開発国であるケニアと、今後数年間で受容・開発が進むと予想されるタンザニアを事例に、アフリカの輸入商たちが既存の商慣行との折り合いをどのようにつけながら、モバイルマネーや仮想/暗号通貨を受け入れ、独自の経済文化を発展させているのかを実証的に明らかにする。それらを通じて、アフリカをはじめとする発展途上国におけるモバイルマネーや仮想/暗号通貨の可能性と潜在的な課題を析出するとともに、文化人類学における貨幣論の刷新を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アフリカ諸国における先進的な仮想/暗号通貨の受容/開発国であるケニアと、今後数年間で受容・開発が進むと予想されるタンザニアを事例に、アフリカの輸入商たちが既存の商慣行との折り合いをどのようにつけながら、モバイルマネーや仮想/暗号通貨を受け入れ、独自の経済文化を発展させているのかを実証的に明らかにすることを目的としている。 2022年度は新型コロナに関する規制が緩和されたことに伴い、8月にタンザニア、2月にタイにおいて調査を実施した。ケニアおよび香港での調査がかなわず、東アフリカにおける暗号通貨を利用した国際決済の実態に関して予定していた通りの成果は得られなかったが、貨幣論に関する複数の研究会に参加したこと、および調査を通じてICTや電子マネーなどのテクノロジーの進展に伴うタンザニアのギグ・エコノミーの進展、デジタル・インフォーマル経済の台頭とその実態に関して多角的に明らかにできた。また、中国・香港に在住していたインフォーマル経済従事者の一部が新型コロナおよび中国・香港の移民政策の変化の影響でタイへと移動したため、タイとタンザニア間の鉱石・貴石の交易システムとそこでの電子貨幣等の使用を明らかにした。主たる成果として、デヴィッド・グレーバーの『負債論』(以文社)を切り口にした学術論集『負債と信用の人類学』(以文社)、および経済学、社会学、人類学の研究者と所有論の刷新を目指した学術論集『所有とはなにか』(中央公論新社)に論文を寄稿した。また、『中央公論』『新潮』等で連載をし、読売新聞の読書委員として書評を担当した。朝日新聞出版『一冊の本』で毎月9000字前後で「『なぜ人は人を助けるのか』の人類学 無条件の条件」を連載し、次年度に単著として出版予定である。また、企業等での講演活動にも積極的に従事し、成果の社会還元に努めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はケニア、タンザニア、および香港での調査を予定していたが、新型コロナの渡航規制や移民政策の変化等によりケニア・香港での調査がかなわなかった。しかしタンザニアでの調査はおおむね順調に成果を上げた。また移民政策等の転換を受けて香港からタンザニア商人たちがタイへ移動したことを受けて、香港の代わりにタイで調査を遂行し、一定の成果を得た。また暗号通貨の利用は想定していたよりも限定的であることが明らかになっている。ただし、ギグ・エコノミー化が進展する東アフリカのインフォーマル経済では、電子マネーの独創的な利用形態が見られることが明らかになったため、今後は暗号通貨の限定的利用と電子マネーの創造的・多角的な使い方を対照させつつ、インフォーマル経済の発展について研究を進めていきたい。以上から、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナに伴う渡航規制は緩和されたため、2023年度には先延ばしにしているケニアでの調査を実施し、電子マネー、暗号通貨の利用状況を明らかにしたい。ただし、上述した通り、これまでの調査からは、研究開始当初に文献資料やメディア情報をもとに予測していたよりも、暗号通貨の利用は未だ限定的であり、それよりも電子マネーの創造的な利用形態が発展していることが明らかになっている。また新型コロナの影響で渡航が制限されていた期間に実施した文献研究とタンザニア・タイでの現地調査を通じて、デジタルインフォーマル経済の進展が著しいことが明らかになっている。そのため、ケニアでの調査が短期しか実施できない場合、研究計画を修正し、独創的な電子マネーの利用とタンザニア・タイでのデジタル・インフォーマル経済の発展について集中的に調査することで、まとまった成果を出すことも検討したい。また、最終年度には、本研究課題に関連した査読論文、国際シンポジウムでの発表、単著の出版を予定している。 なお前年度に新型コロナウイルス禍で注目を浴びるようになったデジタル・エスノグラフィやハイパーメディアエスノグラフィの可能性に関して研究を実施したので、これに関する論文も刊行したい。
|
Report
(3 results)
Research Products
(141 results)