A Cultural-Anthropological Study on Return Migration of Elderly Japanese Living Overseas
Project/Area Number |
20K01205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
金本 伊津子 桃山学院大学, 経営学部, 教授 (60280020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 民恵子 日本福祉大学, 福祉経営学部, 准教授 (70503085)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | リターン・マイグレーション / 在外日本人高齢者 / 国際移動 / 文化回帰 / 老い / エイジング / ウェルビーイング / 文化喪失 / 日本人高齢者 / エスニシティ / 文化喪失 文化回帰 / エイジング 老い |
Outline of Research at the Start |
多文化社会におけるエスニック・マイノリティの老いは、エイジズムとエスニシティから生起する社会的不利益に瀕していると指摘されている。国、文化・言語、家族、社会福祉・医療システムなどの境界を越えたライフ・スタイルを持つ者の高齢期における尊厳は、高齢者の文化的アイデンティティと、居住する国の医療・社会福祉システムとのせめぎ合いの中にある。本研究は、海外在住の日本人高齢者のリターン・マイグレーション志向(日本に帰国する、あるいは、帰国する選択肢を否定しないという考え方)に焦点を当て、老いという文化喪失の過程における日本文化・日本的ケアへの回帰と高齢者のウェルビーイングについての考察を与える。
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Outline of Annual Research Achievements |
海外で老いを経験する日本人高齢者は、日本人高齢者のための住居や日本的なケアや介護を渇望する。この喪失の過程における文化的希求は、いずれの海外の日本人・日系人コミュニティにおいても観察される。近年、アムステルダムを中心として活動をしているシルバーネット(日本人会)が、高齢者のための住居を提供する事業計画を練り始めたが、これまでいずれの日本人・日系人コミュニティにおいてはその実現の困難さに足踏み状態が続いている問題であった。 日本人高齢者が求めるウェルビーイングは、クラスター・マイグレーション(集団での国際移動)による歴史を有するコミュニティで集住して暮らしてきたのか、あるいは、インディビジュアル・マイグレーション(個人での国際移動)による個々が散住するコミュニティで年を取ってきたのかによって、その様相は違っている。例えば、ロサンゼルスやシアトルの日本人・日系コミュニティは前者で、ニューヨークの日本人・日系コミュニティは後者に該当する。散住する高齢者のケアや介護は、集住する場合と比べて、物理的・時間的困難さを伴うことから、また、コミュニティ・メンバーの流動性の影響を受けやすいことから、結果として文化的には未充足な状況にある。 ニューヨークで実施したアンケート調査の分析結果からは、(1)市民権を持たない永住権の者は、「日本」を選択する比率が3.1倍、「決めていない」を選択する比率が8.7倍高くなり、(2) 子どもがアメリカにいる人に比べて、子どもがいない人は、「日本」を選択する比率が1.8倍、「決めていない」を選択する比率が2.2倍になることが判明した。つまり、日本国籍のままでアメリカに子どもがいない場合は、高齢期における日本へのリターン・マイグレーションが現実味を帯びてくることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度においては、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和されつつあったことから、WEB会議システムや電話を利用してのインタビュー調査のみならず対面でのインタビューを再開した。 インタビューの対象は、すでに海外から日本に帰国している日本人高齢者と、これから帰国を検討しようとしている日本人高齢者を中心に、また、短期間ではあるが親の介護などを目的に日本に一時帰国している方々で、主に帰国の理由や帰国準備と日本への再適応の過程について半構造化インタビューを行った。 海外から帰国する高齢者を援助する新しいビジネスが日本において展開されていることから、これらのビジネス・モデルに関する聞き取り調査を始めた。 ニューヨークで行ったアンケート調査結果をもとに、在外日本人高齢者のリターンマイグレーションの要因の分析を行い、GSA(Gerontological Society of America)の学会で研究発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、これまで保留としていた高齢者に対するインタビューを速やかに進める予定である。 ニューヨークで行ったアンケート調査をもとに、在外日本人高齢者の不安の構造をリターン・マイグレーションの観点(終の棲家を「日本」「アメリカ」に定める)から明らかにして、移民学会およびGSA(Gerontological Society of America)の学会で研究発表を行う予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(9 results)