Project/Area Number |
20K01234
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Okayama Shoka University (2021-2023) National Museum of Ethnology (2020) |
Principal Investigator |
杉本 敦 岡山商科大学, 経営学部, 准教授 (70712256)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 文化人類学 / 家族制農業生産 / 共通農業政策 / ルーマニア / EU新規加盟国 |
Outline of Research at the Start |
家族制生産についての人類学の理解は、生産者とその家族自身が生産手段と生産技術を持つことで生産費用を抑制することができ、過少生産であっても市場経済下で「競争力」を維持することができるというものであった。本研究は、こうした捉え方をスタート地点として、EU新規加盟国の農業を問い直すものである。従来のミクロ経済学や開発経済学では、自家消費を目的とする家族経営を「遅れた農業形態」とみなし、合理化・商業化による競争力の獲得こそが有効な支援策と考えてきた。世帯の経済面のみを問題とするこれらのアプローチと異なり、本研究では、地域の経済的・社会的文脈に位置づけて世帯の多様な戦略を考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、EUレベルの農業・農村政策と共通市場の影響下におかれたルーマニアの家族経営農家を対象に、その生活実践の多様性と柔軟性を文化人類学的なフィールドワークを手段として明らかにすることにある。しかし、新型コロナウイルスの流行拡大に伴い、研究期間内にヨーロッパに渡航・滞在しての資料収集は非常に困難な状況になった。中心的な手法を文献研究に切り替えて研究を進めたが、一次資料の必要性から研究期間を延長するに至った。 家族制農業生産の機能と変容についての理解を深めることを大きな目標とするこの研究の要点は、家族制生産を支えてきた地域の経済的・社会的システムの変容をも視野に収めることにある。それを踏まえ、文献研究は、地域社会の歴史的文脈の見直しと他地域との比較の2点を中心に進めた。特に、家族制という点に加え、自給自足的なサブシステンス・エコノミーという点に注目した。これまでに、ルーマニアにおけるサブシステンス・エコノミーの連続性、具体的には集団農場においても賃金雇用ではなく、生産した農産物に対する処分権を組合員たちが強く求めたことを問い直すと共に、より大きな政治経済構造の中での変化を捉える上で、東アジアやアフリカの状況との比較研究の必要性を改めて確認した。 令和5年度は、それまでの研究を継続して進め、西欧への出稼ぎを含めた雇用の可能性と消費財への需要が高まる状況において、農村社会における農業労働の意義や、それ自体の意味について分析を進めた。その論考を論文としてまとめており、次年度に刊行する予定である。ただし、聞き取りや観察による一次資料を踏まえた更なる考察の必要性から研究期間を延長した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、初年度の次年度に2回ずつの現地調査を予定していた。しかし、新型コロナウイルスの流行拡大を背景に、その実施が不可能となり、新しい一次資料の収集ができていない。文献研究を進め、新しい視点からの分析を加えながら、その成果を論文としてまとめたが、さらなる検討を行う上でも新しいデータの収集は不可欠である。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査による一次資料収集の必要性から、研究期間を延長した。文献研究を継続すると共に、現地調査の準備を進める。調査先との調整、調査項目の検討、整理などを進め、可能な限り効率的に情報を収集できるようにする。
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