Project/Area Number |
20K01239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05010:Legal theory and history-related
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小谷 眞男 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (30234777)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | ベッカリーア / オーストリア一般刑法典 / 裁判資料 / 少年司法 / 宗教と法 / 古代ギリシャ法 / ローマ法 / イタリア / 刑事法 / 刑事裁判資料 / ギリシャ語 / ソクラテス / 名誉犯罪 / カトリシズム / グラヴィーナ / パガーノ / ニコリーニ / ホッブズ / 西洋古典 / ナポリ共和革命 / イタリア刑事法思想史 / ギリシャ・ローマ |
Outline of Research at the Start |
ベッカリーア以降のイタリア刑事法思想の歴史的展開が、いかなる古典的基礎、とくに古代ローマ共和制末期の文化と関係していたかを解明する。焦点は、ナポリ啓蒙のパガーノによる批判的ベッカリーア継承と、19世紀前半期のニコリーニによる刑事法の体系化に合わせる。人文主義などイタリア法史固有の背景も視野に収め、英仏刑事法史、大陸諸国の法典編纂事業、サヴィニーとニコリーニらの親密な交流といったイタリア内外を取り巻く同時代史的脈絡にも注意を払う。こうして日本法を含めおよそ近現代法がいかなる歴史的基礎のうえに成り立っているかという問いかけに、イタリア近現代刑事法思想史の立場からひとつの応答を投げ返すことを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は『犯罪と刑罰』以後のベッカリーアの思想的発展の分析を進めた。その成果の一部として、自ら翻訳した『犯罪と刑罰』(2011年、品切れ)の新装版が刊行されることになった機会に、ベッカリーアが『犯罪と刑罰』初版刊行から20年以上後の1787年に執筆したオーストリア一般刑法典に関する論考の手稿資料を2023年9月のイタリア出張時にミラノのアンブロジアーナ図書館で直接閲覧して確認した上で全文訳出し、その解説文等も準備するなど、追補資料掲載の作業を進めた(2024年度中に同書増補新装版刊行予定)。 また同出張の際にヴェネツィア文書館等にて刑事裁判史料の所蔵調査をおこなうなど、裁判記録を用いたイタリア刑事法史研究を進め、その成果の一部を2023年12月のイタリア近現代史研究会例会で報告した(「20世紀初頭ナポリ捨子裁判記録を読む」)。 他方ベッカリーアなどの刑事法思想の現代的発展形態のひとつである少年司法に関する研究活動の一環として、2024年3月の龍谷大学公開シンポジウム「イタリア未成年裁判所から日本の少年司法について考える」にてサレルノ未成年者裁判所所長P.アヴァッローネ氏の講演の通訳と解説を勤めた。さらにイタリア刑事裁判関連のイベント(2024年5月)へのビデオ出演を依頼され、袴田事件についてミラノ地裁の裁判官らからオンライン・インタビューを受ける準備を進めた(2024年度中にインタビュー実施予定)。 古代ギリシャ法研究の一環としてプラトン「ソクラテスの弁明」をギリシャ語で読解・考察し、ローマ法についてはとくにグラックス改革に関する複数のラテン語文献を分析・考察した。 カトリック教会とイタリア法の史的関係に関する研究も進めた。その成果の一部は『世界の社会福祉年鑑2023:特集「宗教と社会福祉」』の編集取りまとめ作業や、総論として執筆した「宗教と社会福祉―概観」に反映されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベッカリーア研究を進め、その成果の公表に向けて具体的作業を進めることができた。 関連して、イタリア法史を理解する上で欠かせないオーストリア刑事法史の研究も飛躍的に進めることができた。 他方で裁判記録を用いたイタリア刑事法史研究を深め、今までの作業を包括する研究発表をおこなうことができた。 その他、現代のイタリア少年司法へと至る発展、イタリア法のベースをなす古典古代法の研究、イタリアにおける宗教と法についての研究もそれぞれ格段の進捗をみた。 しかし学部長職など学内業務が多忙を極め、海外出張期間が著しく制約されたこともあって、全体の大きな総括作業を完遂させるにはいたらなかったため、研究期間を延長し研究の完成を期すことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
ベッカリーア研究の成果を翻訳書の増補新装版の出版という形で公表することを目指して、研究を一層推進させる。 裁判資料をも用いた本格的なイタリア刑事法史研究の総合的完成を目指して、長期的に現地に滞在し、裁判記録や古典文献の閲覧、分析、考察を集中的に進める(2024年度後期にサバティカル取得予定)。
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