学校における宗教的出自の多様な子どもの信教の自由に関する日加比較研究
Project/Area Number |
20K01269
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
栗田 佳泰 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (60432837)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 多文化共生 / 教育を受ける権利 / 学校教育 / リベラリズム / 政治教育 / 主権者教育 / 宗教教育 / 批判的思考 / 言語権 / 社会権 / 外国人の人権 / 比較憲法 / 信教の自由 / 行政裁量 / ナショナリズム / リベラル・ナショナリズム / 学校 / 子ども / カナダ |
Outline of Research at the Start |
外国人材の活用が進展するにつれ、日本の学校に通うその子どもの数は増加するであろう。その事実は、学校における子どもの信教の自由を、今までとは違うレベルで問題にする。一方、イギリス系・フランス系の植民者と、先住民、そして移民といった多様な宗教的・文化的出自を有する国民を擁するカナダでは、学校においても、日本に比して、信教の自由の保障が比較的明確になされており、社会統合に資していると考えられる。そこで、学校における信教の自由と行政裁量権との比例性について日加比較を行い、憲法上の価値を考慮要素とする詳細な裁量統制の手法と、憲法上の権利侵害の正当化に関する分節化された違憲審査とを分析・検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度も引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、対面型の学会・研究会の開催は僅少であり、オンラインでの参加がメインとなった。この事情によりオンラインあるいは書籍の取り寄せ等によって収集可能な文献による研究に専ら従事することとなった。 本年度においては、本研究のテーマである学校における子どもの信教の自由の在り方を探究する上で前提となる教育学的知識の獲得に努めた。具体的には、教育心理学、社会心理学、文化心理学などの心理学的知見である。というのも、カナダの主流派社会は英語圏であって文化的背景も欧米のそれといえるところ、日本の文化的背景は東アジアのそれであり、そうした差異性をどのようにふまえるかを検討することなく単にカナダの公教育における信教の自由の取り扱いを日本に紹介するだけでは、日本の公教育に対する示唆として不十分か、悪くすれば不適切である可能性があるからである。本年度の研究の成果としては、学校教育法では「健全な批判力」として、学習指導要領上は「多面的・多角的」な考察として触れられる「批判的思考」は欧米由来の論理力重視の思考であるところ、日本では他者とのコミュニケーションや共感を通じて時間をかけて学ぶのでなければ受け容れられ難いという心理学上の調査結果から、日本における宗教教育もまた、政治同様に対立する価値観の調整を可能とするリテラシー教育であるべきであるという着想を得た。具体的には、日本における政治的リテラシー教育の憲法的位置づけを検討したうえで、それとの類比で宗教リテラシー教育に必要性を主張するもので、この研究の成果は未公表である(2023年5月21日開催の日本選挙学会で報告の予定)。また、上のような研究の着想を得るまでに心理学の研究者とのコミュニケーションもあり、日本心理学会の機関誌「心理学ワールド」に記事を掲載する機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、当初予定していた各種学会・研究会への参加を見送ったため、本研究の遂行にあたり、研究者同士の相互交流は十分に行えたとはいえない。また、本務校授業のオンライン化等の作業は純増である。また、年度末までに本研究の成果を公表できなかった。 一方、次年度とはなるが5月には本研究に関する報告を予定している。 以上から、本研究は順調とはいえずやや遅れているものの、進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もオンラインでの調査や書籍等の取り寄せ等により資料を収集し、本研究を進めていく。とりわけ日加比較憲法・行政法の各論的考察を重点的に行う。 対面型の学会・研究会の開催・参加、あるいは聞き取り調査の実施については、今後も十分に見通せない状況にあるが、状況をにらみつつ、機会を捉えていく。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)