Project/Area Number |
20K01274
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田尾 亮介 東京都立大学, 法学政治学研究科, 教授 (50581013)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 公営企業 / 地方財政健全化法 / 公営企業会計 / 租税以外の公課 / ドイツ基本法 / 強制加入制の正当化根拠 / 租税国家原理 / 当事者自治(国内公法学) / PSPP(判決) / ユーロ危機と憲法多元主義 / アメリカ連邦議会 / 共有地の共同管理 / ドイツ都市建設法 / 国家補助規制 / 公共調達規制 / 当事者自治 / 租税と負担金 |
Outline of Research at the Start |
日本法においては、租税と対置されるところの(強制的に徴収される)負担金の概念や実体的規律(負担と受益の均衡など)に関して議論が尽くされているとは言い難い。本研究は、(ⅰ)負担金の基礎概念の各国比較、(ⅱ)(事例研究の一つとしての)アメリカ・ドイツのBID制度、(ⅲ)「負担金国家」の可能性と限界(または「租税国家」の意義あるいは再評価)を、文献調査および海外実地調査により明らかにしていくものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績は、次のとおりである。 雑誌論文3件目は、研究代表者にとって積年の課題であるBID制度に関する比較法研究の概要版である。詳細版は所属研究機関の紀要において連載中であり、アメリカ法、ドイツ法および日本法については完了したものの、総括部分と、補論に当たるイギリス法部分が残る。この研究が完成した折には、租税の意義や租税国家原理に関する諸論考と併せて、単著論文集を刊行する。 また、雑誌論文4件目、5件目および6件目の公営企業に関する研究については、公営企業が料金収入でその費用を賄う独立採算制の原則を採用していることから、本研究課題にとって示唆に富むものである。さらに、雑誌論文7件目の租税国家原理に関する研究については、本研究課題の成果を確実なものにする上で、当然向き合わなければならないものであったといえる。今回はドイツ法を参照したところで紙幅が尽きたが、今後はイギリスやアメリカ、フランスなどの議論状況(日本の戦前の状況を含む)を調べれば、より興味深い事実が浮かび上がってくるはずである。 翻って、日本においては近年、本来租税で賄われるべきはずのものが、社会保険料で賄われる例が顕著である(後期高齢者支援金や子ども・子育て拠出金など)。また、高齢者医療への拠出金の増加に伴う保険料率の上昇や健保組合の財政悪化、社会保険料負担による中小企業の公租公課滞納が深刻化しつつある。今後は遅蒔きながら、日本における租税と社会保険料の関係をめぐる問題について論考を発表する。これは公債依存の財政運営と併せて、現在の日本が「租税国家」であるのかを問う作業である。 なお、本研究課題と直接的関連性はないものの、有意な影響を与えた研究として、アメリカ財政法に関する研究(雑誌論文1件目)、行政契約に関する研究(雑誌論文2件目と学会発表1件目)および墓地埋葬法に関する判例報告(学会発表2件目)がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度も昨年度に続き、本研究課題に関連した論考を発表しており、次年度に完成する予定である。また、研究会における報告を通じて新たな研究テーマの萌芽に接することができた。次年度も他の研究課題と並行する形で、本研究課題に関連する論文執筆および研究報告を予定しており、現在はそれらに向けた準備を進めている。 これらの状況を勘案すると、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、次の3つのことを考えている。 1つ目は、積年の課題であるBID制度の比較研究について、強制加入制の正当化根拠を探究するとともに、世界でもっとも同制度が普及していると思われるイギリスに焦点を当てて、同制度が機能する条件を明らかにする。この研究テーマを指導教員より与えていただいてからもうすぐ20年が経とうとしている。 2つ目は、ドイツの租税国家原理に関する研究に続き、諸外国において租税国家に関してどのような議論があり、それらが相互にどのような関連性を有しているかを明らかにする。とりわけ、ここまでの研究においては、自由主義に立脚する租税国家論をみてきたところ、租税が自由の対価として登場してきた歴史的背景を、英米独仏を中心に跡づけていく。出てくるであろう答えは凡庸なものかもしれないが、他方で、歴史研究のない研究成果は点睛を欠く。 3つ目は、ほかならぬ、日本を対象とした研究である。日本においては近年、社会保険料の負担増加(個人にとっても企業にとっても)に伴って、その研究の重要性が増している。旭川市国民健康保険条例事件当時と比べて大きく変容してきた、社会保険財政の仕組みを研究代表者なりに解きほぐしていくことは、本研究課題について掉尾の勇を奮うものとして相応しいテーマといえる。
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