司法による憲法解釈の形成において解釈方法論がもたらす作用の複眼的考察
Project/Area Number |
20K01294
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大河内 美紀 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (20345838)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
|
Keywords | 違憲審査制 / 憲法解釈 / ポピュリスト立憲主義 / 違憲審査 / アメリカ憲法 / 司法権 / ディパートメンタリズム |
Outline of Research at the Start |
本研究は、1990年代以降の合衆国の司法を検討対象として、(1)合衆国連邦最高裁内部において解釈方法論として「2つの原意主義」が存在してきたことを明らかにし、(2)「2つの原意主義」がそれぞれ法廷の内外で異なる影響力を有してきたことを明らかにすることを通じて、(3)連邦最高裁を中心とした合衆国の司法による憲法解釈形成の実態を把握しようとするものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度においては、引き続き合衆国の連邦最高裁の判決分析及び合衆国の憲法理論の諸動向を検討すると同時に、その対称群として、日本の法実務についても検討を行った。具体的には、合衆国における憲法判例を踏まえつつ、populist Constitutionalism及びComparative political process theoryなどの諸議論を検討した。他方で、日本においては、法解釈を支える法解釈共同体と市民社会との関係性を明らかにするため、法解釈共同体と同形のプロフェッション性を帯びる大学・研究者の自治と市民社会との関わりに焦点を当てて、学問の自由と大学の自治に関する研究を行い、小論をまとめた。また、緊急事態への対応について、Ginsburgらの議論を踏まえつつ、感染症対策及び自然災害への対応を具体的素材として検討し、報告にまとめた。さらに、同性婚に関する地裁判決が複数下されたことを踏まえて、合衆国におけるObergefel判決の論理及び司法の「態度」と比較させつつ、判例及びそれを生み出した司法の「態度」に焦点を当てて検討し、国際学会において報告を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では21年度・22年度の2年度をかけて合衆国の判決例から憲法理論の動向を分析し、それを元に研究会報告を行う予定であった。しかし、21年度についてはCovid-19の影響により資料収集や研究会等の調整に支障が生じたため、比較的影響の小さかった日本国内における資料収集等を優先してきた。Covid-19の影響が薄れ、移動制限が緩和されたため、2022年度に関しては予定していた学会・研究会への参加や資料収集とは問題なく実施することができた。しかし、2021年度までに実施する予定であった資料収集その他をカバーするまでには至っていない。現状においては、日本に関する分析については一定の進捗を見たが、合衆国に関する分析については、資料の多くを入手し、分析を進めているものの、研究会報告等の形で成果をまとめるには至ったおらず、当初の予定よりも遅れている。そのため、プロジェクト全体として見た場合には、研究課題の進捗状況はやや遅れていると言わざるをえない。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い、資料の収集・分析を進める。具体的には、合衆国の判例および理論動向に関する調査・分析を行い、すでに先行して進めている日本の理論動向との異同を明らかにする。人的構成が変化した2018年以降、合衆国の連邦最高裁は既存の判例を変更する重要判決を複数下している。通常は裁判官の政治性によって分析されることが多いこの変化についても、解釈方法論の寄与する部分があり、その点を明らかにすることで、日本の理論動向との架橋を図る。また、研究成果をまとめる前に、分析をブラッシュアップするため、関連する分野の研究会等に参加をし、報告の機会を求めることで、研究の底上げを図る予定である。
|
Report
(3 results)
Research Products
(7 results)