Project/Area Number |
20K01304
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
安井 栄二 立命館大学, 法学部, 教授 (00511221)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 繰越欠損金 / 青色申告 / 白色申告 / 記帳義務 / 最低課税 / 濫用防止 / 損金算入制限 / 連結納税制度 / 企業組織再編税制 |
Outline of Research at the Start |
法人の所得計算は、人為的に設けられた事業年度ごとに行われているため、ある事業年度に生じた「欠損金」を翌年以降に繰り越さなければ、「法人の真の所得金額」が計算できない。しかし、法人税法上の繰越欠損金の損金算入には様々な制限が設けられており、「法人の真の所得金額」の計算が妨げられているケースが存在している。 本研究は、そのような制限を撤廃するための理論的根拠を提示するために、そのような制限が設けられている趣旨や効果を検証した上で、そのような制限が撤廃された場合に生じうる問題点等について検討を行うものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
繰越欠損金の損金算入の適用要件として、現行制度では青色申告が要求されている。繰り越された欠損金が適正なものかどうかは、過去の事業年度の帳簿によって検証するほかなく、当該帳簿の作成や保存が義務付けられている、いわゆる青色申告法人であれば、当該検証が可能となることがその理由であるとされてきた。 しかしながら、現行法上は、青色申告の承認を受けていない普通法人である、いわゆる白色申告法人にも記帳義務や帳簿保存の義務があり、申告に当たって当該事業年度の貸借対照表や損益計算書等を添付しなければならない(法人税法74条3項)。そのため、過去の事業年度の帳簿による繰越欠損金の検証は、白色申告法人においても可能であると思われる。 これに対して、白色申告法人は青色申告法人に比べて記帳義務の程度が軽く、繰越欠損金の検証には適さないといった反論が考えられる。確かに、記帳義務の程度は、白色申告法人の方が「簡便な方法」(法人税法150条の2)でよいとされる。ただし、青色申告法人と白色申告法人が帳簿等に記載すべき事項について詳細を規定した法人税法施行規則別表21(青色申告法人の帳簿の記載事項)と別表23(白色申告法人の帳簿の記載方法)を比較しても、その内容はそれほど大差ないように思われる。何より、白色申告法人は青色申告法人と同様に作成した帳簿等をもとに、各事業年度の所得の金額を算定し法人税の申告を行っている。仮に、白色申告法人が赤字であった場合に、当該法人の記帳内容では正確な欠損金額が算定できないというのであれば、そもそも白色申告法人の法人税額の申告には正当性が無いということになるが、これは妥当ではない。 そうすると、繰越欠損金の損金算入要件として青色申告を求めることの理由付けはないことになる。そのため、繰越欠損金の損金算入が青色申告法人にのみ認められることに合理性があるとはいえないものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
欠損金の繰越しの期間制限や繰越欠損金の損金算入制限の問題に関する日独の比較の研究に関しては、概ね本研究の目的を達成できたと考えている。ただし、繰越欠損金制度のあるべき姿を構築するという最終的な本研究の到達目標の達成にあたっては、欠損金の取扱いに関するドイツの議論の検討がまだ不十分であり、この点に関する掘り下げた検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ドイツの繰越欠損金制度について、研究を行う。そして、これまでの研究実績を踏まえて、我が国における欠損金の取扱いについて、繰越欠損金の期間制限や損金算入要件を中心に、一定の提言をまとめたいと思う。
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