Project/Area Number |
20K01351
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05050:Criminal law-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土井 政和 九州大学, 法学研究院, 特任研究員 (30188841)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 保護観察の民営化 / ソーシャルワーク / 民間団体 / 更生保護 / 福祉 / 処遇モデル / デジスタンス論 / 保護観察 / 民間参入(民営化) / 保護観察モデル論 |
Outline of Research at the Start |
保護観察への民間参入(民営化)の諸形態を国際比較研究によって類型化し、その長短を分析するとともに、犯罪行為者処遇理論をも考慮しつつ、保護観察の理念であるソーシャルワークを発展させた持続可能な保護観察制度論を構築することを目的とする。特にイギリス、ドイツ、フランスにおける最近の保護観察の民間参入・民営化の形態及び試行の背景と実情を探り、日本における保護観察と民間(福祉)団体等との連携のあり方と比較検討を行う。その際、民間参入形態を四つにモデル化し、犯罪行為者処遇理論であるRNRモデル及びGLモデルとの関係性を探る。そのうえで、ソーシャルワークの理念を発展させた持続可能な保護観察制度論を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、保護観察への民間参入の諸形態を国際比較研究によって類型化し、その長短を分析するとともに、犯罪行為者処遇理論をも考慮しつつ、保護観察の理念であるソーシャルワークを発展させた持続可能な保護観察制度論を構築することを目的とする。 これまで、日、英、独における保護観察の民営化に関する文献・資料を収集し、その整理と分析を行ってきた。英国では、保護観察の刑罰化、中央集権化、管理主義・成果主義の貫徹、一部民営化によって、ソーシャルワークの理念に基づく対象者の社会復帰支援から社会防衛へと保護観察制度が変容してきた。他方で、一部民営化が挫折するとともに、近年のデジスタンス論の影響により処遇理論の見直しも進みつつあることを明らかにした。ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州では、保護観察業務全体を民間福祉団体に委託するという画期的な試みが管理運営の法的枠組みの不備によって挫折し、再び国家制度へと転換した。ドイツでもデジスタンス論やGLモデルの保護観察理論への影響が見られるが、これについても、昨年に引き続き、各州における再社会化法案の検討とともに分析を進めている。フランスでは、社会内処遇への民間団体の関与の在り方が注目されてきた。現在、民間団体は司法省と雇用契約を締結するという形態で活動しているが、民間団体の活動範囲が拡大、多様化するとともに、裁判官が民間団体に対象者の監視的役割を期待するようになり、福祉的役割を担う民間団体においては司法機関との協力にジレンマが生じていることが明らかになった。これらの点については、昨年度に引き続き検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、保護観察における民間参入(民営化)の実態を、日本、イギリス、ドイツ、フランスについて聞き取り調査を行う予定にしていた。しかし、コロナ禍のため、現地における実態調査を行うことができなかったため、現地での実態調査に代えて、本テーマに関する各種の実態調査報告書や各機関の実践報告、研究論文やweb情報などを収集・整理し、分析を進める方法をとることにした。昨年度に引き続き、①日本については、政府関係文書、法務省による更生保護施設や保護司などに関する報告書、薬物犯罪者、性犯罪者などに関する保護観察アセスメント・ツールの評価報告、刑法・刑事収容施設法・更生保護法の一部改正に関する資料、再犯防止に関する条例等、地域生活定着支援センターの活動報告など、保護観察や処遇理論に関する研究論文、②イギリスについては、保護観察民営化に関する司法省関係報告書、報道機関による記事、デジスタンス論などに関する研究論文、③ドイツについては、再社会化法モデル案、出所者支援のための実態調査と研究論文、バーデン・ビュルテンベルク州における保護観察体制の改革に関する資料、保護観察における統制と支援の衝突に関する文献資料、デジスタンス論やRNRやGLMなどの処遇モデルに関する研究論文など、④フランスについては、保護観察への民間団体(アソシアシオン)の関与に関する資料などを収集し、検討を重ねている。しかし、収集した資料等の整理、分析・検討に想定していた以上の時間を要することから、研究期間を1年間再延長することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍のため、本研究で当初予定していた現地実態調査を行うことができなかったことから、昨年度と同じく、現地での実態調査に代えて、本テーマに関する各種の実態調査報告書や各機関の実践報告、研究論文やweb情報などを収集・整理し、分析・検討を行う研究方法に変えた。研究期間を1年間再延長することになったため、引き続き、各国において保護観察制度の在り方を見直すことになった社会的背景と制度改革の功罪を含め、保護観察の民間参入(民営化)に関する情報を分析・検討するとともに、保護観察の理論的検討を進める。特に、デジスタンス論、RNRモデルやGLモデルの保護観察制度への影響を分析する。また、当初の研究指針に基づき、国による保護観察と民間団体等の関与の形態を4つのモデルに分類し、モデル間相互の関係を理論的に検討する。そのうえで、ソーシャルワークの理念を発展させた持続可能な保護観察制度論を構築したい。
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