Project/Area Number |
20K01355
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05050:Criminal law-related
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
甘利 航司 國學院大學, 法学部, 教授 (00456295)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 監視 / 電子監視 / 再犯 / ストーカー / 処遇 / 未決 / GPS / 社会復帰 / 刑事制裁 / 被害者 |
Outline of Research at the Start |
諸外国においては、電子監視という制度が存在する。これは、拘禁の代替策として、タグを対象者(offender)に付加して、対象者の居場所を把握する制度である。二つの類型があり、一つ目は対象者が自宅にいるかどうかを把握するというものであり(RF型と呼ばれる)、二つ目は対象者が自宅を含めてどこにいるかを24時間体制で把握するというものである(GPS型と呼ばれる)。欧米ではRF型及びGPS型の電子監視をストーカーの加害者(offender)に付加し、被害者を保護するシステムが実施されている。本研究は、このような、ストーカーの被害者の保護システムを我が国でも構築することについて研究するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、刑事訴訟法の改正があり、そのことに対する対応に終始した。刑訴法の新規定は、被告人に保釈を認める際に、国外への逃亡防止としてGPS型電子監視を付することを認めた。これは、性犯罪者対策としての実施と非常に近似するが、本科研費で扱ってきた、加害者と被害者に付する場合と完全に異なるわけではない。それは、かなり特定した目的のために電子監視を使用しているからである。また、新規定は、今後の拡がりを含んでおり、まず、既に指摘されているが、被害者(や証人)の保護である。そして、こうなってくると、本科研費の想定している使用方法とほとんど重なってくる。 以上ような問題意識から、法学セミナー誌上にて、「GPS型電子監視を使用した保釈―刑事司法の転換点」と題した論考を公刊した。電子監視に関する、今までの諸外国の議論と新規定との関係を示したものであり、特に他の解説が出される前に、先んじて、議論を展開したものであるため、それなりに意義があるものと考えている。 他方で、諸外国における、近時の動き(最新の動き)については、情報としては入ってきているが、まだ、公刊できていない。それは、2024年度の課題である。 このことに関し、ここ2年間で、英語・ドイツ語で公刊された電子監視の書籍・論考は非常に多かった。特に、従来とは、視点が異なるものが目についた。そのため、広い視点で研究をする必要があると考えており、原稿化はまだできていないが、上記の公刊予定の原稿に組み入れるだけの研究の準備は行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
法学セミナー誌上にて、「GPS型電子監視を使用した保釈―刑事司法の転換点」と題した論考を公刊した。これは、諸外国の議論と刑事訴訟法の新規定との関係を示したものである。他の解説・論考が出される前に、先んじて、議論を展開したものであり、研究代表者としては、それなりに意義がある論考を公刊できたと考えている。 特に、規定が前提としている、監視の機器については、立法者が前提としているであろうものを詳らかにすることができた。更に今後の動向と、本科研費の研究との関連性を示すことができた。 他方で、諸外国における、ストーカー対策としての電子監視については、近時の動き(最新の動き)について、情報としては入ってきているが、まだ、公刊できていない。特に、南ヨーロッパでの動向や、北米、正確にはアメリカ北部の動向は、注目すべきものが多くあるが、論考としてまとめられていない。同様に、アメリカでは、憲法上の問題点を示すものが多く出てきているが、それらについても、論考としてまとめきれていない。もっとも、進行として遅れているわけではない。2024年度の課題として公刊を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年から2023年に渡って、英語・ドイツ語で公刊された電子監視の書籍・論考は非常に多かった。特に、従来とは、視点が異なるものが目についた。そのため、広い視点で研究をする必要があると考えている。 また、2023年になされた刑訴法の改正により登場した新規定は、被告人に保釈を認める際に、国外への逃亡防止としてGPS型電子監視を付することを認めた。これは、性犯罪者対策としての実施と非常に近似するが、本科研費で扱ってきた、加害者と被害者に付する場合と完全に異なるわけではない。そこで、刑訴法改正後の動向と本科研費のテーマとの近接性を意識して、議論をすすめたいと考えている。そして、刑訴法改正に伴い、電子監視の研究が、世間の耳目をあつめるようになった。多くの人の意見(世論)も全く無視できるわけではないため、そういった、従来はあまり意識してこなかった議論も参考にして、研究の最終年度の研究成果を公刊したいと考えている。 また、近時、RF型の重要性が等閑視されてきたが、いくつかの文献を読む限り、重要性を失ってないことが分かったので、この部分についても議論としてまとめる予定である。
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