Interdisciplinary Analysis of Contracts Between Business Firms
Project/Area Number |
20K01367
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉政 知広 京都大学, 公共政策連携研究部, 教授 (70378511)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 民事法学 / 契約法 / 組織型契約 / 取引費用論 / ケイパビリティ論 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、取引社会において極めて重要な役割を果たしていながら、従来の契約法理論が十分な規律を提示しえていない「組織型契約」に関する分析を行なうものである。従来の契約法理論は、「組織型契約」の経済的機能を十分に把握することができていなかったという点に大きな問題を抱えていたと考えられる。そこで、本研究では、経済学と経営学の領域における研究成果の知見を活用して、「組織型契約」がどのような経済的機能を果たしているのかを把握した上で、①契約の解釈(内容確定)方法に関する準則の提示、②契約の締結過程に妥当する法的規律の解明、③契約の解消が認められる要件論の提示を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、企業間で締結される契約、とりわけ両当事者が互いのノウハウ、情報等を持ち寄って事業等を行なう契約類型を「組織型契約」と称して、主たる検討の対象としている。中心的な検討課題は、1.「組織型契約」の解釈(内容確定)方法に関する準則の提示、2. 契約の締結過程に妥当する規律の解明、3.「組織型契約」の解消が認められる要件論の提示という3点である。研究の実施にあたっては、①隣接諸科学の知見も踏まえつつ「組織型契約」の基礎理論を構築するという理論的・基礎的な研究と、②「組織型契約」の解釈、成立、解消にかかわる具体的な問題・紛争を取り上げて、その解決指針を提示する各論的な研究という、2つの系統の研究を並行して進行する手法を採用している。 本年度(令和4年度)は、前年度まで進めてきた理論的・基礎的な研究を踏まえて、各論的な研究、とりわけ本研究課題の中心的な問題の一つである、契約の解釈方法論(契約の内容確定方法論)について検討を進めた。検討は順調に進捗しており、その成果の一端を契約解釈方法論に関するシンポジウムで報告した。当該シンポジウムには、契約解釈方法論に関して日本の議論をリードしてきた法学研究者のほか、2017年の民法改正にあたって重要な役割を果たした、元裁判官、弁護士も参加されており、理論的、実践的に非常に有意義な報告と意見交換が行なわれた。 さらに、理論的・基礎的な研究に位置づけられるものとして、日本法における契約の拘束力とその限界を分析した論文をイギリスの出版社から刊行された書籍に寄稿した。これは、香港を中心とするアジア各国の研究者、実務家との共同研究の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、①「組織型契約」の基礎理論を構築するという理論的・基礎的な研究と、②「組織型契約」の解釈、成立、解消にかかわる具体的な問題・紛争を取り上げて、その解決指針を提示する各論的な研究という、2つの系統の研究を並行して進めている。 理論的・基礎的な研究の成果として、「組織型契約」を含む契約の不履行があった場合の基本的な救済手段である「履行の強制(民法414条)」に関する包括的な注釈を令和3年度に公表したほか、本年度(令和4年度)は、①理論的・基礎的な研究と②各論的な研究の結節点に位置づけられる契約解釈方法論(契約の内容確定方法論)について一定の成果を得ることができた。契約解釈方法論については、本年度の成果を踏まえて、次年度(令和5年度)も引き続き研究を進める予定である。 各論的な研究としては、会社・株主間契約に関する書籍の分担執筆(令和2年度)、消費者法分野における立法のあり方を検討する書籍の分担執筆(令和3年度)などの成果を公表してきているほか、企業間取引において不可欠な問題である「支払決済」についても第一線の実務家と共同研究を進めてきており、次年度、その成果を公表する予定である。 さらに、本研究課題を申請した時点以降に生じた重要な課題として、2020年から深刻化した新型コロナウィルス感染症の拡大が取引関係にどのような影響を及ぼすのかという問題がある。ポスト・コロナ社会のインフラストラクチャーとなりうる契約法理論を提示するという課題は、民事法学にとって極めて重要な課題となっているところであり、企業間取引への影響とその対応のあり方を中心として、本研究課題の成果を踏まえた発信を国内外に対して行なってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度(令和4年度)まで進めてきた①理論的・基礎的な研究と有機的に結びつける形で、次年度(令和5年度)は、主に②「組織型契約」の解釈、成立、解消に関する各論的な研究を遂行する予定である。 ①理論的・基礎的な研究と②各論的な研究の結節点に位置づけられる、「組織型契約」を中心とした契約の解釈方法論(内容確定方法論)については、すでにその成果の一端を研究者と実務家の共同シンポジウムで公表している。その後の研究成果も踏まえた研究論文を次年度に公表する予定である。 ②各論的な研究として、本研究課題のもう一つの中心的な問題である、「組織型契約」の解消が認められる要件論についても研究を進めてきている。この問題については、本年度まで諸外国の契約法理論と隣接諸科学の知見の摂取にとどまってきた面があるが、次年度、その成果を研究論文として公表する予定である。その他の各論的な研究として、企業間取引において重要な意味をもつ「支払決済」に関する共同研究を、専門の研究者、実務家と進めてきており、その成果も書籍への寄稿論文という形で公表する予定である。 さらに、新型コロナウィルス感染症の拡大に民事法理論がどのように対応するべきかという問題についても、本研究課題の成果を踏まえた発信を行ってきたが、感染症が落ち着きを見せ始めている2023年春現在、コロナ禍への対応と今後の課題を改めて分析することが重要な課題となっている。こうした社会的な要請にも、本研究課題の研究成果を活かした形で応えることを引き続き試みたい。
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Report
(3 results)
Research Products
(16 results)