Project/Area Number |
20K01372
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2023) Osaka City University (2020-2021) |
Principal Investigator |
藤井 徳展 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (40381975)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 債権担保化 / 集合債権譲渡担保 / 将来債権譲渡 / 債権譲渡 / 相殺 / 債権質 / 担保の機能 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、 特に売掛債権の包括的な担保化による資金調達を例として、従前の担保概念を相対化して捉えつつ、担保の機能の分析を行う(マクロ的観点)。また、債務者・担保設定者の通常段階から危機段階までの、担保の効力の分析を行う(ミクロ的観点)。こうして担保の本質に迫ることを主題とする。 さらに、賃料債権にかかる諸問題(担保化、相殺、差押等、また契約上の地位の移転等)、預貯金債権にかかる諸問題(担保化、相殺、差押等、また相続等)を関連問題として、売掛債権の担保化にかかる議論との連関に留意しながら、固有の分析視角を提示する。こうして主題と関連問題で、重層的アプローチを試みるのが、本研究の概要である。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度中は、研究計画所掲の主題のうち、担保の効力の分析(債務者・担保設定者の通常段階の法律関係から危機段階の法律関係までの分析)を、令和2年度以来引き続き進めた。 とくに、令和5年度には、担保法制の見直しについて、法制審議会担保法制部会(令和3年諮問第114号)で、担保法制の見直しに関する中間試案(令和5年1月。以下、「中間試案」という。)公表後、要綱案のとりまとめに向けた検討が進展した。本研究との関係では、令和4年度に引き続いて、とくに、債権譲渡担保をめぐる法的諸問題 ── 設定・対抗、期中管理と、設定者倒産に焦点を合わせて、法制審議会の議論をフォローすることが中心となった。「8.今後の研究の推進方策」所掲のように、本研究の1年間の延長期間中に担保法改正の改正論議に触れることは、本研究にとって不可欠であることはもちろんのこと、上記債権譲渡担保法制をめぐる法的諸問題にかかる課題を設定し検討を進めるにあたって、方針をとる(方向を誤らないようにする)ための好機ととらえている。 その他、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律98条の定める作業報奨金の支給を受ける権利に対する強制執行の可否にかかる判例(最決令和4年8月16日民集76巻6号1271頁)を素材として、作業報奨金の法的性質にせまりながら、債権観・将来債権の概念、将来債権の譲渡の構造分析等の検討を進める手掛かりとした(これについては、「大阪公立大学民法研究会」(令和5年度第11回)にて、判例評釈の原稿作成・提出前の報告をした)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和4年度が本研究計画年度最終年度であったが、本研究の遂行に時間を要するという状況に変わりがなく、令和5年度も、担保法制の見直しに関する中間試案公表後の要綱案のとりまとめに向けた検討について議論をフォローすることにとどまった(法科大学院向けの講義準備、教科書改訂準備を兼ねるものであった)。その他、「5.研究実績の概要」所掲のように、本研究に関連する判例評釈にかかる大阪公立大学民法研究会における報告ができたのみである。それゆえ、現在までの進捗状況は、遅れているといわざるを得ず、完遂にはまだ時間を要する(なお、補助事業期間の1年間の延長、新型コロナウイルス感染症の拡大による研究計画変更等を理由とする1年間の再延長については、学振承認済みである)。
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Strategy for Future Research Activity |
「7.現在までの進捗状況」所掲のように、令和4年度が本研究計画年度最終年度であったが、本研究の完遂にはまだ時間を要する。(本来の)研究計画年度、補助事業期間の1年間の延長期間に引き続き、1年間の再延長期間内に、研究計画所掲の主題のうち、担保の効力の分析(債務者・担保設定者の通常段階の法律関係から危機段階の法律関係までの分析)を中心に、「大阪公立大学民法研究会」等で研究の経過を報告するなどしたうえで、大阪公立大学法学雑誌のほか、各種媒体において、研究の成果を公表する。令和5年度中の判例評釈の原稿作成のように、各種媒体において、本研究に関連する成果の公表もすすめる。本研究を令和6年度の1年間再延長したものの、この最中にも、法制審議会担保法制部会の、担保法制の見直しに関する要綱案のとりまとめに向けた検討が進展している。令和5年度にも書き留めたように、法制審議会民法(債権関係)部会(平成21年諮問第88号)の例を参考にするならば、担保法についても今後、様々な力学で紆余曲折を経て各条の最終案にいたる、というのが常であろう。本研究について、研究の成果の公表が遅れればそれだけ陳腐になってしまうというそれがあるものの、他方で延長期間中に担保法改正の改正論議に触れられることを好機ととらえて、なお積極的に研究をすすめていきたい。
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