Project/Area Number |
20K01471
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
竹中 治堅 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70313484)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 安全保障政策 / 外交政策 / 首相 / 指導力 / 内閣官房 / 参議院 / 自由で開かれたインド太平洋 / 国家安全保障会議 / 国家安全保障局 / 外交 / 安全保障 |
Outline of Research at the Start |
1990年代後半以降、1994年の政治改革や2001年の省庁再編により、首相の指導力は制度的に強化された。一方、指導力への制約も残った。本研究は首相の指導力のあり方が1990年代後半以降、日本の外交・安全保障政策の内容及び決定過程に及ぼしてきた影響を明らかにする。このため三つの課題に取り組む。(1)1990年代後半以降の時期に外交・安全保障政策分野で、首相の指導力が制度的に強化されたことを示すこと。(2)同時期に指導力が強化されたことが外交・安保政策の内容及び決定過程に及ぼした影響を解明すること。(3)同時期に、外交・安全保障政策の立案過程で、参議院が首相の指導力に及ぼした制約を分析すること。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主な目的は次の三つである。(1)1990年代後半以降の時期に、外交・安全保障政策の分野で首相の指導力が制度的に強化されたことを示すこと。(2)首相の指導力が制度的に強化されたことが外交・安全保障政策の内容及び決定過程に及ぼした影響を通時的分析や比例事例分析を通じて解明すること。 (3)この時期に外交・安全保障政策の立案過程で参議院が首相の指導力に及ぼした制約を分析すること。本研究はこれまで、1990年前半から実施された政治改革、中央省庁再編、公務員制度改革などの制度変革を通じて政策決定過程全般における首相の指導力が55年体制の頃に比べ強化されたことを示した。さらに、国家安全保障会議と内閣安全保障局の設置が外交・安全保障政策分野における指導力を拡大したことも明らかになった。一方でこの間を通じて参議院が首相の指導力を制約してきたことを明らかにした。 首相の指導力が強化された一事例として日本が「自由で開かれたインド太平洋」構想を展開する経緯や構想の下で立案される政策を分析した。構想の特徴は安全保障政策と経済政策を組み合わせた包括的戦略となっていることである。55年体制のもとでこうした戦略が構想されることはなかった。このような政策立案が可能になったのは首相が指導力が向上し、特に内閣官房を活用し、複数の省庁に同じ方向性を持つ政策を立案させることが可能になったためであることを明らかにした。一方、参議院の役割については1980年代後半以降から外交・安全保障分野において新規政策を展開する過程で、参議院が強い影響力を発揮することを示した。具体的には与党が参議院で過半数議席を欠く場合や参議院で与党勢力を過半数にすることを目的に連立政権が成立している場合、首相は野党や連立与党から支持を得るために政策を修正したことなどを明らかにした。成果を編著、英語査読誌、学会等で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で記したように、研究はこれまでに、1990年以降に、政治改革、中央省庁再編、国家安全保障会議創設などの制度改革が実施されたことによって外交・安全保障分野における首相の指導力が55年体制の頃に比べ強化されたことを示した。その一方でこの期間を通じて参議院が首相の指導力を制約してきたことを明らかにした。この研究は、その目的として(1)1990年代後半以降の時期において、外交・安全保障政策の分野で首相の指導力が制度的に強化されたことを示すこ と。(2)首相の指導力が制度的に強化されたことが外交・安全保障政策の内容及び決定過程に及ぼした影響を通時的分析や比例事例分析を通じて解明すること。 (3)この時期に外交・安全保障政策の立案過程で参議院が首相の指導力に及ぼした制約を分析することを設定した。以上の目的については予定した4年間の研究期間中に概ね十分な成果を挙げることをできたのではないかと考えている。 ただ、研究開始時点では既にコロナ危機が発生しており、在外研究者との意見交換やインタビューの実施が2020年度から22年度後半の間は困難となった。本研究は国内政治制度と対外政策の関係についての比較政治・国際関係論などの理論的先行研究を参考に分析枠組みを構築することを構想している。一般的に、理論については海外、特に北米の研究機関においては先駆的な研究が進んでいる。このため、本研究の分析をさらに精緻なものにすると共に国内政治制度と対外政策の関係についての一般理論構築に貢献する内容とするためには在外研究者との意見交換を行うことが望ましかったが、十分行うことができなかった。また「自由で開かれたインド太平洋」戦略の推進など一部の政策については形成過程をさらに明らかにするためにはより多くのインタビューの実施することが望ましかったが、これも困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」に示した通り、コロナ危機のために本研究の分析をさらに精緻にするとともに、国内政治制度と対外政策の関係についての一般理論構築に貢献する内容とするために海外に渡航し、在外研究者との意見交換を十分行うことができなかった。また一部の政策については形成過程をさらに明らかにするためのインタビューを十分実施することもできなかった。 このため、2024年度においては海外の研究機関や学会の発表、在外研究者との意見交換を通じて、国内政治制度と対外政策の関係についての一般理論に関する近年の研究を参考にしながら、分析枠組みを見直すとともに、本研究の国内政治制度と対外政策の関係についての一般理論への視察についての考察をさらに進める。 また、「自由で開かれたインド太平洋」戦略など一部の政策形成過程を明らかにするためにさらにインタビューを実施する。
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