日本人の防衛観と憲法意識に関する実験および歴史的分析
Project/Area Number |
20K01479
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
境家 史郎 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (70568419)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 憲法 / 国民投票 / 防衛政策 / 世論調査 / 実験 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題では、日本人の防衛政策志向(以下、防衛観)が長期的にどのように変化してきたのか(RQ1)、また憲法改正の国民投票において、改正内容や投票環境・手続きによって、有権者の反応がどのように変わるのか(RQ2)の2点の解明を目指す。RQ2の焦点は憲法9条改正の是非に置かれ、広い意味で国民の防衛観を探ることが目的になっている点で、2つの課題は密接に関連する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度では、戦後日本政治における憲法問題(憲法改正をめぐる争点)の重要性を歴史的、実証的に示した論考をまとめ、5月の日本選挙学会で報告するとともに、同学会の機関誌『選挙研究』に掲載することができた。戦後日本の政党システムは、1950年代初頭の憲法問題の争点化にともない、保守政党の優位、与野党間のイデオロギー的分極性を特徴とするようになった。この性質が、2010年代の政党システムでもなお持続していることは、政党支持率データや政治家調査データなどから明らかにされている。具体的には、近年の野党第一党・立憲民主党は、憲法問題での立ち位置によって与党・自民党から遠く離れ、日本維新の会や国民民主党といった他の野党との関係も悪化させている。こうした状況は「ネオ55年体制」と呼ぶことができる、というのが本研究の議論である。
また当年度では、前年度に引き続き、国民の防衛政策観に関する過去の世論調査データについて、さらに収集を進めた。当年度では、政府、NHK、朝日新聞社、読売新聞社、毎日新聞社が戦後に実施した世論調査の結果を網羅的に調べていき、おおむね2017年頃までについてデータベース化がなされた。データベースには、各世論調査の質問文や選択肢の文言、回答集計結果の数値だけでなく、各調査のメタデータ(調査実施日、標本抽出法など)の情報も含まれており、他に例のない包括的なデータセットとなっている。さらには、このデータを用いて、自衛隊や日米安全保障条約に対する世論の推移などの分析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果は令和5年度に発表する予定であったが、計画を前倒しし、成果の一部の公表を進めた。その結果、『選挙研究』(第38巻2号)に「ネオ55年体制の完成―2021年総選挙―」と題する学術論文を公刊することができた。
また、当年度では、前年度に引き続いて、国民の防衛政策観に関する過去の世論調査データについて収集を進めることを計画していたが、この作業も予定通りに行われている。当年度までに、1940年代から2017年頃までの世論調査結果がデータベース化されており、ほぼ完成した状態にある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は分析内容の確定と結果の解釈に専念し、各時期のエリートレベルでの防衛論議と世論との対応関係について、また実験研究と既存世論調査の結果との整合性について検討を行う。各時期の日本人の防衛観について、本研究では基本的に探索的、記述的分析のスタイルで明らかにしていく一方、総体として境家が過去の研究で暫定的に提示していた「現状保守主義仮説」―政府が防衛政策を現状変更しようとすると、一時的に反発する有権者は多い。しかし新政策が既成事実化すると多くの人が受け入れるようになる―の妥当性を検証することも目的にしている。以上すべての研究成果について、最終年度には関連学会で総括的な報告を行い、学術論文あるいは研究書としてまとめる。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)