Project/Area Number |
20K01504
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
野井 明日香 (長久明日香) 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 准教授 (20710677)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 「官僚主導型/官邸主導型」の対外政策決定過程 / 対外政策決定過程 |
Outline of Research at the Start |
現政権の外交政策の特徴としてよく指摘される「官邸主導外交」とは何なのか、これまで学問的に十分分析されてきたとは言い難い。国内政治学においては、日本の政策決定過程が「官僚主導から官邸主導へと変化した」と分析する研究は多いが、それをそのまま対外政策決定過程の分析に応用することは可能であろうか。本研究では、「そもそも日本の対外政策決定過程は変化したのか」ということを学術的な問いとし、そして「変化したならば、なぜ、どのように変化したのか」という点を時系列で分析することで、日本の対外政策決定過程の変化とその内容を明らかにし、日本の対外政策決定過程のモデルを考案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
年次計画では、3年目の令和4年度は、1,2年目の研究成果を踏まえ、モデルを検証する予定であった。しかし、1年目の研究では、先行研究の整理とこれまでの対外政策決定過程研究の再検討に取り組んだものの、1970年代など限られた期間しか研究を進めることしかできなかった。また、2年目の研究では、1980年代以降の「外圧論」についても再検討する予定であったが、事情により先に1990年代の政治制度改革期における対外政策決定過程の変化を中心に先行研究調査を進めた。その結果、2年目において実施するはずであった、「官僚主導型/官邸主導型」の対外政策決定過程のモデル化の結果に基づいて両者を比較するための研究に取り組むことが出来なかった。 他方で、2年目の研究においては、「官邸主導型」のモデル化を進めるために必要と考える、経済問題と安全保障問題に関する理論的な考察を実施するために、経済安全保障政策に関する先行研究の調査と分析を開始した。これによって、官邸主導型の政策決定のモデル化に向けた分析が進展した。ただし、こうしたモデル化を実証的に検討するための資料調査や予備研究が十分進展せず、3年目の研究課題であるモデルの検証には至らなかった。 最後に、資料収集、インタビュー調査に関しては、昨年度は主に1990年代を中心に、対外政策決定過程の中心的アクターと考えられる政治家、官僚等の回顧録、著書を収集・分析したが、今年度はその結果を踏まえ、2000年代や政権交代期の政治家や官僚等に関する調査を進めた。今後は政治的立場や時代状況を踏まえた比較研究をさらに進める予定である。これまで感染症対策の観点から、省庁の元官僚、現役官僚に対するインタビュー調査を差し控え、専ら資料による研究を行ってきたが、今後は対面での聞き取り調査などによってこれまでの研究の実証を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
まず、1年目と2年目の先行研究調査によって、1970年代から1990年代にかけての調査が進展した。その一方で、調査の過程でさらに2000年代の資料収集をする必要性を感じたり、経済と安全保障領域との関係、政権交代期を意識して野党政治家の調査等にも分析を進めるようになったりしたことで、全体的な調査に遅延が生じた。また、1年目、2年目においては、コロナ禍での移動制限によって実務経験者等への聞き取りや東京での資料収集などはほとんどできなかった。そして、本年度は、これまでの研究をまとめてモデル化する作業に集中したことで十分なインタビュー調査を実施できず、理論の実証についてはほとんど研究を進めることが出来なかった。 ただし、研究実績の概要にも記したように、これまでの研究で官僚主導型と官邸主導型の政策決定モデルの研究は順調に進んでおり、今後の研究によってモデルの実証研究を進め、最終段階に進む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によって、日本の対外政策決定過程のモデル化に必要な資料収集、予備調査を終え、「官僚主導型/官邸主導型」のモデル化をすることが出来た。そして、両者のモデルの比較分析・時系列分析によって、変化の時期、安全保障・政治分野と経済分野との関係性についても議論を深めることが出来た。資料収集も2年目の後半以降は順調に進んでおり、モデルの予備的な検証は進んでいる。 今後は、モデルの検証と拡張のために複数の省庁の元官僚、現役官僚等への聞き取り調査を実施し、さらに複数の事例研究を進め、研究を完成させる。
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