Project/Area Number |
20K01527
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
|
Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
大原 俊一郎 亜細亜大学, 法学部, 准教授 (00755861)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
|
Keywords | 諸国家体系の成熟 / 集団安全保障 / 多極均衡 / 国際協調 / 勢力均衡 / 平和秩序の構築 / 自由主義の再検討 / 大国政治 / 東西対立の起源 / ヨーロッパ協調 / ウィーン会議 / 両大戦の起源 / 世界協調 / 国際秩序構築 / 両大戦の原因 / 自由民主主義の再検討 / 平和構築 / 国際安全保障 |
Outline of Research at the Start |
18世紀から19世紀初頭にかけて、理想主義と現実主義の総合の結果として達成された「諸国家体系の成熟」とその具体的成果としての「ヨーロッパ協調」の観点から戦間期を再検討し、とりわけ戦間前期における国際システムの成熟(=世界協調)に真に寄与するはずであった構想や試み、そしてそれを阻害した諸要因を総合的に検討する。研究の重心は東アジアにあるが、最終的には世界秩序全体の相互連関を解明することを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、18世紀から19世紀にかけての「諸国家体系の成熟」とその具体的成果としての「ヨーロッパ協調」の観点から戦間期を再検討し、とりわけ戦間前期における国際システムの成熟(=世界協調)に真に寄与するはずであった構想や試み、そしてそれを阻害した諸要因を総合的に検討する。本年度の実績としては、次のようなものを挙げることができる。 ①戦間前期国際秩序との比較対象となるウィーン体制期の集団安全保障の構造的前提と形成プロセスを明らかにした。 ②そうした集団安全保障の構造的前提が形成された起源を特定し、そこからの発展過程を明確化し、素描的であっても指し示した。 ③戦間前期における秩序形成の構造的欠陥を特定し、「諸国家体系の成熟」との比較の中で論じた。 ④国際秩序の構造的発展過程の中で、勢力均衡について、二極均衡と多極均衡の違いを具体的に説明し、二極均衡は17世紀以来(厳密には16世紀以来)幾度も戦乱を巻き起こしてきた未熟な国際秩序構造であり、単極支配についてもフランスの覇権に対する対仏大同盟にみられるように二極均衡と不即不離の関係にあり、ともに未熟な段階の国際秩序構造であることを(素描的に)示すことができた。国際政治史の発展過程を正しく読み込めば、多極均衡を成熟させることによってのみ国際秩序の永続的安定化に資することができ、この意味において、二極安定論も覇権安定論もある種「反社会的」ともいうべき国際秩序の逆コースを牽強付会に正当化するための議論と位置付けるべきではないかと指摘した。こうした多極均衡の安定化を通じてのみ国際秩序を永続的に安定化させることができるとする議論は、(大国間のパワー配分の均等化を通じた)多極均衡の形成に失敗した戦間前期の国際秩序の構造的欠陥を明確化するためにきわめて重要な前提となる。 以上の論点の検証を単行論文として公開した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国際政治史の大構造の解明というスケールの大きな検証作業を進め、その中で戦間期の個別の事件史と構造を位置付ける作業を進めているため、当初の計画からは遅れが生じている。ただし、戦間期国際秩序の構造的欠陥を特定し、それを具体的に説明する作業は着実に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
国際政治史の大構造の解明というスケールの大きな検証作業を進め、戦間期国際秩序の構造的欠陥を特定し、それを具体的に説明する作業は着実に進んでいる。ただし、現段階では国際秩序の構造的発展を説明する際にきわめて重要な「諸国家体系の成熟」の説明を素描的な形でしか示していない。そのため、失敗事例としての戦間期国際秩序の構造的欠陥をより切迫感を持って具体的に説明するためには、成功事例たる「諸国家体系の成熟」のプロセスを具体的に説明していく必要があり、2024年度前半はこの部分の明確化に努め、2024年度内に研究成果を公開する。また2024年度後半は失敗事例たる戦間期について国際秩序形成の点においても「極端な世紀」として20世紀史全体の中で位置付け、具体的に説明していく作業を進め、2024年度後半の研究成果を2025年度に公開する。2024年度末に1年間の延長を申請し、2025年度はそれまでの構造的解明を踏まえて、ワシントン体制の個別の事件史と構造を詳細に位置付けていく。可能であれば、ヴェルサイユ体制と国際連盟の個別の事件史と構造を詳細に位置付ける作業を進め、戦間前期国際秩序全体の欠落と欠陥の全体像をきわめて明瞭かつ具体的に示していく予定である。
|