都市における環境リスクの軽減の経済効果に関する研究
Project/Area Number |
20K01602
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
太田 充 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10176901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛島 光一 筑波大学, システム情報系, 助教 (80707901)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 東京都低排出ゾーン(LEZ) / 大気汚染物質 / ディーゼル車の排出ガス / 自動車排出ガス削減 / 健康被害軽減 / 労働生産性向上 / 経済効果評価 / 持続可能な都市開発 / 低排出ゾーン規制 / 規制の効率性の計測 / 大気汚染 / 移動排出源 / 環境政策 / 東京都環境確保条例 / 粒子状物質排出基準 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、平成15年10月施行の東京都環境確保条例で定める粒子状物質排出基準によって設定された、世界最大の低排出ゾーン規制による、大気環境の改善と住民が評価したその経済的価値の大きさを測定するものである。政策によって、大都市圏における主な移動排出源である自動車からの排出ガスを減少させ、健康被害や労働生産性の低下などを通じた莫大な経済的損失を減少させた場合に都市の純便益がどれだけ改善されるかを測定する。同時に、政策に必要な費用も勘案し、都市における環境リスクの軽減政策の総合的な経済効果を計測し、より良い環境政策を策定するための指針を提供できることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東京都が施行した低排出ゾーン(LEZ)規制の大気環境への影響と経済的価値の評価を行っている。この規制が大都市圏における自動車からの排出ガスの削減にどのように貢献し、それが健康被害の軽減、労働生産性の向上、そして経済的損失の削減にどれほど影響しているかを詳細に分析している。 1991年から2010年までの大気汚染物質データを基に、SPM、NOX、NO2の減少が観測された。これらのデータ分析から、LEZ政策が大気質の改善に効果的であることが示されている。特に、SO2の改善は2000年前後の脱硫技術の進展によるものであり、1997年のディーゼル車排出ガス検査基準の見直しも一部の汚染物質の削減に寄与していることが明らかになった。 この研究の最も重要な成果の一つは、政策の実施によって得られる経済的利益を具体的に評価し、費用対便益分析を行うことである。今後の研究では、ヘドニックアプローチを用いて大気汚染改善が地価に与える影響をさらに詳細に検討する予定である。これにより、環境政策の経済的な正当性をより明確にし、都市開発における持続可能なアプローチの推進に寄与することを目指している。 また、研究成果の普及においては、環境経済分野トップの国際誌に研究論文がアクセプトされ、出版されたことが大きな進展である。これにより、研究の国際的な認知度が向上し、外部からの評価とフィードバックを受けることが可能となった。学会での発表とジャーナルへの登載を通じて、研究の質を高め、広範囲にわたる影響を与えることが期待される。 この研究は、都市における環境リスクの軽減策がいかに経済的利益をもたらすかを示し、将来の政策策定に貢献するための重要なデータを提供している。総合的な経済効果を計測し、より良い環境政策を策定するための指針を提供することを目的としており、これからも多角的な研究が続けられることに期待が集まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
このプロジェクトは、計画された分析をすべて実行することができた段階にある。研究チームは、政策の影響を分析するために複数の統計手法を用いて、予定していたデータセットに基づく分析を完了しており、政策の効果を確認し、それが目論見通りの結果につながったことが確認されている。 分析の結果から、政策の影響をさらに深掘りするために必要な追加分析についてもチームは明確な方向性を持つことができた。これには、特定の汚染物質の削減が公衆衛生に与える影響をより詳細に調べるためのロングテール研究や、政策の社会経済的影響を更に探るための経済モデルの調整が含まれる。この段階での成果は、今後の研究方向性と分析戦略を定める上での重要な指標となっている。 研究成果の普及に関しては、初めはいくつかの課題が存在していたが、チームの努力の結果、研究論文は2月に環境経済分野トップの国際誌にアクセプトされ、5月に出版された。これは、データ分析の複雑さや、研究成果の解釈に必要な追加情報の収集に時間がかかったこと、また学術的なピアレビューのプロセスが想定よりも長引いたにもかかわらず、研究成果を迅速に公表することができたことを示している。この公表により、研究成果が広く認識され、政策の有効性に関する新たな議論が促されることが期待されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策は以下の通りである。まず、ヘドニックアプローチを用いた分析を中心に据え、大気汚染の改善が地価に与える影響をさらに詳細に検討する。これにより、環境改善が経済にもたらす直接的な利益を明らかにする。 次に、この政策の実施に伴う費用とその結果として得られる便益を計測する。具体的には、費用対便益分析を実施し、従来の研究との比較を通じて、費用対疫学的便益の具体的な数値を導出する。これにより、政策の経済的正当性を評価し、効果的な環境政策の策定に寄与するデータを提供する。 さらに、研究成果の普及と評価のために、学会での積極的な発表と、一流ジャーナルへの研究成果の登載を進める。これにより、外部からのフィードバックを得て、研究の質をさらに高めるとともに、広範囲にわたる影響を与えることが期待される。これらの取り組みを通じて、都市における環境リスクの軽減に向けた、より実効性のある政策の策定に貢献することが目指されている。
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Report
(4 results)
Research Products
(1 results)