人口高齢化が政府の公共財供給に与える影響―政治経済学的アプローチ―
Project/Area Number |
20K01712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07050:Public economics and labor economics-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
寺井 公子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (80350213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮里 尚三 日本大学, 経済学部, 教授 (60399532)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 人口高齢化 / シルバー民主主義 / 地方分権 / 人口移動 / インフラ投資 / 教育 / 法人税 / 最低賃金 / 政治経済学的アプローチ / 法人税の転嫁 / 足による投票 / 福祉 / パネルデータ分析 / 公共投資 / 国際比較 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、高齢の投票者の政策選好とより若い投票者の政策選好とが異なるであろうことに着目し、行政区域内人口に占める高齢者人口割合が高くなることによって、将来にわたって便益を生み出すインフラや教育への政府支出が抑制される可能性を、理論分析と実証分析とによって明らかにする。政治経済学的知見に基づいて理論モデル分析を展開し、理論モデルと整合的な事実が確認されるかどうかを、日本の都道府県レベル、アメリカの州レベルのパネル・データを用いて検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題は日米のパネルデータを使って、人口高齢化によって高齢者の政治的影響力が増す地域で、投資的政府支出が削減されていないか、企業負担を増大させ、成長を阻害する課税や規制が行われていないかを検証することを目的としている。2021年度には、分析結果をまとめた英文書籍The Political Economy of Population Aging: Japan and the United Statesを刊行した。そこでは、人口高齢化が地域の投資的政府支出に与える影響は日米間で必ずしも同じではなく、地方分権が進んだアメリカで地域間人口移動が活発なことが、結果の相違に寄与している可能性を指摘した。 2022年度からは、新たな分析結果を追加し、日本語版の書籍を刊行するための作業を開始した。日米とも高齢化率が高い地域で法人税収が低い傾向があることが、新たに行った実証分析で確認された。理由について、他世代に比べて資産を多く保有する高齢者は、法人税増税による企業利潤の低下が株式や不動産の価値の低下につながるといった間接的影響を危惧しているのではないかと推察した。最低賃金について行った日米比較では、日本ではアメリカと異なり、高齢化率が高い地域で最低賃金が高い傾向が見られた。日本で最低賃金近傍の低賃金で働く高齢者が多いことが、結果の相違につながっている可能性を指摘した。 2023年度中特に力を注いだのは、主要な地方財政理論の紹介と日本の地域政策の変遷の解説である。地方財政理論が日本の地域政策にどのような形で反映されてきたか、あるいは反映されてこなかったかを明らかにした。書籍は『高齢化の経済学ー地方分権はシルバー民主主義を超えられるか』というタイトルで2023年12月に刊行された。すでに雑誌『週刊エコノミスト』、『宣伝会議』において、書評あるいは著者インタビューによって紹介されている。
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Report
(4 results)
Research Products
(13 results)