消費者の反復購買行動に対する企業の価格差別戦略に関する研究
Project/Area Number |
20K01966
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07090:Commerce-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鄭 潤チョル 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (10439218)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 価格差別戦略 / 反復購買行動 / 水平的製品差別化 / 反復購買 / スイッチング・コスト / 市場細分化 |
Outline of Research at the Start |
経済学の「価格差別戦略」とマーケティングの「市場細分化戦略」を分野横断的に分析し、反復購買行動をグループ変数に類型化する「セグメンテーション戦略」が「第三次の価格差別戦略」にどう影響するかを究明する。 研究の主な目的は、消費者の反復購買行動を類型化し、セグメンテーションの変数として理論的に整理すること、企業が行っている価格差別戦略をその類型化された消費者行動の変数に照らしてモデル分析して均衡値を得るうえに、様々な実態の現状と比較し評価すること、市場細分化と価格差別戦略に企業間の競争要因を考慮し、企業、消費者、社会全体に与える影響を経済厚生の観点から分析し、有意な政策を提案することである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度には今までの文献研究と実態調査をベースに独自のモデルを構築し、数理分析による研究を行った。具体的には、複占企業の価格差別戦略について2期間モデルを提案し、購買履歴に応じた価格差別戦略と時間的な価格差別戦略の両方を変数化することによって,価格差別戦略が実施される条件とその効果を明らかにした。そして、製品の属性が水平的に差別化されており,製品属性が2期間にわたって変化するために消費者の選好と製品選択の意思決定が影響を受ける市場を分析対象とした。消費者は価格要因以外の外生的なスイッチング・コストを持っており,スイッチング・コストに影響される消費者の購買パターンを利用して企業はどのように利潤を最大化するかを計算した。分析結果は以下の通りである。製品属性が変化する市場においては,(同一製品市場に比べて)消費者が価格に敏感に反応しなくなるため,企業は新規顧客を価格割引で誘引するより,囲い込んだ顧客に対して高い価格を付ける目的で「新規顧客割引」を実施する。従って、価格差別はスイッチング・コストが高いときに実施されやすくなる。しかし,企業が囲い込んだ顧客に高い価格をつけることを消費者が予想して最初段階の購買を決定する場合,この価格差別の効果は減少する。つまり,製品の属性が変化する中,未来のことを予想して現在の行動を決める「合理的な消費者」は,既存顧客に高く販売する企業には囲い込まれないように最初から購買しなくなる。例えば、携帯電話市場等のようにスイッチング・コストが高いといって,端末機を安くすることによって新規価格を安くして消費者を囲い込んだのち,既存顧客に対して高く販売して利益を上げようとしても、消費者が将来に対して長期的に予想する場合にはこの価格差別は企業にとって有利な戦略ではないことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度には初めてコロナ禍の影響を受けず研究を進めることができた。文献研究や専門家との意見交換、産業と市場の実態調査等を通じて得られた知見から理論分析を実施し、理論分析から導出された結果と命題を現実の状況と照らし合わせることで様々なインプリケーションが得られた。そして、分析結果の一部をまとめて論文を上梓することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については、2023年度までに実施した実態調査と理論分析をもとに今まで分析してきたモデルの強健性を強くする研究を行う。モデルの前提と構造をさらに発展・一般化させて、より正確な結論と現実に近いインプリケーションを提示できるための研究を継続する予定である。具体的には、消費者の留保価格の水準、スイッチング・コストの有無、そして消費者の未来に対する予想の程度を変数化して,各々違う特性をもつ消費者が混在しているモデルを構築する。そして、2023年度に分析できなかったコンテンツ商品、映像・音楽ストリーミング・サービスのようなシステム製品の産業に対する実態を調査し分析することも計画している。消費者行動については、消費者の学習能力・理解度、情報収集能力、限定的問題解決から日常的購買反応に至るまでの(慣れ親しむ)速度、新製品の初期採用度・躊躇程度、イノベーションへの興味度などを考慮に入れて分析を行う。さらに、長期的な観点では、マーケティングの市場細分化と経済学の価格差別の関連性を究明する分野横断的な研究を推進していく。
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Report
(4 results)
Research Products
(1 results)