Project/Area Number |
20K02142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
門林 道子 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (70424299)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | がん闘病記 / 日英比較社会学的研究 / 相互作用 / 医療制度 / 病い観 / QOD / サポート体制 / true story / 死生観 / 病気体験記 / 比較社会学 / 相似と相違 / 日英 |
Outline of Research at the Start |
「がん闘病記の比較社会学的研究」(科研費基盤C、2017‐2019年度)の次の段階として、日本の闘病記とイギリスでmemoir, true story, patient's biographyとして出版された病気体験記との比較研究を行う。もっとも出版数の多い乳がんを中心にイギリス国内で公刊された50冊のがん体験記を用いて、書かれた病期、書く動機、出版動機、がん観や死のとらえ方、ベネフィット・ファインディング、「闘病」意識等について内容の比較、分析、考察を行うことで、日本のがん闘病記との相似と相違を明らかにする。病い観や死生観、宗教観、患者を取り巻く医療制度やがん患者へのサポートにも注目する。
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Outline of Annual Research Achievements |
国内で出版されたがん闘病記の内容変化を経時的に捉えた「がん闘病記の比較社会学的研究―語られる病いがもたらす個人と社会の相互作用」(科研費基盤C、17K04160、2017-2023年度)の次の段階として取り組んだ日英のがん体験記の国際比較研究である。出版数の多い乳がんを中心にイギリスでmemories 、true story 、patient’s biography 等として出版された体験記を収集し、書く動機や出版動機、がん観や死の捉え方、肯定的変化や「闘病」意識等について内容の比較、分析、考察を行うことで日本のがん闘病記との相似と相違を明らかにする目的で取り組んだ。病い観や死生観、宗教観をはじめ、患者を取り巻く医療制度や患者へのサポートのあり方に注目することで、病いをもって生きる個人の独自な経験と共に、社会と文化の中に埋め込まれた要因がどのように個人に影響を与えているか、個人と社会の相互作用の考察をも目的とする。2020年度からの3年間、コロナ禍で渡英での実態調査が全く不可能であったことから日本の闘病記の調査が主であり、わが国で出版された昨今の闘病記100冊をドキュメント分析して抽出した「肯定的変化」、「『闘病』の多義性」等を日本緩和医療学会、日本死の臨床研究会等で発表した他、グレイザー&ストラウスのアウエアネス理論の4つの認識文脈が我が国におけるがん闘病記に於ても見出されることを以前の研究で明らかにしたが、終末期においても告知が日常的に行われ、死を意識せざるをえない現在の「ポストオープン認識」時代のがん闘病記についてそこにみられる変化を捉え、ISA(世界社会学会)で発表した。イギリスのがん体験記については2023年ようやく渡英が可能であったことからQODとの関連ほか、2000年代に現地で資料を収集し、調査を行った乳がん体験記の反響等をもまとめ、日英の比較を進めつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度である2020年、まずイギリスでのがん体験記について、書店や図書館での実態調査を予定していたが、COVID-19で渡航ができず、調査を見送らざるを得なかった。コロナでの渡航困難は2021年度、2022年度においても続いた。さらにこの日英比較社会学的研究調査の出発点である国内のがん闘病記を対象にした「がん闘病記の比較社会学的研究―語られる病いがもたらす個人と社会の相互作用」(科研費基盤C、17K04160、2017-2019 年度)を2022年度まで期間延長したため日本で出版されたがん闘病記についての調査の継続を優先せざるを得ない状況であった。日本のがん闘病記の経時的比較については、学会なども中止に追い込まれたりもしたなかで、オンラインで開催された国内外の学会でいくつかの調査による成果発表なども行った。しかしながら、イギリスのがん体験記については資料分析に至っているもののカテゴリー化やオープンコーデイングに至るまでにはまだ不十分な状況である。一方、近年、QOD(Quality of Death)という考え方が注目されるようになってきたが、英『エコノミスト』の調査で2010年2015年と世界第1位とされたのがイギリスであり、保健医療サービスにおける公的支出の高さや、利用者の財政的負担の軽減、終末期や緩和ケアにおける国民の意識の高さが大きく関係すると考えられるが、イギリスは1960年代からホスピス・緩和ケアの発展・充実を牽引してきた国である。2023年にイギリスでの調査も可能であったことからがん体験記の中にそれらがどのように描き出されているかに関心をもち、現在調べている。重ねて過去に行ったイギリスで出版された乳がん体験記のイギリス国内におけるGuardianやObserver等の新聞による反響をまとめイギリス人の行動意識や文化についての考察も進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
期間延長により研究期間があと1年と限られたので、従来日本のがん闘病記で行ってきたまとまった冊数を対象にしたドキュメント分析は困難であるため、2023年度ようやく訪問が可能となったのロンドンでの調査と重ね合わせ、冊数を絞って検討することで、背景にある文化や医療制度、サポート体制、病い観や「闘病」意識などを調べる方向にもっていきたいと考える。日本のがん闘病記については「肯定的変化」や「闘病」の多義性等に続き2023年度には「レジリエンス」について日本緩和医療学会で、その後6月にはメルボルンで開催される世界社会学会(ISA)において、Awareness contexts in Tobyokiと題して認識文脈を取り上げ発表した。現在、『「闘病記」という物語』(仮題)を単著で出版することが決定している。イギリスのがん体験記についても、これまでに明らかにしてきたことを内容に含める予定である。私自身、2000年代初頭から関わってきたイギリスのホスピス&緩和ケア等終末期医療の充実が、体験記のなかにどのように反映しているか等も明らかにしていきたい。渡英時にはがん体験記の出版や動向確認の書店等での市場調査や医療関係者への聞き取り調査も行ってきた。2010年代半ばからISAをはじめ、EAPC(ヨーロッパ緩和ケア学会)、EAFONS(東アジア看護学研究者フォーラム)等いくつかの国際学会において、Tobyokiについて社会学的視座からの研究発表を続けてきたが、それぞれの場で参加者の関心の高さもうかがえた。がん観や、死との向き合い方、肯定的変化や「闘病」意識など、病いをもって生きる個人の独自な経験と共に、社会と文化の中に埋め込まれた要因がどのように個人に影響を与えているか、個人と社会の相互作用における日英のがん体験記の相似と相違を明らかにし、学会誌への論文投稿も目指していく予定である。
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