戦後日本社会における「戦後日本型生存保障システム」をめぐる言説と社会構想の配置
Project/Area Number |
20K02166
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
天田 城介 中央大学, 文学部, 教授 (70328988)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 戦後日本型生存保障システム / 分配 / 社会制度 / 言説 / 社会構想 / 歴史社会学 / 国際比較分析 / 高齢者政策 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、戦後日本社会において「戦後日本型生存保障システ」と形容される社会的仕組みがいかなる時代的・歴史的な文脈のもとでどのように語られてきたのか、それは欧米や東アジア諸国とはどのような差異を有する社会的仕組みとして指摘されてきたのか、そしてそのような「戦後日本型生存保障システム」の綻び・機能不全はいかに析出・描出されてきたのかを分析することを通じて、戦後日本社会において〈ありうべき社会〉を構想する社会学的想像力がいかに消失されてきたのかを分析するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、戦後日本社会において「生存保障システム」と呼ぶべき仕組みがいかに形成され、変容してきたのかを解読した上で、欧州・アメリカ・東アジアとの国際比較分析を実施することを通じて、戦後日本社会における「生存保障システム」をめぐる言説の編成を提示するものである。上記の目的を達成するため、2023年度は以下3点から研究を展開した。 第一に、2023年5月に新型コロナウィルス感染症が5類に引き下げられたため、ようやく海外での調査が可能となったため、9月にベルギーでの調査を実施することができた。また、文献研究をもとに複眼的な国際比較の視点から「戦後日本型生存保障システム」を分析することを試みた。 第二に、「失われた30年」と呼ばれる現在において、いかに日本社会における生存保障システムの再構築が叫ばれているのかを考察した。特に、そこでのジェンダーの非対称性や正規/非正規の二重構造がいかに論じられてきたのかを分析した。とりわけ、海外におけるジェンダー非対称性や正規/非正規の二重構造との差異を検討する中で戦後日本型生存保障システムの特徴を分析した。 第三に、上記を個人として進めると同時に、中央大学社会科学研究所のプロジェクトとして「生存保障システムの形成と変容」(代表:天田城介)を国内外の研究者20数名で進めており、それぞれの社会において生存保障システムがいかに形成・変容しているのかについて総合的プロジェクトを展開した。これらの成果は2025年度中に英語論文として発表する。 以上のとおり、本研究は着実かつ飛躍的に発展していることは確実である。ようやくコロナ禍での制約もなくなり、当初予定していた研究活動を行える環境となってきたため、最終年度である2024年度はより積極的な情報発信を行っていく。とりわけ最終年度である2024年度には2冊の単著、2冊の編著を刊行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの達成度としては、①個人の業績として、2020年度~2022年度はコロナ禍でありながらも、着実な研究展開ができたこと、とりわけ2023年度は国内外の調査が可能となり、必要なデータを収集することができたため、2024年度にはこれまでの成果を報告することができること、②「ポストコロナ時代」においてはより合理的にオンライン会議・オンライン研究会を活用することで、より活発に国内外の研究者との共同プロジェクトを通じて「生存保障システム」という総合的なプロジェクトを展開することができたこと等から、おおむね順調に進展している。 2023年度の成果としては以下の3点が挙げられる。 第一に、ベルギー調査によってベルギー社会においては歴史的にオランダ語圏(フランデレン地域)とフランス語圏(ワロン地域)の対立が続いているが、2000年代以降は社会保障の負担をめぐって対立がさらに大きくなっていること、にもかかわらず、オランダ語圏とフランス語圏の社会学会では参照する文献も異なり、異なる言説が形成されており、こうした問題に対して必ずしも積極的に取り上げらえていないことを明らかにした。この点はきわめて大きな成果となった。 第二に、国内調査を継続的に展開できたことで、「戦後日本型生存保障システムの現在」の分析と同時に、コロナ禍で中心においた「戦後日本における生存保障システムの歴史社会学」を飛躍的に展開することができた。 第三に、コロナ禍で国際学会や国際シンポジウムなどでの報告が困難であったため、海外の社会学者や社会福祉学者に対して英語での研究成果(幅広い方々に関心をもってもらえるようあえて「講義形式」の論文とした)を2024年6月に天田城介ホームページ(https://www.josukeamada.com/)に掲載する。コロナ禍での多言語発信の成果もこのような形で結実しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は以下3つの点から研究を遂行する予定である。 第一に、2023年9月にベルギー調査を実施することができたため、2024年3月に延期せざるを得なかった欧州調査を今年度中に実施したいところであるが、予算的にもスケジュール的にも厳しいため、国際比較分析は文献研究で補いながら進めるものとする。他方で、積極的に国内調査を継続し、「戦後日本社会における生存保障システムの現在」の分析を進めつつ、コロナ禍により中心的に進めてきた「戦後日本における生存保障システムの歴史社会学」をまとめる予定である。 国際比較分析の結果は2024年度において学術論文としてまとめる予定である。また、「戦後日本型生存保障システムの歴史的社会学」に関する論文はすでに発表済みのため、2024年度は複数の単著としてまとめ、発表する。 第二に、当初はアメリカ社会や東アジアにおける生存保障システムの形成と変容に関する分析を行う予定であったが、コロナ禍で3年間にわたって中断せざるを得なかったため、また時間的制約のため、アメリカや東アジアでのフィールドワークは断念し、膨大な英語資料をもとに文献研究を行う予定である。 第三に、2024年度は、むしろ多くの研究者にとって研究交流のプラットフォームになったオンライン会議やオンライン研究会を通じて、米国ならびに欧州の研究者との国際的な学術ネットワークの形成を積極的に図りつつ、国際学会での発表や国際研究プロジェクトの企画・運営・発表などを積極的に行う予定である。 以上のとおり、最終年度である2024年度は本研究をより積極的に展開し、研究を結実させていく予定である。
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Report
(4 results)
Research Products
(19 results)