Inclusive research with people with learning disabilities about community life toward participation in the welfare planning process
Project/Area Number |
20K02190
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08020:Social welfare-related
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
笠原 千絵 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (60434966)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | インクルーシブリサーチ / 知的障害 / 福祉計画 / 参加 / 協働 / 社会的排除 / インクルージョン / 本人活動グループ / 地域生活 / 障害福祉計画 / 地域福祉計画 / 社会的排除・包摂 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、地域を指向する障害福祉政策がもたらした「地域生活」の質を知的障害者の立場から検証し、知的障害者本人との直接的な協働の方法を開発することである。そのために、研究の計画、実施、分析、普及という各プロセスを知的障害者との協働で行うインクルーシブリサーチというアプローチを用いる。具体的には、知的障害者が経験する社会的排除/包摂の実態から、市民としての生活を送るために必要な福祉サービスや地域の課題を明らかにし、地方自治体による福祉計画策定過程への参画を通して調査結果をフィードバックする。本研究を通じて知的障害者の社会的役割を創出し、インクルーシブ社会の実現に寄与することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、福祉計画策定のプロセスに知的障害のある人が参加する方法を、本人たちとともに行うインクルーシブリサーチにより明らかにすることを目指すものであり、1.参加の前提としての障害福祉計画の理解と活用、2.当事者の意見を集約する方法、3.協議場面への直接参加の方法という3つの柱がある。 2023年度は、3.協議場面への直接参加に関して、知的障害者に行ったインタビューの分析と、新たに自治体の担当者へのインタビューを行った。その結果前者からは(1)委員として直接意見を届ける意義、(2)参加の前提(例:複数の委員選出、支援者の同席)、(3)事前準備の方法(例:話し合い、LINEでの意見集約)、(4)わかりやすい資料に限定されない合理的配慮(例:雰囲気、発言の機会)などが明らかになった。一方、後者からは(1)団体枠からの選出による妥当性の担保、(2)事前準備と事後対応の内容(例:事前の資料送付、必要に応じた事前レクチャー、当日の要約筆記)、(3)課題(例:時間と成果の折り合い、参加手段を増やすことによる当事者の役割の曖昧化)などが明らかとなった。 また2.当事者の意見の集約方法に関し、当事者の観点からの現状理解に適するとされるフォトボイスを用いた調査を、よく行く場所の意味、よく会う人とのつながりという観点から分析し論文にまとめた。地域における場所及び人とのつながりに影響を与えることからは(例:情報と情報を得るためのサポート、安全な移動手段、自分を知っている人や困ったときに頼れる人の存在、出会いの機会と条件)、障害福祉サービスではカバーされにくい、地域での様々な活動への参加の条件や必要な支援が明らかになった。 こうした分析結果をふまえ、(1)当事者の意見の多様な集約方法、(2)協議場面への直接参加の方法、(3)障害福祉計画と地域福祉計画の連動といった観点から考察を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題の遂行が遅れている理由は第1に、2020年、2021年の2年間、新型コロナウィルス感染蔓延の影響によりデータ収集が大幅に遅れたことがある。第2に、参加者として想定した方から様々な理由で協力が得られにくい、該当者が少ないといったことがあり、協議場面への参加については障害福祉計画の策定過程から若干射程を広げ、自治体が設置する協議会への参加経験がある知的障害者からも協力を得ている。第3に、本研究の特徴として知的障害者との協働により、参加や協働の方法を開発することがあり、資料の準備や、負担軽減のための協議時間の短縮などにより、通常のデータ収集や分析より時間がかかることがある。 本研究の目的は、参加が難しいとされる人との協働の方法を開発することであり、インクルーシブリサーチを実施するうえでの困難さをふまえ、今後に向けた提案につなげることが重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度となる2024年度においては、1.参加の前提としての障害福祉計画の理解と活用、2.当事者の意見を集約する方法、3.協議場面への直接参加の方法という3点の全体を統合し、研究成果として取りまとめていく。 1.については、2024年度を初年度とする第7期の障害福祉計画が策定されたことから、これまでの分析結果もふまえて共同研究者と共に実際の計画を用いて検討し、活用方法を整理する。 2.に関しては、フォトボイス「くらしをパチリ調査」および「ドット投票」をもとに、意見集約の方法について取りまとめを行う。 知的障害者本人の参加を進めるには、福祉計画の策定主体である自治体担当者の認識や具体的な支援が欠かせない。そこで、1~3を含め、先駆的な取り組みをする自治体担当者へのインタビューを追加で行い、参加を進める条件について明らかにすることを目指す。 最終的に、知的障害者にも分かりやすい形でパンフレット等をまとめ、成果普及を図る。研究の学術的意義については、制度別福祉と地域福祉の連携、参加の支援、当事者参加型調査の倫理的課題といった観点から、研究責任者が中心に成果をまとめる。
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Report
(4 results)
Research Products
(2 results)