Verification of the relationship between formation of capabilities and activation in a broad sense for young women in need
Project/Area Number |
20K02293
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08020:Social welfare-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
天野 敏昭 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (40736203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 和正 立命館大学, 産業社会学部, 授業担当講師 (30571393)
熊本 理抄 近畿大学, 人権問題研究所, 教授 (80351576)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 若年女性 / 生活困窮 / 就職困難 / ケイパビリティ / アクティベーション / 社会参入 / 職業参入 / ジェンダー / 女性 / 社会的参入 / 職業的参入 / 国際比較 |
Outline of Research at the Start |
若年女性の生活困窮問題に対する施策対応には地域差がみられ、ジェンダー間の非対称性や女性特有の課題も十分共有されず、支援先送りのまま中高年に移行するケースも多い。本研究では、当事者の社会的参入(自律)と職業的参入(自立)の実現における、「ケイパビリティ(潜在能力)の形成」と「広義に捉えたアクティベーション」の有用性とその関係性を検証する。具体的には、国内の男女共同参画関係機関及び支援組織等を対象とする実態調査を行い、国内の現状と課題を明らかにする。さらに、フランス、韓国、英国の政策と官民の取組みを把握する現地調査を行い、国際比較を通じて、現状の課題に対する政策及び施策への示唆を検討し提示する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究での若年生活困窮女性は、経済的貧困に限定されない、社会参加と職業参入にも困難を有する、未婚の無業女性(ニート・ひきこもりを含む)とシングルマザーである。2023年度は、第一に、「ケイパビリティに基づく社会政策」のあり方に着目し、ケイパビリティ・アプローチの政策実装に関する議論を整理し、若年生活困窮女性の実態を把握する際の調査事項(機能とケイパビリティの具体内容)を検討する枠組みと項目案を検討した。第二に、「認定NPO法人女性と子ども支援センターウィメンズネット・こうべ」等で聞き取りを行い、シングルマザー、単身女性とも、心身の健康の問題を持つ無業女性が少なくなく、就労参加と継続就労の課題が大きい現状がみられる一方、企業・事業者の理解が進みにくい現状があり、社会的な孤立やジェンダー不平等に対応する必要があることや、社会的自律と経済的自立において第三の場所や居住環境の確保が重要であることを確認した。第三に、子育てをしているシングルマザーを含む30~54歳の女性が希望する働き方や就業条件、就業に向けたスキルや資格の習得等の学びの現状、生活の状況などを、ネットモニターを対象にしたアンケート調査を通して把握した。主な結果は、①現在または当面は正規以外での就業を望むが、将来は、正規で働く志向を持つ人が増え、税込み年収も増やしたいと考えている、②「ITを使いこなす一般的な知識・能力」や「チームワーク、協調性・周囲との協働力、コミュニケーション能力・説得力」など、汎用的なスキルを身に付けたいと考えている、③家事、育児・子育て、介護のすべてあるいはその多くを女性が担っており、特に、配偶者・パートナーのいない女性では、自分がすべて担当する割合が7割と高いなか、家族等が一部を担う割合が、配偶者・パートナーが一部を担う割合よりも高く、家族等の協力を得て仕事を継続できている状況であるなどである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、「ケイパビリティの形成」(潜在能力:自らが価値をおく福祉を実現できる選択可能な機能の組み合わせとその能力)と「広義のアクティベーションの実現」(職業訓練やジョブマッチにとどまらない、就労の前段階になる社会への参加意欲や就労に向けた活動などの変化にも着目)により、当事者の意識・活動・成果の各レベルにおける主体性と共同性(連帯的取組み)の発現を通して、社会的参入と職業的参入の双方を実現するプロセスを生成する可能性と課題を検証することである。これまでの調査から次のようなことが明らかになった。困難な問題を抱える女性支援法や女性版骨太方針の策定議論などの政策議論や施策展開が、現状の実態や課題に必ずしも即して進められてきたとはいえず、政策・施策で捕捉されない対象層が存在することや、就労をめぐり、当事者と企業や事業者をはじめとする受け入れ側の双方に阻害要因が残される懸念がみられた。こうした現状に対して、「ケイパビリティの形成」と「広義のアクティベーションの実現」が重要であることを引き続き確認できたが、当事者の実状および支援組織や社会運動団体とそれらにおける支援観と活動内容との間には乖離がみられた。そうしたなか、最近は、政策の現場でウェルビーイング(構成要素として幸福度・満足度)の概念に注目が集まり、ウェルビーイングが政策目標化している。この動向を受けて、ケイパビリティとウェルビーイングの各概念と両概念の関係性を整理することにより、ケイパビリティに着目する意義を再検討し、政策実装への方途を検討する課題が残されていることも明らかになった。これらの認識から、最近のウェルビーイングの政策の動向をふまえたうえで、福祉の実現に関する主観的な評価と客観的な評価、また、こうした評価に対する経済的な側面と非経済的な側面が与える影響の観点から検討を深める余地があることを認識することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、前年に引き続き、若年生活困窮女性の現状を詳細に把握することを通して、若年生活困窮女性の機能とケイパビリティが何であるかを明らかにしていく。第一に、当事者を対象とするアンケート調査を実施する。調査対象は、20~49歳程度の年齢階層の女性のうち、未就業の非婚女性で就業を希望する単身世帯および家族世帯の女性(就職困難層)とシングルマザーの二群とし、生活保護受給に至らないが経済的に困窮している女性、発達障害グレーゾーンの女性、長期の失業者・無業者の女性の実態を把握する方向で調査研究を進める。前年度は、子育てをしているシングルマザーを含む30~54歳の女性が主対象であったが、今年度は、機能・ケイパビリティとウェルビーイングの関係性に着目し、①自立・自律に寄与し得るような依存先の状況(政策、居場所、地域資源)、②不安・悩み・希望・期待、③必要な支援・資源、④望ましい社会のあり方、⑤内的体験と変容などの事項の把握を通じて、当事者の現状・課題および機能・ケイパビリティの内実を明らかにし、政策対応の現状と対比することで、今後求められる取組み等の検討につなげる。第二に、支援組織ならびに支援者の実態の把握を継続する。主に聞き取りの方法により、公的組織の取組みと当該組織における相談者・利用者の状況、並行して、生活支援や就労支援に取り組んでいる民間組織の取組みと当該組織における相談者・利用者の状況、また、支援者の内的体験と変容や多機関連携による包括的な支援の可能性などを把握する。そして、公的組織と民間組織を対比して検討することで、政策展開の課題と今後求められる取組みの方向性を見出す。第三に、国内と海外の事例(韓国、英国、フランス)の比較検討を行う。比較の際の主な視点は、集団型および自己解決型(自己解決への意識醸成と連帯的取組み)の各支援の現状を把握し、今後への示唆を得る目的で進める。
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Report
(4 results)
Research Products
(8 results)