Project/Area Number |
20K02297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08020:Social welfare-related
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
渡邊 かおり 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (70595438)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 検挙索引簿 / 特高月報 / 社会事業研究所 / 社会事業関係者 / 社会事業の運動史 / 社会事業 / 治安維持法 / 天達忠雄 / 社会事業研究 |
Outline of Research at the Start |
戦前の社会事業は、人権保障の規定のない大日本帝国憲法、及び集団で物事に取り組むことや「社会」という言葉を使うことを否定的に捉える治安維持法のもとで行われた。そして、戦前社会事業の発展の時期と、治安維持法が存在していた期間(1925年~1945年)は重なっている。このことを踏まえ、本研究では、治安維持法が社会事業の実践や研究にどのような影響を与えたかについて分析を行う。そして、戦前の社会事業が戦後にどのように引き継がれたかについて考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は学会発表及び論文の刊行を行った。 社会事業史学会における自由論題報告においては、特高第一課が作成した「検挙索引簿」第2号及び第3号における社会事業関係者の動向を分析した結果を発表した。検挙理由について、「検挙索引簿」第3号の「検挙件名」と『特高月報』の「犯罪被疑事実」を比較したところ、分析対象とした社会事業関係者11名中6名の記述が異なっていたことが明らかとなった。その中には、前歴に基づいて「非転向者」であることを強調するための修正が行われた者や、所属している組織すら確認されることなく検挙された者もいた。この研究成果については、次年度以降に論文としてまとめる予定である。 また、論文の刊行は2本行った。1本目は、戦前・戦後を通じた社会事業の運動史研究の概観について論じた。戦前の社会事業の運動は戦後の研究で否定的に捉えられる見かたもあるが、戦前にも国民教化や啓発活動的な立場からの運動だけでなく、セツルメントのように国民の生活を改善するために国民自身によって主体的に行われた運動もあった。また、戦後にはアメリカのソーシャル・アクションの概念が紹介され、社会福祉運動という言葉も使用されるようになるなど、運動史研究に発展がみられた。 2本目は、戦前に社会事業研究所で働き、保母としても活動した阿部和子に焦点を当てたものである。阿部は社会科学を学ぶ読書会に参加したことで、問題のある学生として退学させられた後、「保育の道こそ我が生きる道」と決心して保母となった。保母として働いた後、社会事業研究所では保育施設に関する日本で初めての全国調査に参加している。その後、再び保母として働いていた時に特高に検挙された。検挙の理由として、秋田県旭村の鈴木清に保健婦の沢里千代子を紹介し、手紙を出したこととされており、阿部の検挙はその後芋づる式に社会事業研究所所員の検挙にもつながっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍での図書館利用等の制限が緩和され、必要な史資料を入手することが可能となった。また、「検挙索引簿」等の分析が進み、治安維持法が社会事業に与えた影響の一端について検討を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は学会発表および論文の作成を進める計画である。 学会発表については、1945年10月の人権指令に基づいて、社会事業関係者たちが、どのように東京拘置所から釈放されたかについて検討を行う予定である。これにより、治安維持法が社会事業に与えた影響の分析が進むと思われる。 論文については、特高第一課の「検挙索引簿」第2号及び第3号における社会事業関係者の動向を分析した結果を発表する予定である。これは、2022年度に行った学会発表をベースにしたものである。また、その他、戦争末期に検挙された社会事業関係者の研究等に関する史資料も徐々に集まりつつあるが、2023年度は研究最終年度に当たるため、テーマを絞りつつ着手できる研究をまとめたいと考えている。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)