Project/Area Number |
20K02447
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Hakodate National College of Technology |
Principal Investigator |
佐々木 恵一 函館工業高等専門学校, 社会基盤工学科, 准教授 (10321366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥平 理 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70280310)
中村 和之 函館大学, 商学部, 教授 (80342434)
若園 雄志郎 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 准教授 (90573668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | アイヌ / チャシ / 景観復元 / ICT教育 / GIS |
Outline of Research at the Start |
本研究は北海道東部の釧路市に焦点を据え,近世の釧路川下流域の景観を復元することを通じて,アイヌと和人(日本人)との共生のあり方を明らかにし,この成果を基にした体験的な学びを実現することをめざす.本研究が手がかりとするのは,江戸時代に多く構築され,現在もその跡が残っているチャシ(砦)と,和人の交易・支配の拠点であった場所(後に会所と呼ばれた)である.アイヌの人たちは,なぜチャシを築いたのか,チャシを何に使ったのか,チャシをめぐる争いはなぜ起きたのかなどに着目すると同時に,場所とチャシの関係について文献史料・伝承と考古学資料を組み合わせながら検討する.
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Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の研究はチャシと周辺の測量調査を実施した。調査方法は,UAVレーザー測量であり,ドローンによるチャランケチャシ跡とモシリヤチャシ跡の地形データの測定を行なった。調査時期については,現地は笹が群生していることもあり,正確な地形データを入手することが困難である事から,それらが枯れる10月下旬に実施した。測量調査の結果,チャシの3次元点群データを計測し,3次元モデルを作成することができた。このモデルから,チャシ上に人工的に土地を造成した部分を明らかにできる様になった。また,チャシの横断方向,縦断方向の正確な寸法の測定や,断面面形状を明らかにすることが可能であり,現地視察でも壕の存在は確認できたが,その全体像は把握できなかった。しかし測量結果より,壕を含めたチャシの全体像を明らかにできた。さらに,地形図から20cm,50cm間隔の等高線を作成できたため,三次元復元模型を作成することが可能となった。同時に,江戸時代の古地図,明治以降の周辺地域の地図,春採湖およびチャシに関する文献の収集を進めた.古地図や関連する文献については,その記載がある書籍を収集し,公立図書館などでの調査を行う予定であったが,調査旅行ができないため,継続して調査を進めていた.社会科教育の教材化に関しては,アイヌ史研究と教育との関係について調査を進めている。そして,令和3年度で得られたチャシの測量結果から教材化を進め,令和5年度に高校生に実際に体験してもらう予定でる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和5年度は,前年度までに収集した資料をもとに教材化の検討と,文献史料の調査を継続する.社会科教育の教材化に関しては,高等学校の「総合的な探求の時間」等を利用し,地域連携を進めていく活動において,地域に関する学習素材として提供する.これらの史跡の活用を,高校生が主体的に考えていくようなコンテンツを提起する.そして学校教育でのICT教育への取り組みの中で,近世北海道の景観をGIS上に展開し,授業で使う際の指導案の作成を行う. 史料調査については,松浦武四郎の残した記録から釧路周辺のチャシの記述を探す.また景観復元については,三次元計測によって得られた点群データをもとに,歴史景観を復元する. 測量調査を令和3年度に完了し,その成果から研究成果の「見える化」ができる.これにより,社会教育・学校教育で利用可能な教材への展開は可能である.一方,文献や資料収集のための調査旅行に関して,状況が改善されつつあることから継続して進める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に特別展「春採湖周辺のチャシ」を釧路市立博物館で開催する.展示内容は,春採湖全体の景観,各チャシを復元した模型の展示,復元したチャシをコンピュータの画面上にCG画像,チャシから出土した遺物やチャシの古写真,古地図や遺跡の見取り図などを展示する.また,会期中に,特別展に関連した市民対象の講演会「春採湖周辺のチャシの復元とその課題」を釧路市立博物館の講堂で開催する.この講演会の中で,社会科教育の教材を使用し,アイヌと和人とがどのように共生していたのか,アイヌ社会にとっての近代化を説明する.ただし,対面で実施が困難な際は動画を作成し,博物館内で放映,あるいはWeb上で閲覧できる様にする予定である。 研究を進める上で,研究打ち合わせのための旅行が可能となりつつあることから,対面での会議などで進捗状況や作業工程について議論する.
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