欧米農学導入期における札幌農学校および駒場農学校の総合的研究
Project/Area Number |
20K02494
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
熊澤 恵里子 東京農業大学, その他部局等, 教授 (90328542)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 札幌農学校 / 駒場農学校 / 獣医開業試験 / 専門基礎教育 / 学問系統 / 農芸化学 / 獣医学教育 / 畜産学教育 / ジェンダー / 獣医学 / 女性獣医 / 小動物 / ヤンソン / 田宮リウ / 農用化学 / ゲスマン / ストックブリッジ / クラーク / キンチ / 学理と実践 / 近代農学 / 農学の学問系統 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、欧米農学導入期の札幌農学校と駒場農学校について、当該期の欧米の高等農学教育の実際に着目し、両校のお雇い教師の学歴や業績に関する資料の精査を通じて彼らの教養及び農学教育レベルを把握するとともに、両校を総合的な視座から比較研究することにより、日本における高等農学教育の学問系統を解明する。 本研究では両校の学問系統の根源は同じであると推測し、欧州から米国へ伝播した実験科学に注目し、自然科学的アプローチも取り入れた検討を行う。札幌農学校と駒場農学校の学問系統に共通性を得ることができれば、その研究手法を農学以外の学問分野にも適用し、近代日本の学問の起源と系統の解明に応用できると期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は国内調査を重点的に実施し、北海道大学文書館所蔵資料約90点、北海道立文書館所蔵資料約20点の閲覧・収集、解読・分析を行った。また2022年3月刊行の拙著『幻の女性獣医誕生計画-近代日本の獣医養成史』(東京農大出版会)に関連して獣医開業試験規則第3条による試験免除から外れた札幌農学校獣医学教育の実態を裏付ける新たな史料を発掘すると共に、化学教師ストックブリッジ冷遇の要因もつきとめることができた。これら研究成果については、前者は第93回日本獣医史学会研究発表会で発表済であり、後者は日本化学史学会で発表予定である。 札幌農学校がなぜ獣医開業試験免除の対象校にならなかったのかについては、1886年5月付札幌農学校卒業生からの獣医学卒業証書に関する問い合わせ文書及び回答にその原因を見い出した。駒場農学校卒業生は各科卒業証書を取得できるのに札幌農学校はなぜ取得できないのか。札幌農学校事務係は、獣医学については科目にはあるがそれをもって「該科専修ノ者」と見なすのは難しく自分で専修して受験する外はない、と回答した。本文書から、札幌農学校獣医学教育は「動物学」などの一般講義が中心であり、農商務省管轄下農学校規則改正後に「動物学」「獣医学」「獣医学及同実験」等の関連科目が整備されたが、内科外科実習の機会が十分ではなく、開業試験免除の対象外となったと考えられる。 以上、獣医学教育についての札幌農学校と駒場農学校の違いは、駒場農学校は英国型、札幌農学校は米国型の教育を創設時に導入したことに要因がある。札幌農学校の教育は、後の東北帝国大学農科大学での畜産学教育に繋がる系譜である。この獣医学教育の二つの系譜、すなわち札幌農学校と駒場農学校における近代獣医養成の方向性の違いが浮き彫りになった。これは本研究がテーマとする日本近代農学形成史における学問系統を解明する上で極めて重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍において国外調査を自粛し、国内調査を重点的に実施した。国外調査は科研費調査の研究期限を1年間延長し、2023年度に確保、実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年夏に米国マサチューセッツ州立アマースト大学等での化学教師ストックブリッジの調査を予定している。また、畜産学教育の文献収集も予定している。 2023年春に英国等における獣医学及び農芸化学の最終調査を実施予定である。 コロナの影響による諸物価高騰により、国外調査のための航空券及び宿泊費等の経費が圧倒的に不足しているため、調査日程を短縮することで対応したい。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)