インドネシア国立イスラーム大学における知の再編-一般諸学との融合形態に着目して-
Project/Area Number |
20K02558
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09020:Sociology of education-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
服部 美奈 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (30298442)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | イスラーム高等教育 / インドネシア / 知の再編 / イスラーム大学 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、インドネシアにおける2000年以降のイスラーム高等教育改革に焦点をあて、新生の国立イスラーム大学が「宗教知」と「世俗知」の融合をどのように構想・実践しているのか、さらに「宗教知」と「世俗知」の融合によって、多宗教・多文化共存のための知の基盤をいかに創出しているかを明らかにする。その際、分析の参照枠として、マレーシア国際イスラーム大学、イスラーム教育科学文化機構(ISESCO)およびイスラーム世界大学連合(FUIW)が推進するイスラーム教育の世界的な動向をおく。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、インドネシアにおいてイスラーム宗教専門大学から総合大学としてのイスラーム大学への再編がはじまる2000年以降のイスラーム高等教育改革に焦点をあて、「宗教知」と「世俗知」の融合がどのように構想・実践されているのか、さらに新生のイスラーム大学が、「宗教知」と「世俗知」の融合によって、多宗教・多文化共存のための「知の共通基盤」をいかに創出しているかを明らかにすることである。 考察では、新生イスラーム大学の理念と学部学科の構造、各学部の教育課程、そして国内外の大学とのネットワーク構築の分析を行う。なお、本研究は国を並列して考察する国際比較研究の形態はとらないものの、分析の参照枠として、1)マレーシア国際イスラーム大学が掲げる「知のイスラーム化」の実践を中心とする東南アジアの動向、2)イスラーム教育科学文化機構(ISESCO)およびイスラーム世界大学連合(FUIW)が推進するイスラーム教育の世界的な動向をおくことにより、インドネシアを東南アジアおよび世界潮流のなかに位置づけて現代イスラーム諸国の知の再編の俯瞰図を描くことを最終的な到達点とする。 コロナ禍の影響を受けて延長した4年目である2023年度は、前年度からの継続で2000 年以降のイスラーム高等教育改革の動向分析を実施した。具体的には9校ある新生の国立イスラーム大学に焦点をあて、各大学がめざす「宗教知」と「世俗知」の融合および「知の共通基盤」のあり方を分析した。2023年は可能であれば海外調査を予定していたが、2020年度~2022年度同様、コロナの感染拡大状況を鑑み、海外調査を中止し、文献調査に徹した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響を受けて延長した4年目である2023年度は、前年度からの継続で2000 年以降のイスラーム高等教育改革の動向分析を実施した。具体的には第一に、新生の国立イスラーム大学を対象とし、各大学の改革動向の分析とともに、学部の構成やカリキュラム等にみられる「宗教知」と「世俗知」の融合および「知の共通基盤」のあり方を分析した。分析に当たっては各大学が発行している資料を収集し分析した。第二に、インドネシアで2019年に制定された「プサントレン法」を対象とし、イスラーム教育改革の方向性を分析した。同法は宗教省が管轄するプサントレン(専門的なイスラーム諸学を学ぶ教育機関として草の根的に発展してきたイスラーム寄宿塾)を規定する初めての法律である点で注目される。高等教育との関連でいえば、プサントレンに設置される高等教育段階のマアハド・アリーに関する規定が本研究との関連で重要である。本法第22条ではマアハド・アリーが学士課程、修士課程、博士課程の学術教育を行うことが規定されており、所定の学習を済ませて修了が認められたマアハド・アリーのサントリは、学位の称号を使用する権利、イジャザ(修了証)を取得する権利とともに、より上級の課程で教育を継続したり、就職したりする権利を有することが示されている。マアハド・アリーの改革は、イスラーム高等教育機関の地位向上や、プサントレンで学んだ学習者により広い活動の場を提供することを目指す点において本研究が対象とする国立イスラーム大学改革と類似性をもつことを明らかにした。 上述の研究については進捗があった一方で、コロナ禍の影響により、2020年度~2022年度に続き、2023年度も現地調査を実施することができなかった点でやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年は可能な限り現地調査を実施する。しかし、万が一、現地調査が困難な場合は文献資料を中心に研究を継続する。 2024年度は2020年度~2023年度で行った研究を継続するとともに、分析の参照枠としてのイスラーム教育科学文化機構(ISESCO)およびイスラーム世界大学連合(FUIW)に関する調査についても継続する。渡航が見込まれた場合は、モロッコでの調査を実施するが、渡航困難な場合は文献調査の他、現地調査の代替措置として必要に応じてオンラインによるインタビュー等も行う。同時に、新生の国立イスラーム大学の現地調査についても渡航が見込まれた場合には実施する。その他、必要に応じてオンラインによるインタビューや国際ワークショップを企画する。 以上の分析を通して、本科研の最終年度の総括として、イスラーム世界で進行しているイスラーム教育の現代的傾向を明らかにするとともに、インドネシアの国立イスラーム大学で実践されている「宗教知」と「世俗知」の融合、さらに多宗教・多民族共存のための「知の共通基盤」の特徴を明らかにする。
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Report
(4 results)
Research Products
(33 results)