Project/Area Number |
20K02670
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09030:Childhood and nursery/pre-school education-related
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Research Institution | Tokai University (2021-2023) Tokai University Junior College (2020) |
Principal Investigator |
桑原 公美子 (北川公美子) 東海大学, 児童教育学部, 教授 (00299976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 康治 東海大学, 児童教育学部, 教授 (10341934)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 幼稚園教育 / 話し方 / 童話 / 小学校教育 / 口演童話 / 明治期 / 大正期 / 明治・大正期 |
Outline of Research at the Start |
明治期の幼稚園教育の教材としての童話が定着すると、次第にその「話し方」という保育方法に目が向けられるようになる。それは小学校教育の影響を受けた動きであったが、教科書を使用しない幼稚園教育においては喫緊の課題の一つであった。そこに影響を与えたのが、当時全国に普及した口演童話である。大正期になると、全国の師範学校内に「話し方」の研究と実践を目的とした講話会が次々に設立される。 本研究では、幼稚園教育における童話の「話し方」実践について、小学校教育と口演童話との関係を含めて複合的な視点から実証することを通して、明治・大正期の幼稚園教育の保育実践の実態と構造の一端を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題研究では、明治・大正期の幼稚園教育における童話の「話し方」実践について、小学校教育の動向と重ね合わせながら、その関係性を視野に入れながら分析する(研究系列A)とともに、児童文学の視点からの口演童話の動向も含めて考察し(研究系列B)、それらを当時の保育日誌・教案等などから実証すること(研究系列C)をとおして、明治・大正期の幼稚園教育の保育実践の実態と構造の一端を明らかにすることを目的とするものである。 令和5年度において、研究系列Aでは、童話の「話し方」及び「談話」の教育的意図と方法に関する言説については、『教育研究』『奈良県教育』『石川教育』『防長教育』の文献調査を行った。特に山口県の『防長教育』には当時の教育実践について、小学校とともに幼稚園における記載も見られた。またこの調査によって下関市立図書館により多くの文献が残されていること、また当時の幼稚園が現存することなども明らかとなった。 研究系列Bでは、口演童話及びその「話し方」に関する言説について、口演童話家の松美佐雄や、彼が主宰する日本童話連盟の活動状況について、機関誌『話方研究』や「奈良県童話連盟」に関する文献調査を行った。それによって、口演童話家の立場から、教育で目指すべき童話の「話し方」の実際が明らかになった。 研究系列Cでは、幼稚園教育における童話の「話し方」の実践に関して、当時東京以上に幼児教育に対して高い意識をもっていた京阪神地区の実践状況を明らかにするために『京阪神聯合保育会雑誌』や、各幼稚園の記念誌に記載された当時の回想記録を分析した。また、山口の幼稚園記念誌等に掲載された当時の保育者の回想記録の分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度における研究系列ごとの進捗状況は、以下のとおりである。 研究系列Aについては、昭和期に「奈良県童話連盟」が設立される奈良県においては、教育的立場から童話とその話し方を重要視する傾向があったことが示唆された。また明治維新を経て国家のための人材育成に対する意識が強かった山口県では、小学校教育を中心としながらも幼稚園もその視野に含めながら教育が推し進められたこと、また早くから県立図書館を中心に各図書館を設立し、童話を教育的に活用することに積極的であったことが文献調査から明らかとなった。しかし、『防長教育』を始めとする文献が膨大であり、その詳細まで調査が及ばなかった。 研究系列Bについては、それまでの研究で明らかとなっていた奈良県童話連盟に、日本童話連盟を主宰する松美佐雄がかかわっており、その「話し方」には、互いに影響し合っていたことが示唆された。奈良県童話連盟では昭和期に入るとラジオによる口演童話(童話劇)が活発になる。よって、その前段階となる大正期において、新たなメディアによる童話の話し方と教育との関係がどのような状況であったかを明らかにする必要がある。 研究系列Cでは、当時発刊された教育・保育雑誌に掲載された保育記録や、各幼稚園記念誌の回想録により、当時の具体的な保育を断片的に把握することができたが、童話の話し方実践については、その前後の保育の状況等も併せて考察しなければならないため、ある程度まとまった保育日誌・記録の分析が必要であるが、その資料収集が十分ではなかった。それら幼稚園教育関係の資料を、小学校教育の教案や実践記録と重ね合わせて分析をする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度における研究系列ごとの推進方策は、以下のとおりである。 研究系列Aについては、明治・大正期の保育・教育雑誌、東京高等師範学校の研究誌『教育研究』、及び大阪・奈良・山口の教育雑誌等を対象とした調査研究をとおして、幼稚園教育及び小学校教育における童話の「話し方」及び「談話」の具体的な教育的意図と方法に関する言説について明らかにする。また、それらを踏まえて、明治から大正期までの史的観点から、その実態と構造の変容と過程を明らかにする 研究系列Bについては、当時の児童文学関係の書籍・雑誌、及び奈良県童話連盟や日本童話連盟における口演童話家による記録の調査をとおして、児童文学界や口演童話家の活動実態を追い、口演童話及びその「話し方」実践について明らかにするとともに、明治から大正期までの史的観点から、その実態と構造の変容と過程を明らかにする 研究系列Cについては、当時の幼稚園の保育日誌・保育記録(大阪・奈良・山口)や、個人の回想録の調査研究をとおして、童話の「話し方」実践の実態について明らかにするとともに、明治から大正期までの史的観点から、その実態と構造の変容を実証的に分析する。
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