非正規雇用教員の現状・実態把握と資質・力量育成に関する総合的研究
Project/Area Number |
20K02832
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Kyoei University |
Principal Investigator |
和井田 節子 共栄大学, 教育学部, 教授 (30510804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 英典 都留文科大学, その他部局等, 学長 (30109235)
山田 真紀 椙山女学園大学, 教育学部, 教授 (30329643)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 非正規雇用教員 / バーンアウト / 職能開発 / 教師教育 / 常勤講師 / 非常勤講師 / 再任用教員 / 教職満足感 / 再任用教育 / 会計年度任用教員 / 臨時的任用教員 / 会計年度任用職員 / 非正規教員 / 資質能力育成システム / 公立学校 |
Outline of Research at the Start |
非正規採用教員(以下、非正規教員)の割合が増加し、2011年は6人に1人が非正規教員となっている(それ以降、非正規教員数は公表されていない)。しかし、非正規教員の研修システムは整備されておらず、非正規教員の自信や教職への満足度は正規教員より低い傾向にある。 そこで、本研究では以下について調査検討を行う。 (1)非正規教員の現状把握にかかわる調査、(2)非正規教員の意識に関する調査 (2)非正規教員の資質能力育成システムの調査 (3)非正規教員の成長支援にかかわる国内外の先行実践の比較調査 そして、非正規雇用教員の資質能力育成の在り方について検討・考察し、学術的知見と政策的・実践的示唆を提示する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年1月に教員2238人に行ったオンラインアンケート(うち非正規教員547人)結果を分析した。なお、本研究では有期雇用の教員を非正規と呼び、「常勤講師(フルタイム週5日)」「非常勤(時短/パートタイム)」「再任用(60歳以上の常勤/非常勤)」がある。 (1)意識の相違:非正規は、雇用・待遇的に冷遇されていると感じており、有期雇用であるためにやりがいが持ちにくい意識が見いだせた。ただし、教職満足感はベテラン非常勤と再任用時短教員が正規より高かった。また、正規は非正規を必要悪(本当は全員が正規教員であるべき)のように感じている割合が非正規教員よりも高く、特に常勤講師とは有意な差があった。意識調査からは、正規教員は非正規教員の困難感への理解が低い傾向が見いだせた。(2)職能開発:正規・非正規に限らず経験が少ない者ほど研修意欲が高かった。ICTに関してはコロナ禍の影響からか研修への要望が再任用も含め全体的に高かった。研修履歴の記録制度やそれが給与や昇格に影響するシステムの導入については、特に非正規のベテラン層の拒否感が強かった。(3)非正規教員の意識の差から見えるタイプ分類:雇用形態ではなく職務満足度や自信等の意識からクラスター分析をしたところ行いタイプ分けをしたところ「若手常勤講師」「中堅女性講師」「再任用男性」「退職後非常勤講師」「私立非常勤講師」の6タイプが抽出された。例えば「若手常勤講師」は教員採用試験が不合格であることへの負い目を感じ、同僚や管理職のきたいに応えようとするものの、教員としての生き方や自分の日々の教育実験に満足できない傾向があった。「中堅女性講師」は家庭の事情で講師をしたところ続けている割合が高く、同僚からの疎外感や相談相手の少なさをしたところ感じていることもわかった。非正規といっても一色ではなく、成長支援制度開発のためにはさらなる研究が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度である2020年度は新型コロナウィルス感染拡大予防のため研究に遅れが生じた。特に前半は大学が封鎖され、調査対象も同様の状態となり、調査が困難となった。2020年度から2021年度にかけてオンラインによる研究体制づくりや調査体制の整備を行い、先行研究の分析と予備調査を行った。2021年度は、オンラインによるインタビュー調査や予備調査をもとにした大規模な量的調査を実施することができた。2022年度はその分析を実施し、オンラインを用いたインタビューもさらに進めることができた。しかし、2022年度に予定していた非正規教員の国際比較については、コロナ禍による海外との交流制限の影響により実施できず、計画を完遂させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
非正規教員の成長支援は日本においてはほとんど整備されていない。そこで、海外の先行実践を探り日本と比較検討することで、日本における非正規教員の資質能力育成システムに関する示唆を見いだすことが、残された研究課題であった。 2023年度は、オーストラリア、オランダ、シンガポール、台湾の非正規教員の実態をインタビュー調査から明らかにすることが研究活動の中心となる。オーストラリアの非正規教員は正規教員より待遇が良い制度がある。オランダは世界一ワークシェアリングが進んでいるといわれる国である。シンガポールはOECDのPISA調査の学力が高く、中央の意向が反映されやすい小さい国であるという特徴をもっている。台湾は日本的教育制度が導入されていて日本との親和性が高いが、教員免許がなくとも非正規教員になることができ、学力は全体的に高い。代表研究者の和井田節子がオランダと台湾を、共同研究者の山田真紀(椙山女学園大学教授)がオーストラリアを、研究協力者の菊地原守(名古屋大学大学院博士課程院生)がシンガポールを担当し、共同研究者の藤田英典(東京大学名誉教授)がこれらの研究全体に助言を行う予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(13 results)