児童生徒の認知に基づく数学的な見方・考え方の育成に関する研究
Project/Area Number |
20K02895
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
二澤 善紀 佛教大学, 教育学部, 教授 (60633815)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 関数 / 変化の割合 / 平均化の考え / 関数の学習モデル / 途上概念 / 認知科学 / 数値を用いない学習 / 数値を用いる学習 / 認知 / 平均変化率 / 認知・認識 / 変化と対応 |
Outline of Research at the Start |
数学教育において,数学的な見方・考え方が一層重視されている。数学的な見方・考え方の1つに関数的な見方・考え方があり,関数概念の基盤といえるものである。しかし,多くの先行研究があるにも関わらず,以前より児童生徒の関数理解が十分でないことが指摘されている。本研究では,児童生徒の認識を考慮して設定した「関数の学習モデル」に基づき,関数の変化と対応の概念を形成し,数学的に定義される関数概念の理解を促進できる学習指導の枠組みと教材開発,学習指導のあり方について取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
[理論面]認知科学の先行研究(今井, 2022;Weistin et al, 2019=山田他, 2022)から,人は生活経験や学習経験からスキーマという知識の枠組みを作っており,このスキーマを利用して学習を進めていくことが示されている。このことから「関数の学習モデル」は学習モデルとして妥当なものであることを再確認することができている。特に,途上概念の形成や自明化は,スキーマの均衡化で説明できる。したがって,途上概念の形成や自明化は児童生徒の学習が深い学びになるために必要不可欠なものとなる。 フィンランドの教科書分析に関し,小中学校のものを分析中である。小学校段階で関数の考えに特化した内容の扱いがないことがわかった。ただし,事象を数学化するような問や課題が随所にあり,関数の考えの素地作りにつながっていることがわかる。関数は中学校第2,3学年で学習する。学習内容は,日本の小学校と中学校で学習する内容とほぼ同様である。ただし,文章で関数規則を示し考察する,その後関数式に表すなど関数概念の理解に配慮した内容になっていることがわかる。このような学習方法は,関数での2変量の関係や関数式の意味理解,さらに変化を捉える力の育成につながると考えられる。 中学生を対象とした「関数の学習モデル」に基づく変化の割合に関する教材と学習指導に関し,研究協力者の中学校教員,小学校教員,大学教員で協議し,すでに形成されている途上概念を生かしながら,スモールステップで学習を進めることができるように,教育実践案を作成することができている。 [実践面]昨年度に実施した予備教育実践の事後調査について、分析を行った。その結果,事後調査では想定したほどの効果を得ることができなかった。そのため,学習内容を見直し,中学校の研究協力者の協力を得て予備教育実践を再度行っている。詳細な分析は次年度に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度よりオンライン会議システムを活用したオンライン研究会を始めたことから,小学校・中学校・高等学校・大学の研究協力者との情報共有や意見交換は定期的に行うことができるようになっている。一方で,学校現場における教育実践が容易でなく,また国内外の視察も年度前半が困難であったことが主な要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
理論面について,認知科学の知見の分析をさらに深め,また教育方法(学習指導)に関してはフィンランドの中学校やアメリカ合衆国の小中学校の教科書分析を行う。また,ハワイ大学の研究者との研究協議を予定している。これらの分析と協議を生かして,関数の学習モデルに基づき変化の割合に関する教材と学習指導について,小学校・中学校・高等学校・大学の研究協力者との協議を通して再検討を行う予定である。 実践面について,今年度末に実施できた予備教育実践(2回目)の結果を分析し,その効果について検証する。特に,教育方法(学習指導)について,小学校・中学校・高等学校・大学の研究協力者との協議,またハワイ大学のYagi氏との研究協議及び認知科学の知見を生かしながら,生徒の認識に見合った教育方法を検討していく予定である。 成果発表について,数学教育学会等の国内学会,ドイツ数学教育学会(GDM)等の国外学会に参加し,国内外の研究者と情報交換を行い,研究の推進を図る。
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Report
(3 results)
Research Products
(13 results)