Project/Area Number |
20K02989
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09050:Tertiary education-related
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Research Institution | National Institution for Academic Degrees and Quality Enhancement of Higher Education |
Principal Investigator |
竹中 亨 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 特任教授 (90163427)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | ドイツ / 学内統制 / 業績協定 / 分権制 / 学内資源配分 / 成果連動配分 / 算定式 / 運営費交付金 / 国立大学 / 高等教育政策 / 内部質保証 / 基盤交付金 / アウトプット指標 / 大学法人化 / 大学 / 内部資金配分 / 一括予算制 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ドイツの大学における内部資金配分の制度と実態を明らかにすることが目的である。内部資金配分は、大学本部と学部の間で経営的意思を伝達するための主要なチャネルをなす。したがって、経営トップのリーダーシップを学内に浸透させ、大学内のガバナンスを実効化するうえで、内部資金配分の制度をどう設計するかはきわめて重要な問題となる。 ドイツの大学の多くは、すでに明確な内部資金配分の方式を用いている。本研究は、その制度と実態を具体例に即して明らかにする。そこで得られる知見は、今後の日本の大学改革の大きな参考になるものと考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度までに、ドイツの大学における学内資源配分に関して、本研究の申請時の研究計画調書において挙げた8ヶの具体的な調査事項はほぼ解明できた。 すなわち、多くの大学では州からの交付金配分での方式を学内でも援用することが多いことが判明した。したがって、学内でも予算の圧倒的大部分は、過去実績をふまえた増分主義によって算定される。半面、成果連動部分(アウトプット指標と業績協定)は数%程度にとどまる。数値指標の利用は、学内でも限定的で簡素である。州からの交付金との連動を考えて、同一のものを用いる傾向が強い。業績協定では、質的な目標がかなり多く盛り込まれる。 学内統制の鍵となるのは業績協定である。業績協定での事後成果チェックは緩やかであり、また次期予算への財務的応報はあまり厳格ではない。理由は、教育・研究においては厳密な成果測定は困難だからである。そのため、業績協定は、本来は目標管理のために用いられるツールでありながら、ドイツの大学では実際には、むしろ本部・部局間での意思疎通・戦略化のためのツールとして機能している。これが学内統制で重用される理由である。 業績協定による学内統制は、拘束力が弱くて緩やかなため、部局の経営的自律を尊重することが可能である。そのため、分権的な学内統治を実現する手段として、経営陣のみならず、大学全体で肯定的な評価が多い。もっとも分権的な統治が機能するためには、部局側に経営的自律を活用できるだけの能力が必要とされる。そのため、ドイツでは部局マネジメントの強化が謳われているが、ただこれについてはまだ道半ばのようである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の申請時の研究計画調書においては、研究によって解明すべき調査事項を8ヶに分けて具体的に列挙した。当該年度までの研究によって、これらの調査事項はおおむね解明できたと考えており、したがってドイツの大学における学内資源配分の制度と実態という、本研究の掲げたテーマは所期のとおり明らかになったと判断している。 ただ、ドイツ側の大学や州をケーススタディにとりあげて分析するという、申請時に予定していた研究方法は実施しなかった。というのは、州・大学の会計制度はきわめて複雑で、把握が相当に難しいうえ、学内資源配分に関わる資料は、その大学の経営に直結するため、部外者には公開されないためである。但し、それに代えて、大学関係者、高等教育研究者への聴取調査を広範に行ったので、研究の進捗に大きな支障は生じなかったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、本研究の仕上げとして、ドイツの大学統治の全体像を日本との対比で総合的に考察する計画である。本研究はもともと、日本での大学ガバナンス論への貢献として着想されたものである。そこで、研究の最終年度にあたり、日本での議論にとってドイツの事例はいかなる示唆を与えるかに踏みこんでみる予定である。 具体的に考察の焦点となるのは以下の諸点である。1) 本研究で焦点をあてた学内資源配分と、政府から大学への資源配分とを組み合わせて、大学財務を総合的に把握する。2) 経営陣、教職員、外部ステークホルダーなどの役割を含め、学内統治体制を学内資源配分との関係で考察する。3) 高等教育研究におけるこれまでの国際的な大学統治論の成果を参照し、日本およびドイツの大学改革の位置づけを考察する。4) 日本の国立大学での学内資源配分と学内統治体制、さらに財務を含めた政府による大学統治に関する知見を、ドイツの事例と対比し、両者の間の共通点と相違を明らかにする。
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