Project/Area Number |
20K03309
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10010:Social psychology-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
黒川 光流 富山大学, 学術研究部人文科学系, 准教授 (40325543)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | リーダー-フォロワー間葛藤 / 葛藤対処方略 / 葛藤管理方略 / リーダーシップ行動 / リーダーの自信 / 組織内葛藤 / リーダー |
Outline of Research at the Start |
円滑な業務遂行だけでなく,組織の改革や発展にも関わる事象の1つとして,組織内葛藤に対する関心が産業・組織心理学分野を中心に国内外で高まっている。しかし,組織内葛藤と組織全体の成果とを結びつけるプロセスについては十分解明されているとは言えない。 そこで本研究では,特にリーダーとフォロワーとの間の葛藤に焦点を絞り,①組織内葛藤に対するリーダーの管理方略を規定するリーダーの特性および組織状況の特徴を明らかにする。さらに②組織内葛藤に対するリーダーの管理方略と組織全体の成果との関連を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,組織において生起するリーダーとフォロワーとの葛藤に対するリーダーの管理方略を規定する要因,およびリーダーの葛藤管理方略と組織全体の成果との関連を明らかにすることである。本年度は前年度に引き続いて,一定の制約がある組織状況におけるリーダーの葛藤管理方略の規定要因について検証した。その際,新たに葛藤に対する認識やその効果についても追加検証した。 組織や集団として課題に取り組む際,投入できる資源や時間には制約があるため,リーダーとフォロワーとの間に葛藤が生じたとしても,両者が納得するまで解決策を模索し続けることは困難なことが多い。つまり多くの場合,リーダーかフォロワーの一方,あるいは両者が譲歩しあうことで葛藤を解消しながら,課題を遂行していかなければならない。また,そのようなときには特に,同様の,あるいは類似した事柄で葛藤が繰り返されることが多くなる。そこで,リーダーとフォロワーとの葛藤に対してどちらか一方,あるいは双方が譲歩しなければならない状況において葛藤が反復して生起した際,先行する葛藤時の経験が後続する葛藤時に用いるリーダーの管理方略に及ぼす影響について,先行する葛藤に対する認識やその効果も合わせて検証した。 リーダーとフォロワーとの間で反復して葛藤が生じたとき,リーダーはフォロワーよりも譲歩的な方略で葛藤の解決を図ろうとする一方,フォロワーが譲歩的な方略を用いないことを不公平であると認識していた。また,リーダーであれ,フォロワーであれ,相手が用いた方略を道徳的,あるいは満足であると認識すると譲歩的になり,腹立たしいと認識すると譲歩的ではなくなることを示唆する知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度までに得られた知見について,感染症拡大予防のための対面的相互作用の制限など,データ収集時の状況の特殊性を考慮すると,その妥当性や再現可能性を担保するために,新たに測定変数を加えた上で,方法を工夫しながらデータを追加収集し,再分析した方が望ましいとの判断に至った。そのため,前年度までに効果を検証した要因の再検証を主に行い,新たな要因の効果を十分に検証するまでには至らなかった。 ただし,一定の制約がある組織状況におけるリーダーとフォロワーとの葛藤については,場面想定法を用いた準実験を繰り返して実施して,データを積み重ねることができ,先行する葛藤時の経験やその認識と後続する葛藤時に用いられるリーダーの葛藤管理方略との関連について検証することができた。また,新たに測定変数を追加し,それを加えて分析を進めたことにより,前年度得られた知見の妥当性を高めることができた。この成果を論文としてまとめて報告する予定である。 また,組織全体の成果の指標の1つとなる成員のウェルビーイングを測定する尺度の質問項目の整備などをして,組織内葛藤に対するリーダーの管理方略と組織全体の成果との関連を検証するための準備を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
修正した研究計画に基づき,前年度までの遅れを補完しつつ,実験および調査,両方法を用いて研究を進める。リーダーの葛藤管理方略と組織の成果との関連を実証的に検証するために,先行研究のレビューを行い,関連する理論を整理し,必要なデータを収集し,諸変数間の関連を検証する。組織の成果としては,従来の研究で用いられてきた指標に加え,組織有効性を示す指標である文脈的パフォーマンスやウェルビーイングについても検証する予定である。実験研究では,その様子を動画撮影し,課題遂行やその際のコミュニケーションに関わる客観的な指標もデータ化して分析する。また,実験室での対面的状況だけでなく,オンラインによる相互作用もデータの収集の手法として用いることを検討する。調査研究でも,対面で実施する質問調査票だけでなくWebを用いることも検討する。また引き続き,前年度までに得られた知見の妥当性・信頼性や再現可能性を検証するために,実施方法を工夫しながら,更にデータを追加して収集する。それらをまとめ,学会大会等で発表,あるいは学術雑誌に投稿できるようにする。
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