Project/Area Number |
20K03371
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10020:Educational psychology-related
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
藤田 敦 大分大学, 教育学部, 教授 (80253376)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
|
Keywords | 授業デザイン / 教員研修プログラム / 3相のわかる / 学力向上 / 教授法 / 研修プログラム / 指導案づくり / 単元計画づくり |
Outline of Research at the Start |
学習者の授業内容に対する理解のタイプには3相の「わかる」(判る,解る,分る)がある。授業では,いずれかの「わかる」に偏らないことで,理解の広がりや深まりが生まれると考えられる。このアイデアに基づき,本研究では,効果的に3相の「わかる」に至るための授業づくりを学ぶ研修プログラムを提案することが本研究の目的である。「講義,演習,実践」という3ステップで構成されている研修の指導計画を開発し,受講者の評価や感想を踏まえながら研修内容を精緻化していく。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、児童生徒の総合的な学力の基盤となる「理解」を深める授業に必要な要素として、3相の「わかる」に注目し、それぞれの特性を踏まえた学習活動を組み込む授業デザイン(指導案作りの視点)を考案し、学校現場の教師のための授業づくりの研修プログラムを作成することが目的である。3相の「わかる」とは、①「基礎的な知識習得に必要な“判る”」、②「因果関係や仕組みの探究によって到達する“解る”」、③「主体的な知識の活用を生み出す“分る”」である。 2023年度は、前年度に続き、3相の「わかる」を踏まえた授業の考え方と実例を学ぶ教員研修の実施に加え、研究協力校(中学校1校)における校内研究において授業指導案作成および評価の視点として提案した。その際、このアイデアが現職の教員である研修会や校内研の参加者にどのように受け止められるか、どのような授業実践として体現される可能性があるかを調べ、研修プログラムの導入可能性や課題を推定することを試みた。具体的には、研修会後のアンケートや、校内研究会における提案授業後の事後検討会における協議記録を分析データとした。主な結果として、「授業づくりの考え方については理解できる」、「授業づくりの役に立つ」、「学習者の評価に役に立つ」、「自らの授業を見直すきっかけとなる」など、「わかる」の違いを意識するアイデア自体は肯定的に受け止められた。一方で「授業実践や評価の観点に導入するには難しさを感じる」など、今後の実践可能性については低い評価に留まった。 3相の「わかる」を踏まえた授業づくりの考え方自体は現職の教員にも概ね受け入れられるが、授業実践に取り入れていくまでには、克服すべき課題があることが明らかになった。対象者のニーズ(担当教科や学年)に即して指導案例や指導案作成マニュアルを準備し、実際の授業づくりを体験するような研修プログラムに改善していくことが必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、教員研修におけるプログラムの実施や事後調査の結果を踏まえ、2023年を最終年度として研究を完了し、報告書を作成する予定であった。しかし、この数年間のコロナ禍や学校現場の働き方改革推進の影響により、教員研修会の中止や簡略化(時間短縮、リモートやオンデマンド形式)が生じた。そのため当初計画した対面による「理論の学習」、「指導案作りの演習」、「現場実践と省察」という学習サイクルを繰り返すタイプの集合型の研修会が、教育現場の時間的社会的な制約によって実現できなかった。 このような研究フィールドの現状に即して、現実的に遂行可能な計画内容や方法に適宜変更し、研究を継続してきた。2023年度は、教育委員会主催の教員研修会に加え、新たな研究協力校を得て、指定校研究のテーマに、3相の「わかる」の側面から授業づくりを考えるアイデアを関係付け、研究授業において実践を試みた。その結果は研究実績の概要に述べたが、アイデアの有効性に関する十分な検証ができたとは結論づけられなかった。 コロナ禍の間、停滞していた研究だったが、2023年度までに、研修プログラムの効果についてある程度の検証結果と残された課題を明らかにすることができたと言える。ただし、未だ研修プログラムとして提案できる形には至っておらず、研究期間の延長を申請することとした。以上の状況を踏まえ、進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は4年計画で2023年度が最終年度となる予定であったが、現状の研究の遅れから判断し、補助事業期間を2024年度まで延長した。2024年度は、前年同様の教員研修会と指定校研究会においてアンケートや協議記録などを収集して、これまでに得られた各種データと合わせて、研修プログラムの効果と課題について分析し、今年度までの研究成果として報告書をまとめる。 なお、前年度に3相の「わかる」を踏まえた授業の研修講師を担当した公立の小学校において、児童理解や生活指導場面において、このアイデアを活用するということがあった。研究成果報告書には、授業開発の側面だけではなく、児童生徒理解や指導の面などにも3相の「わかる」のアイデアの適用範囲を広げて、今後の可能性についても言及する予定である。
|