Project/Area Number |
20K03393
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
瀬藤 乃理子 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (70273795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 豊 筑波大学, 働く人への心理支援開発研究センター, 主幹研究員 (60173788)
前田 正治 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60248408)
佐藤 秀樹 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助教 (30849097)
小林 智之 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (60835487)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 原発事故 / 自治体職員 / メンタルヘルス / あいまいな喪失 / レジリエンス / 東日本大震災 / 福島 / 原発災害 / 支援者 / ストレス / 原子力災害 / 疲弊 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、2011年に福島県で起こった福島第一原子力発電所事故により大きな影響を受けた地域で働く支援者に対し、個別インタビュー調査と質問紙調査を行い、原発事故の発災直後から長期にわたって支援者がかかえた問題と、レジリエンスの要因を明らかにする。そしてその結果と先行研究をふまえ、福島県の支援者支援の具体的な方策を提言する。 また、あいまいな喪失の支援者支援の方法を参考に、ワークショップ形式の支援者向けプログラムを作成し、研修会として開催する。 これらの調査研究と実践研究から、「支援者のレジリエンスを高めるための実践的モデル」を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
原発事故の影響を大きく受けた福島県双葉郡の行政職員のメンタルヘルスおよび災害体験とストレスに関する調査の詳細な解析をすすめた。結果、分析対象775名のうち、メンタルヘルスの高リスク者(K6≧13)は101名(13.0%)、中リスク以上(K6≧10)は183名(23.6%)にのぼり、震災急性期の自治体職員調査結果(先行研究)とほぼ変わらない高リスク者の割合を示した。若年者、健康の悪化、周囲との人間関係の悪化のほか、職業性ストレスとして、不慣れな業務、職場内の人間関係、今後の見通しの難しさが、メンタルヘルスのリスクと関係していた。それらは、自然災害の急性期にも指摘されている要因もあるが、今回の調査は、震災後10年以上が経過しており、自然災害とは全く質が異なると考えられる。その要因としては、自治体職員の入れ替わりの多さ、コミュニティの人口の流動性、台風やコロナなどの新たな災害対応、今後の見通しが持てない状況などが考えられた。 また、町村ごとの分析では、離職を考える人の割合は、職員同士のサポートの風土や体制のほうが大きく影響していた。「職場での助け合い」「職業上のスキルアップの機会」は、心理的ストレスを有意に和らげる要因となっていたが(p≦.001)、自治体職員の聞き取りからは、小規模の自治体では、自治体個別で対策をとるには限界がある可能性があり、外部からの組織支援の重要性が示唆された。 このような結果から、原発事故後は、コミュニティの復興の遅れが長期化することをふまえ、その地域の自治体職員支援の対策について災害初期から長期的支援を見据えた対策が必要である。その対策は、職場風土の改善と、あいまいな喪失を抱えた個々の職員のメンタルヘルス支援の積極的な取り組みを柱に、特に小規模自治体を包括的に支援する仕組みづくりや、外部機関による定期的な調査と長期的介入などが重要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「原発事故後の自治体職員の支援モデル」の作成を最終目標としており、その作成のためには、原発事故が自然災害とは異なる要因の分析が新たに必要と考えられた。そのため、コミュニティの復興の遅れが長期化した要因や、復興途上のコミュニティで新たに生じた問題、そして、それが自治体職員にどのような影響をもたらしたかを整理するため、今年度はそれに関する情報収集や聞き取りを行った。そのため、年度内に最終的なモデル案の作成まで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
自治体職員の調査およびデータ解析、原発事故後に生じたコミュニティや支援者の問題の整理、今後の課題の整理をほぼ終えた。このあと、自治体職員のレジリエンス要因に関してさらに詳細な分析を進めたうえで、「原発事故後の支援者支援モデル(自治体職員の支援モデル)」の案を検討する。また、それに関する成果発表と報告会を行う。
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