Project/Area Number |
20K03631
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12010:Basic analysis-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鄭 容武 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (20314734)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 可微分力学系 / 大偏差原理 / Erdos-Renyi 法則 / ランダム力学系 / 極限定理 / 力学系 / 周期確率測度 / マルチフラクタル解析 / 相転移 |
Outline of Research at the Start |
大偏差原理を通じて力学系の熱力学形式論を展開する.力学系における大偏差原理の普遍性を示し,レート関数を解析することによって平衡状態や相転移といった熱力学形式論に関連した力学系の諸現象を解明する.さらに,そのアイデアをマルチフラクタル解析やランダム力学系の漸近挙動を理解するために応用する.その方法は, 国内外における情報収集ならびに関連分野の研究者との情報交換,研究協力者との研究打合せおよび数学的議論,上記の活動によって得られた研究結果の統合と論文執筆,成果発表からなる.
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,研究課題である力学系の大偏差原理に関連して Erdos-Renyi 法則について調べた.Erdos-Renyi 法則とは,同じ試行を繰り返したときに,ある事象が連続して起こる回数の漸近的な振る舞いが大偏差原理のレート関数によって定まるという極限定理である.力学系では,あたえられた可測関数について軌道に沿った値の部分和の平均が閾値を超える時間の長さに関する問題となる.この問題に対する先行研究では,有限型サブシフト力学系,1次元拡大写像力学系や指数混合的な非一様拡大写像力学系といったよい不変確率測度を持つ場合について Erdos-Renyi法則が示されていたが,力学系が保測でない場合については全く考えられていなかった.今年度の研究では,Liverani-Saussol-Vaienti 写像とよばれる間欠性を持つ典型的な非一様双曲型力学系に対して,絶対連続不変確率測度の存在を仮定しなくても Lebesgue 測度を参照測度として Erdos-Renyi 法則が成り立つことを確かめることができた.この結果について大阪大学にて開催された研究集会「ランダム力学系とエルゴード理論」(2024年3月15日(金))において発表した.今年度の研究によって得られたアイデアは今後, Markov tower によって表現される可微分力学系や多項式写像力学系など,より一般的な枠組みに拡張できるものと期待している. 当該年度にはまた,広島大学にて「2023年度エルゴード理論研究集会」(12月6日(水)から9日(土))をオンラインとのハイブリッド方式で開催した.約40名の参加者があり,20の講演と活発な議論が行われた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
力学系の大偏差原理と関連して,保測ではない可微分力学系に対して Erdos-Renyi 法則が成り立つ例をあたえることができたが,より一般的な枠組みで非平衡力学系の Erdos-Renyi 法則が成り立つための判定条件をあたえて論文を執筆することまではまだ至っていない.また,当初予定していたマルチフラクタルや相転移現象の解析については満足できる結果が未だ得られていない. 広島大学において「2023年度エルゴード理論研究集会」を開催するなど国内の研究者との交流は新型コロナ禍以前の状態にほぼ戻りつつあるが,海外の研究協力者との交流はそうは行かなかった. したがって,現時点で本課題の進捗状況はやや遅れていると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
国内外の研究集会,各種セミナーや勉強会を通じた情報収集ならびに関連分野の研究者との情報交換,研究協力者(高橋博樹氏(慶應義塾大),山本謙一郎氏(長岡技術科学大),中野雄史氏(東海大),Juan Rivera-Letelier氏(米国・Rochester大),Omri Sarig氏(イスラエル・Weizmann科学研究所)等との研究打合せおよび数学的議論を行う,可能であれば昨年度に実現できなかった米国 Houston大学を訪問し,Matthew Nicol 氏,Vaughn Climenhaga 氏等と力学系の Erdos-Renyi 法則について議論したい.新型コロナウィルス等の影響があるようであれば,訪問の時期をずらす,あるいは電子メールやテレビ通話を用いるなど臨機応変に対応してその影響を最小限にとどめる.そのための情報機器類を更新する.
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Report
(4 results)
Research Products
(8 results)