微分方程式の特異点の合流,ルート系の退化,そしてモジュライ空間の変形理論
Project/Area Number |
20K03648
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12010:Basic analysis-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
廣惠 一希 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (50648300)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 有理型接続のモジュライ空間 / 簡約代数群の構造論 / 不確定特異点 / 複素多様体の変形理論 / モノドロミー保存変形 / ミドルコンボリューション / 組紐群 / 結び目 / 超平面配置 / 微分方程式のモジュライ空間 / 正則ポワソン多様体 / 正則シンプレクティック多様体の変形 / 微分方程式の特異点の合流 / モジュライ空間 / シンプレクティック幾何学 / 複素領域の微分方程式 / 箙多様体 |
Outline of Research at the Start |
本研究では Riemann 球面上定義された線型微分方程式のモノドロミーや Stokes 構造に関して特異 点の合流を通した統一的な理論を構築する.近年,微分方程式のモジュライ空間が箙多様体と呼ば れる表現論的,幾何学的に豊かな構造をもつ対象として実現されることが申請者等の研究を通して わかってきている.この対応によって微分方程式の特異点の合流理論は,表現論,組合せ論的な研 究対象であるルート系とその退化の理論に置き換えられ,さらにルート系の退化が引き起こす箙多 様体の変形が特異点の合流による微分方程式の変形を記述することになる.
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は複素簡約代数群Gに対するRiemann球面上の自明な有理型G接続のモジュライ空間の変形理論に関する研究を行った.具体的にはRiemann球面上に高々不分岐な不確定特異点を持つG接続のモジュライ空間は,必ずFuchs型のG接続,すなわちRiemann球面上にLog型特異点のみを持つG接続のモジュライ空間に変形できることを示すことができた.この結果の応用は幅広く,一つには,大島利雄氏によって提案させれていた,微分方程式の不確定特異点の開折(unfolding)と,福原-Turrittin-Levelt標準形スペクトル型の組み合わせ論に関する予想があるが,これを部分的に肯定的に解決することができる.またこれに関連するが,川上-坂井-中村によって4次元Painleve型方程式の特異点の合流図式が完成し,高次元のモノドロミー保存変形の分類理論に道筋をつけたが,我々の研究成果によって,この川上-坂井-中村型の微分方程式の退化図式は,高次元のアクセサリーパラメーターを持つ微分方程式まで組み合わせ論的に自然に拡張されることがわかり,さらに組み合わせ論的にのみでなくこの退化図式に対応した線形微分方程式の変形が実際に得られ,それに加えて対応するモジュライ空間の変形も同時に得ることが出来ることになる.この研究成果は高次元のモノドロミー保存変形の分類理論への大きな手掛かりとなると期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究業務とは別に,教育に関する業務や大学運営業務の中でも時間を多く費やす必要のある業務を昨年度に引き続き仰せつかり,研究業務に割くべき時間を縮小せざる得ない状況にあった.このため,研究自体は着実に進行したが,論文作成などのアウトプット作業にやや遅れが生じてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の一つの大きな目標は,微分方程式のモノドロミー表現とStokes構造を,特異点の合流操作によって結びつける明示的な公式の構築である.そのためには既存の研究手法を様々な方向へ拡張する必要がある. 一つは今年度の研究にも関連するが,微分方程式の不確定特異点の開折を用いたモノドロミー多様体の変形理論の構築である.これにより抽象的にモノドロミー表現とStokes構造を繋ぐことが可能となる. 一方で我々の目標である明示公式の構築には更なる新規研究が様々必要となる.まずその一つはKatzミドルコンボリューションとStokes構造の関係,そして特異点の合流の関係を明らかにする必要がある.確定特異点型の場合のミドルコンボリューションは局所系係数のコホモロジーへのモノドロミー作用としての記述を持ち,このコホモロジー群が標準的な基底を持つために,モノドロミー作用が明示的に得られている.こうした構造をStokes構造に拡張するために不確定特異点型のコホモロジー理論である急減少コホモロジーと緩増加コホモロジーの詳細な研究が必要となる. さらにこの研究を推し進めてミドルコンボリューションとRiemann球面上偏屈層の対応を不確定特異点版へ拡張する.偏屈層の不確定特異点への拡張は様々あるが,ここではC.Sabbahによって提案されたStokes偏屈層に対してミドルコンボリューションの理論を適用する.そしてKatzが確定特異点の場合に行ったように,ミドルコンボリューションの偏屈層への作用のコホモロジー群を用いた明示公式を,不確定特異点の場合にも拡張することでStokes構造とミドルコンボリューションの間の明示式を構築する.さらにそれに加えて偏屈層の箙の表現による表示をStokes偏屈層へ拡張することで,ミドルコンボリューションの組み合わせ論を箙の組み合わせ論に落とし込む.
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Report
(4 results)
Research Products
(15 results)