微分方程式の適切性理論-ベクトル空間の枠を超えた展開-
Project/Area Number |
20K03677
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田中 直樹 静岡大学, 理学部, 教授 (00207119)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 定義域が稠密でない作用素 / 安定性条件 / 解の初期値に関する連続的依存性 / 変異解析 / 二重非線形発展方程式 / サイズ構造モデル / 距離空間における勾配流 / 劣微分作用素理論 / 遅れを考慮した非自励な方程式 / 準線形方程式 / カラテオドリー条件 / 初期値問題に関する適切性定理 / 初期値問題に関する近似定理 / 距離空間における微分方程式 / 半線形発展方程式 / 距離を用いた消散構造 / 非自励系 |
Outline of Research at the Start |
本研究は, 解の初期値に関する連続的依存性に着目し, バナッハ空間における非自励な微分方程式に対する適切性の研究を, 距離を用いて方程式の消散構造を捉える研究へと発展させ, さらに, ベクトル空間の枠を超える適切性定理へと深化させるものである。具体的には, 時間に依存する単調作用素, 劣微分作用素により支配される発展方程式の枠組みの拡張, 及び, 距離空間における微分方程式の適切性理論の深化を目指す。さらに, 距離空間における勾配流に対する適切性定理を自励系から非自励系へ拡張する。これらにより, 新たな潮流である線形構造を有しない空間における微分方程式への体系的な理解を進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
[1] 時間に依存する単調作用素、劣微分作用素により支配される発展方程式の枠組みの拡張:本課題の目的は、Neumann 境界条件つき多孔質媒体方程式に対する適切性や流れの制約条件に対する変分不等式の問題に加え、双曲型方程式系を組織的に扱えるように、加藤理論や時間に依存する劣微分作用素により支配される発展方程式の枠組みを拡張することである。(1) 発展方程式の枠組みの拡張として、サイズ構造モデルの抽象化として出現する、定義域が稠密でない作用素に支配される方程式について、同僚の松本氏と共に、適切な安定性条件のもと、時間差分近似法による解の構成を戦略として確立した適切性定理に係る原稿を投稿中である。(2) 非自励な発展方程式の初期値問題について、解の一意存在に必要な条件である劣接線条件と消散条件を連携させ、2つの近似解の細分割上に差分点を構成し、それに両者を結びつける中間的な役割を持たせる戦略により、近似解の収束性を導出し、適切性定理を確立した。現在、原稿を執筆中である。 [2] 変異解析が秘める可能性の追究-距離空間における微分方程式の適切性理論の深化を目指して-:本課題の方向性として、距離空間において微分を表現するための数学的道具である transition の半群性が欠如する場合へと拡張するために、研究対象を準微分方程式へと拡大し、それに対する適切性定理を確立することを目指すこととした。 [3] 距離空間における勾配流に対する適切性定理の拡張-自励系から非自励系へ-:本課題への異なる視点として、東北大学の赤木氏と共同で、存在性に焦点を絞った研究「劣微分作用素理論を軸とした二重非線形発展方程式の可解性」に係る成果を得た。現在、原稿を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「距離空間における勾配流に対する適切性定理の拡張-自励系から非自励系へ-」として、東北大学の赤木氏と共同で、変数指数の空間に応用可能な2重非線形方程式の初期値問題の可解性に関する結果を整理し、原稿を投稿中である。「変異解析が秘める可能性の追究-距離空間における微分方程式の適切性理論の深化を目指して-」について、関数空間の選択に制約をかける transition に対するリプシッツ連続性条件の除去に成功し、その結果を収めた論文はすでに出版されている。また、令和4年度に、準微分方程式に対する適切性定理を確立することにより、距離空間において微分を表現するための数学的道具である transition の半群性が欠如する場合へと拡張し、変異解析が秘める可能性の追究を目指すこととした。この意味において、この企画は当初計画より一歩先を進むものである。主目的である「非自励な方程式系の初期値問題の適切性」について、微分方程式のイメージと結びつきにくい連続性の条件に着目しながら、解の一意存在に必要な条件である劣接線条件と消散条件のもと、適切性定理を確立していて、原稿を執筆中である。これらのことから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
微分を表現するための数学的道具である transition の半群性が欠如する場合へと「変異解析」を拡張する。そのために、準微分方程式を研究対象とし、それに対する適切性定理を確立するとともに、退化準線形方程式に対する適切性問題への応用を視野に入れた研究活動にしていきたい。これにより、変異解析が秘める可能性の追究を目指したい。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)