Mathematical analysis for surface waves arising from body waves and its applications
Project/Area Number |
20K03684
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川下 和日子 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (40251029)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 波動方程式による逆問題 / 複数種が混在する空洞の探査 / 囲い込み法 / 漸近展開 / 空洞境界面の曲率 / 逆問題 / 波動方程式 / 複数種の境界条件 / 曲率 / 表面波 / 実体波 / 局所エネルギー / 境界値問題 / 表面波と実体波 / 漸近解 / 表面の幾何構造 / 誤差評価 |
Outline of Research at the Start |
物質の境界や接合面付近を伝わる波である表面波は、非破壊検査での物質表面近傍の観測において注目される一方で、逆問題での再構成等のための数値解析の場面ではノイズとして扱われることが多い。数学的な立場から表面波を扱う場合、表面波の存在が理論の展開・構築に影響を与えるため、表面波独自の解析をより深める必要がある。これらを踏まえ、本研究では特に実体波の入射によって現れる表面波の性質について数学的な観点から研究し、表面波を用いた逆問題の数学的展開を目標とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
波動方程式を用いた逆問題において、調査対象の内部の空洞の種類が複数ある場合に、観測地からそれら空洞までの距離や種類についての情報を「囲い込み法」を用いて引き出すことを目標として研究を進め、一定の結果が得られた。囲い込み法においては、「指示関数」を導入し、そのパラメーターを大きくした場合の漸近挙動を調べて調査対象物の情報を引き出す。この方法により行われてきた過去の多くの研究においては、指示関数の符号が一定になるように、調査対象の障害物に対し、穴の境界条件や異物の密度などに同質性の仮定がおかれてきた。本研究では、この仮定を除いて、Dirichlet境界条件、Neumann境界条件などの複数種の穴が混在する場合にも、必要以上の先見情報を設定することなく情報が得られることを示した。それまでと同様に時間についてラプラス変換を行った波動方程式に対する楕円型評価の方法を用いても、より精密な評価を行うことで、複数種の穴が混在する場合も扱えることが一つ前の段階の研究でわかっていた。しかし、この方法では観測地から穴までの最短距離が、Dirichlet境界条件の穴とNeumann境界条件の穴の両方で同じになる場合は扱えないため、これらの距離が一致しないという先見情報を仮定しなくてはならなかった。この問題を解決し、より精密な指示関数の解析を行うために、散乱理論においてよく用いられる漸近解(近似解)を構成してその表示を解析に取り入れた。その結果、指示関数の展開の初項にそれぞれの空洞の表面の幾何的形状に関する値があらわれることがわかった。それによって、例えば、同じ距離にDirichlet境界条件の穴とNeumann境界条件の穴があった場合には曲率が小さく曲率半径の大きい穴の方が最短の穴として観測されることなどが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度は本研究の4年目であったので、ここまでの結果を総括して論文を作成・投稿しつつ、学会・研究集会等において結果の発表・報告を中心に行った。 空洞の種類が複数ある場合でも、漸近解を用いることにより観測地から穴までの最短距離が、Dirichlet境界条件の穴とNeumann境界条件の穴とで同じになる場合についても含めて距離情報が得られることがわかったので、これについて学会や研究集会等においても報告・発表を行い、論文にまとめ投稿した。ここでは、指示関数の漸近展開の初項を精密に計算することにより結果が得られたが、一番の課題となったのは、剰余項の評価であった。令和4年度の終わりごろまでは楕円型境界値問題の一般論からのアプローチで評価を行う方針で、評価の改良に努めていた。しかしその後、観測点との最短距離をとる点の近くでの解の評価のみが重要であるということに着目すれば、必要な剰余項の評価が行えることがわかり、方針を変更して論文をまとめることになった。一つ前の楕円型評価の方法による論文と上記に関する論文のどちらも投稿中で査読を受けているところである。物理的な研究対象を数学的に取り扱っているため、査読にも時間がかかっている。 表面波のエネルギー分布に関する研究については、令和5年度は休止していたため、その方向での進捗は得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、地震波や電磁波等の実体波が境界や接合面に入射することによって現れる表面波の性質について数学的に研究し、逆問題等への応用を目指すことを最終目的としており、令和6年度はその最終年度にあたる。しかし、ここまでに得られた結果から、障害物の表面の情報を得る方法としての逆問題を考える場合においても、表面波を用いることを前提にすることは難しく、実体波による探査を起点に考えることがまずは重要であることがわかった。よって、逆問題の観点においては令和6年度においても実体波の観測から情報を得る方向で研究を進めていく。その中で、改めて層状媒質に埋め込まれた異物検出に対して、先の研究で行った漸近解を用いる方法で、指示関数のより詳細な漸近展開を得たいと考える。層状媒質では接合面において表面波が現れるが、その状況下での逆問題においても、表面波が指示関数の漸近展開に影響を与えることは無いという結果を既に得ている。しかし、指示関数の漸近展開の初項には異物表面の形状の情報に加えて、接合面との位置関係や媒質の違いに関する情報も含まれていることが予想され、表面波の研究への足掛かりにもなると思われる。 エネルギー分布の観点からの研究はしばらく休止状態となっていたが、エバネッセント波はレーリー波よりも影響力が低いという他の研究結果と類似のことがエネルギー評価にも表れているので、この評価の精度を上げて、二つの表面波の違いの明確化につなげたいと考える。 現在、オンラインの研究集会は減少傾向ではあるが、時間や経費の節約の意味でもその利用価値は高い。必要に応じて出張等により直接に研究者との交流を行いつつ、オンラインも用いて幅広く柔軟に情報収集を行いたい。そのためにも適宜、コンピュータ等の通信機器の拡充・更新、ソフトウエアの導入も行っていき、今後の研究を進めていきたいと考えている。
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Report
(4 results)
Research Products
(6 results)