Project/Area Number |
20K03694
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
出口 英生 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (30432115)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | コロンボの一般関数の空間 / 単独保存則方程式 / 一般関数解 / 正則性 / 特異性の伝播 / 存在性 / 一意性 / コロンボの一般関数 / バーガース方程式 / 非線形波動方程式 / コロンボの一般関数の理論 / 波動方程式 / 不連続な係数 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、超関数の積の問題を扱うためにコロンボによって導入された一般関数の理論を用いて、不連続な係数を持つ線形又は非線形波動方程式に対する初期値問題の一般関数解の存在性、一意性、正則性、特異性の伝播、(超関数解が存在する場合)超関数解との関係を研究する。 令和2年度は、上記初期値問題の一般関数解の存在と一意性、さらに、超関数解との関係を研究する。一般関数解の正則性、特異性の伝播に関しては、方程式が線形の場合(令和3年度)と非線形の場合(令和4年度)に分けて研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
超関数の理論は、線形位相空間の理論に基づいた本質的に線形な概念である。この理論は偏微分方程式の研究に多大な貢献をもたらしたが、滑らかな係数を持つ線形偏微分方程式の研究に対してさえ、十分でない。さらに、最近の偏微分方程式の研究は、特異性のある係数や初期値を持つ線形偏微分方程式だけでなく非線形偏微分方程式へと重点が移行してきている。このような方程式の研究に超関数を用いるためには、超関数の積をはじめとした非線形な作用に関する理論が必要となる。そのような方向の一つとして、コロンボによって導入された一般関数の理論が注目されている。コロンボの一般関数の空間は、超関数の空間を含む微分多元環であり、部分多元環として滑らかな関数の空間を含む。さらに、この空間は、積だけでなく一般の非線形作用に関しても閉じているので、特異性のある係数や初期値を持つ線形又は非線形偏微分方程式の解を研究するのに、非常に重要で便利な空間である。
本年度は、昨年度に引き続き、コロンボの一般関数の理論を用いて、粘性を伴う単独保存則方程式に対する初期値問題を扱った。昨年度、コロンボの一般関数の空間の適当な部分空間において初期値問題を定式化し、一般関数解の存在性と一意性を証明した。粘性係数が無限小であるならば、初期値のあるクラスに対して、一般関数解はエントロピー解と association(コロンボの一般関数の空間における弱い等号)の意味で一致することが知られている。この意味で、一般関数解とエントロピー解の特異台は一致するが、本研究では、association の意味ではなく、直接、一般関数解の特異台を調べ、エントロピー解のそれとの比較を行った。また、初期値がデルタ関数やデルタ関数の導関数など強い特異性を持つ関数の場合、初期値の特異性がどのように伝播するかも詳しく調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロンボの一般関数の理論を用いて、粘性を伴う単独保存則方程式に対する初期値問題の一般関数解の正則性、特異性の伝播に関していくつか成果を挙げることができた。このことから、研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、波動方程式に対する初期値問題の一般関数解の存在性、一意性、正則性、特異性の伝播、(超関数解が存在する場合)超関数解との関係を研究する。このための手段として、エネルギー評価を用いる方法や不動点定理を用いる方法が適用可能かどうか考察する。また、インスブルック大学のオーバーグッゲンバーガー教授を訪問し、共同研究を進めていく。
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