Impulsive effects on dynamical systems and their mathematical modeling
Project/Area Number |
20K03701
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
杉江 実郎 島根大学, 学術研究院機能強化推進学系, 特任教授 (40196720)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 関数方程式論 / インパルシブ効果 / 数理モデリング / 相平面解析 / 振動理論 / 安定性理論 / 国際研究者交流 / 中華人民共和国 / 振動性理論 / インパスシブ効果 / 解の漸近的性質 / 減衰調和振動子 / 生理学的制御モデル |
Outline of Research at the Start |
インパルシブ効果が数理モデルに及ぼす影響を解明する。特に、インパルスを加えることによって、振動性と安定性がどのように変化するかに焦点を絞る。また、実現象とその数理モデルの食い違いはインパルシブ効果の有無に原因があることを例証し、定性的理論の発展に新たな方向性を見出す。インパルシブ効果を加味する研究は、ここ20年程で急速に発展してきた。その一因は最適制御・生物学・医学・バイオ技術・経済学などに役立つと考えられるようになったことにある。したがって、本研究は関数方程式論を中心として純粋数学の価値を高めるだけではなく、種々の実用科学の発展にも十分に寄与できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年研究課題の事業期間は令和2年度から令和4年度までであったが、新型コロナウイルス感染の影響により、研究協力者との連絡のための海外渡航ができなかったため、延長が認められた。令和4年度に国際学術誌に掲載済みとなった論文の概要は以下の通りである。 (1)リエナール方程式系では、原点以外のすべての軌道が原点を中心に回転するか否かは軌道の他の特性(振動性や安定性など)の基礎であり、重要な研究課題である。しかし、この特性に関して、状態に依存するインパルスが与える影響についての研究は皆無であった。本研究では、このテーマに取り組み、回転問題はすべての軌道が垂直アイソクラインと呼ばれる曲線に交差するかどうかに還元されることを示すとともに、そのためのインパルスの量に関して詳しく議論した。主定理といくつかの補題を証明するために、相平面解析を適用した。 (2) 一様大域的漸近安定性に関する研究には、非線形現象を記述する方程式のすべての解の原点への漸近速度を予測できるという利点がある。本研究では、非自励で非線形力学系の零解が一様大域的漸近安定であるための十分条件を得た。得られた結果から、この力学系に付随するある1階非線形微分方程式が零解の一様大域的漸近安定性において重要な役割を果たすことが判明した。 (3) 非有界なセパラトリックスは隣接する軌道の性質を峻別する軌道であり、方程式系によって表されるダイナミクス全体を理解する上で不可欠であるにも関わらず、その重要性はあまり認識されていない。本研究では、リエナール多項式系のすべての軌道が時間大域的に存在するかどうかを議論した。その結果、非有界なセパラトリックスに対応する2つの軌道は永遠に存在し続けることが判明した。また、負または正の時間無限大までは存在しない解の爆発時刻についても考察した。これらの事実はシミュレーションで得られる軌道の形状だけでは判断できない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画の最終年度にあたる令和4年度も研究成果を順調に増やすことができた。【研究実績の概要】の欄に記した3編の論文の掲載先は、(1) NA: RWA (CiteScore: 4.60, IF: 2.765)、(2) JMAA (CiteScore: 2.60, IF: 1.417)、(3) JDE (CiteScore:3.70, IF: 2.615) であり、それぞれ評価の高いQ1誌である。それら以外に、以下の内容に関する論文(4)も脱稿済みである。ただし、国外での国際研究集会や研究協力者から招聘を受けたが、令和4年度も新型コロナウイルス感染の影響により、渡航を控えなければならなかったことは残念であった。 (4) 日常生活では、物体の速度が急激に変化することがよくある。例えば、幼児をブランコに乗せ、後ろからゆっくり押すと、幼児とブランコ両方の動く方向と速度が不連続に変化する。後ろから押されることによって引き起こされる幼児とブランコの移動速度の急激な変化は、インパルシブ微分方程式を使ってモデル化できる。幼児とのブランコ遊びでは、ブランコが一時停止する最も高い位置で、後ろからブランコを押すのが適切であるから、発生するインパルスは物体の状態に依存するものと考える必要がある。本研究では、このような不連続な速度変化が起こる現象を調べるために、2次元力学系を考察し、状態に依存するインパルスがリミットサイクルに与える影響について取り上げた。その結果、状態に依存するインパルスはパラメータによって特定される領域内に唯一の安定リミットサイクルを生成するとともに、平衡点の不安定化をもたらすことが判明した。主定理の証明では、正の半軌道の挙動を調べることによって、あるポアンカレ写像を導出し、そのポアンカレ写像から得られた数列の特性を詳細に解析した。主定理を実証するために、いくつかのシミュレーションも行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の課題は令和4年度までにほぼ完遂できた。延長が認められた令和5年度には、今までに得られた成果の発展研究として、諸現象に及ぼす状態に依存するインパルスの影響について、引き続き課題解決に努めたい。例えば、神経回路の研究分野で有名なホジキン-ハクスレーモデルを簡略化したフィッツフュー-南雲モデルのリミットサイクルに及ぼす状態に依存するインパルスの影響を考察する予定である。それ以外にも、国家の興亡を領土面積とアサビーヤ(協調度)の関係によってモデル化したターチン方程式についても、状態に依存するインパルスによって、どのような影響があるのかについても考察したいと考えている。さらに、日本が世界を牽引している「栽培漁業」を数理モデル化する際にも、状態に依存するインパルスを考慮する微分方程式を活用し、そのモデルを詳しく解析したい。
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Report
(3 results)
Research Products
(21 results)