Project/Area Number |
20K03816
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13020:Semiconductors, optical properties of condensed matter and atomic physics-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
枡富 龍一 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00397027)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 低次元系超伝導 / 非相反伝導 / ラッシュバ効果 / ボルテックスラチェット効果 / 渦糸 / 2次元超伝導 |
Outline of Research at the Start |
半導体基板上に作成された鉛の単原子層超伝導体では、それが基板と真空に挟まれているため面直方向に空間反転対称性が破れている。さらに、鉛原子ではスピン軌道相互作用が強いため、大きなラッシュバ型のスピン軌道相互作用が期待される。我々はこの鉛の単原子層超伝導体に面内磁場を印加することにより新奇な超伝導の研究を行ってきた。本研究では、ラッシュバスピン軌道相互作用が重要になる単原子層超伝導体のハイブリッド系(多層系)を作成し、ヘリカル相や複素ストライプ相などの有限の重心運動量を持つクーパー対から生じる超伝導の研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
空間反転対称性と時間反転対称性が破れた系では電流-電圧特性が電流の向きに依存する非相反伝導が期待される。通常、この効果は比較的小さな補正項であるが、超伝導物質を用いた場合、非常に大きな非相反伝導が観測されることが知られている。また、この効果は超伝導整流デバイスなどへの応用面からも注目されている。我々は近年研究してきたGaAs劈開表面上に作成された超伝導薄膜において、垂直(面直)磁場下および平行(面内)磁場下で非相反伝導が生じるか検証を行った。 超伝導薄膜に垂直磁場を印加した場合には渦糸(ボルテックス)の運動により非相反伝導が生じる可能性がある。本研究では超伝導薄膜を作成するGaAs基板のエッジに非対称な構造を作成して空間反転対称性を破った。鉛とアルミの超薄膜(0.3 - 2 nm程度)に対して垂直磁場下で電気伝導測定を行うと、第二高調波から得られる電気抵抗が垂直磁場の正負に対して反対称になることがわかった。さらに、この電気抵抗は超薄膜の超伝導転移温度以下で観測されることがわかった。このことから、GaAs劈開表面上に作成された超薄膜においても超伝導により増強された非相反伝導が生じている可能性が高いと考えられる。現時点においては、試料端より渦糸が侵入する際、試料端の形状により異なるポテンシャルエネルギーを感じるため、侵入方向に依存したボルテックスラチェット効果による非相反伝導が生じていると考えている。 さらに今年度はこの整流効果の実用性を調べるために、超伝導薄膜に流す電流の値を変化せて測定を行った。その結果、1μA程度までの電流を整流できていることがわかった。超伝導ダイオードなどの実用面を考えるとまだ十分な値とは言えないが、今後、空間反転対称性を破る構造の工夫や超伝導物質の改良により大きな整流効果をもつデバイスの開発を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GaAs劈開表面上に作成された超伝導超薄膜において、試料に垂直な磁場を印加した場合、渦糸の運動により電流の向きに依存した非相反伝導が生じることがわかった。さらに、その機構を調べるために、電子線顕微鏡を用いた劈開表面の観察から非相反伝導が生じている要因を明らかにすることができた。また、今年度はラッシュバスピン軌道相互作用により生じる非相反伝導を観測のため平行磁場下においても実験を行った。現時点において、超伝導臨界電流などにその兆候は見られていないが、今後イオン液体を用いた実験の準備も進めており、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
半導体基板の表面に作成された超伝導薄膜は半導体基板と真空に挟まれているため、鉛直方向に空間反転対称性が破れている。さらに、鉛などの重い原子を用いた場合、強いスピン軌道相互作用により大きなラッシュバ効果が期待される。このような試料に対して電流の方向に直交するように平行磁場を印加した場合、電流の方向若しくは磁場の方向に依存した非相反伝導が期待される。今年度は、鉛単体、鉛とビスマスとインジウムの積層構造をもつ超薄膜に対して超伝導臨界電流の測定を行ったが、現時点において非相反効果を示唆する兆候は現れていない。今度、イオン液体などを用いて強い電場勾配をかける手法を用いて非相反効果の実現とその検出を目指す予定である。一方、ボルテックスラチェット機構による非相反効果が現れている垂直磁場下の実験においては、空間反転対称性を破る構造の工夫や超伝導物質の改良により大きな整流効果をもつデバイスの開発を目指す予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)