Project/Area Number |
20K03849
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
渡辺 孝夫 弘前大学, 理工学研究科, 客員研究員 (40431431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 武則 東京大学, 低温科学研究センター, 助教 (80361666)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 高温超伝導 / 銅酸化物 / 電子相図 / 酸素量制御 / アンダードープ / 抵抗率 / 鉄系超伝導体 / BCS-BECクロスオーバー / 擬ギャップ / コヒーレント温度 / 共鳴原子価結合(RVB)モデル / 量子臨界点(QCP)モデル / 磁気輸送特性 / プリフォームドペア |
Outline of Research at the Start |
銅酸化物では、超伝導発現機構のモデルによって異なる電子相図(擬ギャップの開始温度T*、超伝導揺らぎの開始温度T_scfや電子系の散乱が抑制されるコヒーレント温度_Tcohのドープ量依存性)が予想されている。従って、電子相図が明らかになればモデルを特定できる。本研究では、これまで報告例が非常に少ないT_cohを観測することによって、真の電子相図を明らかにし、超伝導機構を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
銅酸化物高温超伝導体の真の電子相図を明らかにすることは、超伝導機構解明のために重要である。令和3年度は、Bi(Pb)-2212を用いて最適ドープから十分なオーバードープまでの電子相図を調べ、量子臨界点(QCP)モデルよりも共鳴原子価結合(RVB)モデルの予想の方が近いことを明らかにした。そこで令和4年度は、Bi-2212のアンダードープ側の調査を試みた。ここでは、結晶組成を工夫すること及びアニールによる酸素量制御を精密に行うことにより、絶縁体ー超伝導体転移を含む広い範囲でドープ量(p)を制御することに初めて成功した。今後、抵抗率に加えて磁気抵抗やホール効果測定を行い、アンダードープ側の電子相図を明らかにする。 また関連して、銅酸化物と同様に非従来型超伝導体である鉄系超伝導体FeTeSeの電子相図も調べている。鉄系超伝導体FeSeでは、超伝導ギャップの大きさとフェルミエネルギーが同程度になるため、BCS-BECクロスオーバー(極めて強結合な超伝導状態)に位置することが提案されている。 FeTeSeも類似の系であるため、同様なことが期待される。しかし、 FeTeSeは過剰鉄の問題があって研究が遅れていた。この問題を解決するため、代表者は効果的に過剰鉄を取り除くTeアニール法を開発した。令和4年度は、この結晶を用いて磁気抵抗と帯磁率測定を行い超伝導揺らぎのオンセット温度(Tscf)を見積もった。その結果、 FeTe0.6Se0.4では Tscf(= 40 K)がTc(= 14.7 K)の2.7倍であることが分かった。この値は、銅酸化物や FeSeと比較しても大きく、この系が確かに BCS-BECクロスオーバーに位置することを示している。この結果を、札幌で開催された国際会議LT29で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、 Bi-2212単結晶の絶縁体ー超伝導体転移を含むアンダードープ側の酸素量によるドープ量制御に成功した。 抵抗率測定の結果、p~0.1でTcに落ち込みが見られ、いわゆる1/8異常を観測した。また、p~0.1以下の十分なアンダードープ領域では、 Tc(ゼロ抵抗温度)が電流に大きく依存することを見出した。このことは、今後に繋がる大きな成果である。さらに、鉄系超伝導体FeTeSeが BCS-BECクロスオーバーに位置することを、超伝導揺らぎに敏感なプローブ(磁気抵抗と帯磁率測定)を用いて明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、アンダードープに調整されたBi-2212を用いて磁気抵抗やホール効果測定を行い、銅酸化物高温超伝導体の電子相図の全貌を明らかにする。また、これまで得られた結果を論文化し、学会や国際会議で発表する。
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