Variational Monte Carlo study of impurity effects on filling-control-type Mott transitions
Project/Area Number |
20K03850
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 寿敏 東北大学, 理学研究科, 助教 (60212304)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 不均一効果 / 強相関電子系 / フィリング制御型モット転移 / 反強磁性状態 / 常磁性状態 / ハバード模型 / 絶縁体化 / 変分モンテカルロ法 / パーコレーション / ドーピング / 不純物効果 / 高温超伝導 |
Outline of Research at the Start |
運動エネルギーと相互作用エネルギーが拮抗した電子系で起こる金属絶縁体(モット)転移は、両者の比および電子密度をそれぞれ変化させた二つの場合に大別される。前者は均一な系の理論で理解されているが、後者は均一系では理解できず、不均一性(不純物など)が重要と考えられている。 不純物を伴った強相関系(特に2次元系)を正しく扱うことは極めて難しいが、本研究で用いる変分モンテカルロ法はそれが可能な数少ない方法である。それにより、電子密度制御型モット転移がどのような場合に起こるのかを定量的に示し、その物理的機構を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
モット絶縁体に電荷キャリアを化学的にドープした(結晶中の伝導領域で電荷中性が崩れた)場合、実験では有限ドープ率まで絶縁体に留まる。このフィリング制御型モット転移がどのような機構で起こるのかを、変分モンテカルロ法により明らかにすることがこの研究の第一の目的である。さらに、平行して研究している光励起などによる電荷中性を保ったまま電荷キャリア(ダブロンとホロン)を導入した場合との差異を調べる。 前年度の計算で、一体部分の最適化により不純物効果を制御する試行波動関数には利点が多いことが判ったので、それをフラストレートした2次元正方格子における不純物ハバード模型に適用し、化学的にドープした反強磁性状態と常磁性状態(正常状態)について、(系のサイズ依存性の確認を含む)本計算を行った。主にフィリング制御型モット転移を考える上で重要な物理量(二重占有率、不純物サイトとホストサイトの電子密度、交替磁化など)や変分変数(不純物ポテンシャル制御因子やダブロン-ホロン束縛因子)のモデルパラメータ[相互作用強度 (U/t)、不純物ポテンシャルの大きさ(V/t)、フラストレーションの強さ(t’/t)、ドープ率(δ)、不純物濃度(δi)]への依存性を調べた。 これらの変数はいずれも重要であり、計算を広大な空間で網羅的に行ったため、結果の概要を簡便に述べることは難しい。その中で、フィリング制御型モット転移に関する特に重要な成果として、反強磁性状態と常磁性状態で共通して、非不純物ドープ系(δi=0)では得られなかった有限ドープ率(δ>0)でのモット絶縁体化が、δi≧δでかつ斥力型Vの不純物ドープ系では起こることを示すことができた。今年度の計算では、δ>0でのモット絶縁体が出現する領域についての定量的な相図を、様々なパラメータ空間で描くことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の進捗状況は、当初の計画より大きく遅れており、今回計画を1年間延長することになった。この研究の遅れは、複数の予想外の障害が次々に発生したことが原因である。第一には、研究の初年度始めからいきなりコロナ禍によってこの研究に携わる4人全員の教育の負担が倍増したこと、また昨年度まで3年間は出張や講演などの活動に制限があり、共同研究者との議論や意思疎通が十分できなかった。さらに追い打ちを掛けるように、一昨年2月と昨年3月の2度に渡り宮城県地方が震度6の大地震に襲われ、研究室や自宅で書棚、計算機棚やその他什器が倒壊するなど、研究代表者個人としては先の大震災以上の被害が発生し、その復旧に実質的にそれぞれ何ヶ月もの期間が必要であったことに由来する。遅延は研究計画自体の困難さが原因ではない。したがって、コロナ禍の負担が大きく低減し、地震からの復旧が大凡完了した今年度以降は、当初の計画が順調に進むと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の進捗状況としては、「研究実績の概要」で書いたが、大凡初年度と第2年度前半で達成できると考えていた所まで進んだ状況である。今後の研究推進の方策として、まず研究実績の欄で述べた、反強磁性状態と常磁性状態の研究の結果を論文にまとめる。次に、概ね当初の研究計画通りに、(1) 超伝導状態における不純物効果、(2) フィリング制御型モット転移を同定するための物理量として、ドゥルーデ重み/超流動重みおよび局在長の計算、(3) 電荷中性を維持した電荷キャリア(ダブロンとホロン)の導入などを順次調べて行くことになる。(1)の研究に目鼻が付けば、当初の予定の最低限の目標が達成できるので、残り一年で達成したい。(2), (3)についてもできる限り定式化および及び計算を進めてゆく。 様々な計算を行うため、引き続き小林憲司、渡邉努、小形正男の三氏に研究協力者とし参加してもらう。従前の計画通り、研究の方向性を横山が主に検討し、計算は横山、小林氏、渡邉氏の三人が分担して実行する。その結果を持ち寄って、小形氏を含めて検討し成果をまとめる計画である。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)