Project/Area Number |
20K03946
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
森田 健 静岡大学, 理学部, 准教授 (40456752)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 超弦理論 / 量子重力 / 行列模型 / ブラックホール / 複素ランジュバン法 / 量子力学 / 不確定性関係 / 符号問題 / 量子カオス / Bootstrap法 / ゲージ理論 / 数値解析 / バタフライ効果 / カオス / 場の量子論 / 非平衡物理 |
Outline of Research at the Start |
ブラックホールとは強力な重力を持つ天体で、一度ブラックホールに吸い込まれたものは、二度とそこから出ることができない。しかし、ホーキングにより、ブラックホールは徐々に蒸発し、小さくなっていくことが予言された。では、ブラックホールが蒸発で消滅したときに、ブラックホールに吸い込まれたものはどこへ行ったのだろうか? この問題は情報喪失問題と呼ばれ現代物理学の最大の課題の1つである。本研究ではこの問題に対していくつかの新しい視点からアプローチしていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に「回転する行列量子力学」「量子重力における時空次元」の研究において進展があった. 以下ではこれら2つの成果の概要を述べる. 行列量子力学は, ブラックホールの微視的状態を記述する量子多体系の模型で, 本模型を通してブラックホールの様々な性質の解明が期待されている. 本研究ではこの模型が回転し角運動量を持っている場合の解析に成功した. そしてその結果を通して回転するブラックホールの性質に関して理解が進んだ. 特に本研究ではモンテ・カルロ計算を通して, 回転する行列量子力学の熱平衡状態の第一原理計算に成功した. これは回転する量子多体系の熱平衡状態の第一原理計算に成功した世界で初めての例としても価値がある.(回転する量子多体系は符号問題のため, モンテカルロによる解析が困難であったが, 本研究では複素ランジュバン法を用いることで, この問題を克服した.) 「量子重力の時空次元」の研究では, 超弦理論以外の量子重力の可能性について検討した. 超弦理論は量子重力の有力な候補であるものの, 他の量子重力の可能性を否定するものではない.そこで量子重力にいくつかの基本的な要請を課し, それらを満たす量子重力の可能性を議論した. すると超弦理論以外は今回課した基本的な要請を満たさないことを示した. これは超弦理論以外が量子重力の候補として除外されることを示唆する重要な結果である. なお今回課した量子重力に対する基本的要請は主に次の3つである.「宇宙に特別な方向はない.」「量子重力の基本的な構成要素(例えば弦)はDiracの量子化条件で量子化される.」「構成要素間の相互作用は長距離でも形状が変わらない」. これらは量子論の視点からはどれも自然な要請であり, これらの要請を満たすものが超弦理論しかないことが解明されたのは大きな進展である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究実績の概要で述べた「量子重力における時空次元」の解析において予想以上の進展が得られた. この研究は当初の研究計画になかったものだが, 超弦理論の新たな側面を明らかにしたということで価値が高いと考えられる. また, 回転する行列量子力学の研究も, 回転する量子多体系の熱平衡状態の第一原理計算に成功したということで価値が高いと考えられる. 本研究の成功により, 他の量子多体系でも, 熱平衡状態における回転の効果を評価する契機になる可能性がある.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も本年度得た「回転する行列量子力学」「量子重力における時空次元」の研究を中心に研究を進めていく予定である. 「回転する行列量子力学」の研究では, 角速度を純虚数にとることで, これまで考えられていなかったような相が出現することを最近解明したので, それについて更に解析を行っていく予定である. この研究により, 行列理論一般の熱平衡状態の理解が大きく進展する可能性がある. また「量子重力における時空次元」の研究を更に進めることで, 量子重力や超弦理論のより本質的な理解を目指す.
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