量子重力と自然性‐弦理論から見たプランクスケールと電弱スケールの統合
Project/Area Number |
20K03970
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川合 光 京都大学, 理学研究科, 名誉教授 (80211176)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 健太郎 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (30544928)
橋本 幸士 京都大学, 理学研究科, 教授 (80345074)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 弦理論 / 行列模型 / 標準模型 / 自然性問題 / マルティバース / ブラックホール / Higgsインフレーション / プランクスケール / 暗黒物質 / 量子重力 / 電弱スケール / 自然性 / マルチバース / 時空のトポロジー / 弱電磁スケール / 弦理論・量子重力 / ヒグスインフレーション |
Outline of Research at the Start |
最近の実験結果に基づいた解析によると、超対称性は低エネルギーには存在せず、しかも、標準模型はプランクスケールまで矛盾のない理論でありうる。これは、電弱スケールの物理とプランクスケールの物理が直接つながっており、標準模型と量子重力の統合を試みることが十分現実的であることを示している。本研究は、このような事情をふまえ、原理から現象へ、および、現象から原理へという両面から研究を進める。特に、自然性問題を手がかりとして、プランクスケールと電弱スケールのつながりを解明し、時空の創発を含む究極の理論に迫る。
|
Outline of Annual Research Achievements |
解決すべき問題は「標準模型によって記述される我々の宇宙が、本当に弦理論の真空として得られるか」ということである。これは、素粒子論が目指す究極の問題であるが、この十数年の実験・観測結果は、この問題に対する bottom up 的なアプローチと top down 的なアプローチが大変近いものであることを示している。いいかえると、電弱スケールとプランクスケールの間にある「比較的小さなギャップ」を埋めることで、両者がつながる可能性がある。この「比較的小さなギャップ」としては、暗黒物質、バリオン数生成、宇宙初期のインフレーションなど、場の理論内で解決できるものに加えて、自然性問題の解消など、量子重力の低エネルギー有効理論を従来の単純な描像から少しはみ出したものに変更する可能性も考慮する必要がある。これに対し、当研究者は長年にわたり、「行列模型による時空と物質の創発」と、「自然性に対する、量子重力からの新しい理解の試み」の2つの視野を融合させることを考えてきたが、当研究では、以下のような問題を有機的に結び付けて、上記の「比較的小さなギャップ」の全体像の解明を試みた。まだ最終的ではないものの、一定の成果を得た。その結果を、当研究を開始して以来の数年間で10数編の論文として発表した。 ⅰ)Higgs場の質量および自己結合定数の起源をプランクスケールの物理から解明する。また、その観点からHiggsインフレーションを調べ、プランクスケールに近いエネルギー領域の解明を目指す。ⅱ)弦理論・行列模型から帰結されるマルティバースを解析し、低エネルギー有効理論としての場の量子論がどのように修正されるべきかを議論し、自然性問題の解明を目指す。ⅲ)ブラックホールの時間発展を形成から蒸発まで、場の理論の第1原理から解析し、重力の量子論と古典論の本質的な違いを解明する。ⅳ)重力場の紫外領域での性質の解析。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までのCOVID19による研究交流の停滞を克服し、2023年度は研究が順調に進展した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次世代の素粒子論の構築に向けて、さまざまな側面からの解析を行う。具体的には、 (1)行列模型による時空と物質の創発(2)自然性に対する新しい理解の試み(3)プランクスケールの物理とヒグスインフレーションの可能性(4)ブラックホールと情報問題と行列模型の自由度に関して、数値的および解析的な考察を並行して進める一方で、研究会、セミナーなどを通じて、国内外の素粒子物理、場の理論、物性理論、宇宙論、数理物理などの専門家たちと幅広く交流することによって、新しい視点を開き問題を解決する。
|
Report
(4 results)
Research Products
(28 results)