Project/Area Number |
20K04017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
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Research Institution | Ashikaga University (2022-2023) National Astronomical Observatory of Japan (2020-2021) |
Principal Investigator |
塚越 崇 足利大学, 工学部, 准教授 (20533566)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 惑星系形成 / 原始惑星系円盤 / 電波天文学 / 電波干渉計 / スパースモデリング |
Outline of Research at the Start |
これまでの惑星系の母体である原始惑星系円盤に対する観測から、木星形成領域(~5 au)以遠における円盤構造の進化や、惑星形成に付随する多様性に富む構造が明らかになってきた。本研究課題では、スパースモデリングを応用した新しい電波干渉計画像合成手法を用いて望遠鏡の解像度の限界を打ち破り、これまで未到達だった地球形成領域(~1 au)における円盤の詳細な構造を明らかにする。新しい画像合成法の検証と開発を行い、これまで取得された多数のデータに画一的に適用する。物質の散逸や非軸対称性など惑星形成に関連する構造の探査と分類を行い、地球形成領域における円盤構造の系統性と多様性の調査に世界で初めて取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
スパースモデリングによる電波干渉計画像合成ソフトウェアであるpriismの開発・評価を進めるとともに、それを用いた科学コミッショニングを進めた。所属変更に伴う解析環境の再構築ののち、環境動作確認の意味も込めて、アルマ望遠鏡データ解析ソフトCASAを用いた、従来法CLEANによる干渉計画像の作成を複数試みている。様々な観測対象に対して、様々な画像化パラメータを用いたCLEAN画像の作成を行なっており、解析環境に問題がないことを確認するとともに、得られた画像から科学的議論を行なっている。CLEANで画像化されたいくつかの個別天体に対しては、原始惑星系円盤の構造に関する新しい研究成果も得られており、それらは論文出版に向けて順次詳細解析を進めている。 priismの開発では、共同研究者と新しい画像化手法を取り入れたデータの自己校正(セルフキャリブレーション)に取り組んできてた。従来の手法と同等以上で画像ノイズを低減できることがわかっており、また従来手法と異なり画像化の半自動化を行うことができる。この内容については先日論文を投稿するに至った。輝度分布モデルを用いた動作検証を行っており、原始惑星系円盤で期待されるようなベキ状分布以外の輝度分布に対しても、モデル作成を行い検証を継続している。 アルマ望遠鏡のデータに対する、priismを用いた画一的な高解像度化においては、画像化パラメータを調整をしながら順次画像化を行なってきた。その一部については論文として出版されている。まだ全てのデータの画像化やその評価が終了していないため、引き続き解析を継続し、さらに科学的成果が得られれば論文化を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属変更に伴う開発・研究環境の再構築の後、環境の動作確認も兼ねて、様々な観測対象に対する従来法の画像化手法(CLEAN)を行ってきており、その結果のいくつかは論文として出版している。 priismの開発検証においては、輝度分布モデルによる動作検証を継続してきた。冪乗の半径依存性を持つ単純な輝度分布だけでなく、惑星形成が進む原始惑星系円盤で期待されるような、ギャップや穴をもつ円盤構造についても輝度モデルを作成し、動作検証を進めている。様々な角度から検証を行なっており今後も継続していく。また、スパースモデリングによる電波干渉計の画像化手法において、自己校正と画像化を同時に行う手法の開発を共同研究者と進めてきており、従来法と同等以上の画像の高精度化を行えることが確認できている。また、従来の手法では、解析者が校正パラメータを手動で決めて反復的に解を求める必要があったが、開発した手法では半自動化が行えるようになるため、解析者のバイアスを減らせる期待がある。この結果は、先日論文を投稿しており査読中である。関係者との定期オンラインミーティングも継続しており、引き続き開発運用においての情報交換を継続している。 また、実観測データを用いたpriismの科学コミッショニングも進めてきている。以前に塚越が取得したアルマ望遠鏡観測データに対し、priismを用いた高解像度化を行なう解析を継続しており、その結果を国際研究会を含むいくつかの研究会で発表を行なうと同時に、論文化を進めている。アルマ望遠鏡アーカイブデータに対して画一的にpriismを適用する試みも進めており、従来法では解像できなかった複雑な円盤微細構造の解像に成功している。一部の結果については論文として受理されている。アーカイブデータはまだ多数残っているため、解析は継続しており、さらに科学的成果が得られれば論文化を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
priismの科学コミッショニングも進み、得られた画像データの科学解釈がスムーズに行えるようになってきた。いくつかの個別天体に対しては重要な科学成果が得られており、これらは順次論文化を進めていく。アルマ望遠鏡の最高解像度データに対するpriismを用いた画一的な高解像度化も行えている。これらは今後、さらに詳細な解析を行い、得られた円盤構造の系統性を調査していく。科学コミッショニングの成果については、priismによる新しい画像化手法の応用例として、研究会やセミナーで発表を行っていく。同様に、それにより達成された科学研究の成果についても、国内外の研究会に積極的に発表していく。国内外の研究会ともに対面参加のものが増えつつあるため、極力実態参加を検討する。 priismの開発に関しては、解像度の理解やノイズに対する振る舞いの調査課題が未だ残っており、継続して取り組んでいく。
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