Project/Area Number |
20K04995
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 25010:Social systems engineering-related
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies (2022-2023) Aoyama Gakuin University (2020-2021) |
Principal Investigator |
大石 晃史 東京外国語大学, 現代アフリカ地域研究センター, 研究員 (60814944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 想 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (10736226)
和田 毅 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20534382)
牧田 裕美 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (00882862)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 公共財 / インフラ / 民営化 / 地方分権 / 紛争 / 水紛争 / 社会運動 / 公共サービス / 水資源 / ラテンアメリカ / フィールドワーク / シミュレーション |
Outline of Research at the Start |
公共サービス提供における民間部門の参画が世界各国で進行している。その担い手の変更がもたらす影響は、短期的なサービス内容の変化にとどまるものではなく、時にはそれが社会的分裂や政治的混乱に結び付くこともある。本研究では、こうした現象に対して、南米各国の公共サービス提供の民営化がもたらした社会運動を対象に、コンピュータ・シミュレーションを用いた数理科学的なアプローチとフィールド調査に根差した社会学的なアプローチを統合することで、「公共サービスの提供をめぐる社会的な交渉において、アクター間の協調と対立はどのような条件のもとで、どのように進展するのか」を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度はメキシコシティの水道民営化をめぐる紛争を中心に研究を行った。当該事例は地方分権化の影響を受けて水道サービスの民営化が頓挫した事例である。まず、本年度は前年度のメキシコ現地調査に基づく研究の成果発表として、International Association of Schools and Institutes of Administration (IASIA)の年次総会において口頭発表を行い、当該分野の研究者からフィードバックを収集した。また、6月にインディアナ大学において公共財供給に関して研究を行っている政治学者・アフリカ研究者たちを交えつつ、公共財供給をめぐる紛争に関するディスカッションを集中的に行い、メキシコシティの事例についてその位置づけを整理した。その結果、理論的には公共財供給をめぐる紛争を政治家と市民の間のシグナリングゲームとして扱うことで地方分権化が民営化をめぐる紛争に与える影響を適切にモデル化できる可能性が浮上した。また、その理論モデルを実証的に検証する上では、メキシコシティとの比較対象として、分権化と両立しながら水道サービスの民営化に成功したジャカルタの事例が有力であることが判明した。そのため、年度後半ではメキシコシティとジャカルタの事例比較を行うための基礎的な情報収集を行った。特にジャカルタについては本研究課題ではこれまで現地調査を行っていないため、先行研究で当該事例に関する情報を詳細に収集した。また、メキシコシティにおける再現地調査やジャカルタにおける新規現地調査の必要性・実施可能性についても検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題の初年度、第二年度を中心にコロナ禍の影響で現地調査に大幅な制限があったため、その後、徐々にキャッチアップしているものの、研究計画全体としては当初のものよりは依然として遅れが若干存在している。特に、ラテンアメリカでの現地調査については前年度までに当初予定していた基本的な範囲は実施することができたが、その調査結果の分析と研究成果の出版という点では、当初計画の中において本年度までには実施できていないものがいくつかある。特にメキシコシティの水道民営化の事例を理論的にどう位置づけるかという点については本年度の研究の中で大きな進展があり、その方向性が非常に明確になったものの、それを十分な遂行するためには次年度(最終年度)においても引き続き研究作業が必要な状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においては、メキシコシティとジャカルタのインフラ民営化をめぐる紛争を比較することで、本年度までの現地調査の結果を理論的・モデル的な立場から整理することを目指す。メキシコシティは民営化と分権化が両立しなかった事例、ジャカルタは両立した事例として考えられるが、このような紛争の発生・拡大の有無の差がどこから生じたのかは十分に研究されていない。また、先行研究では分権化はインフラ民営化に悪影響を与えるという論調が支配的だが、そのメカニズムについてはいくつかの代表的な研究でも曖昧に議論されているのみで、インフラ供給をめぐるアクター間の相互作用として明示的にモデル化されている訳ではない。そのため、最終年度ではインフラ供給をめぐる不完備情報ゲームなどの形でアクター間、特に政治家や市民の間の明示的に扱うことで、分権的ガバナンスがインフラ供給をめぐる紛争に影響するメカニズムをモデル化し、それによってメキシコシティの事例からより一般的な知見を抽出することを目指す。
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